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Re: 第十二章 絶望は死を纏いて狂い踊る 第17話 ( No.541 )
日時: 2013/04/05 10:27
名前: icsbreakers (ID: wsTJH6tA)

■絶望は死を纏いて狂い踊る⑧

彰は二人より少し前に出て、魔女たちを見据えた。

戦い慣れていないまどかをほむらがサポートし、メインで戦うのは彰が———という体勢をとったのだ。

(とは言え、こんな数の魔女を一度に相手したことないからな……)

魔女も様子見をしているのか、はたまた他の自分以外の魔女が物珍しいのか、魔女たちは未だに彰たちに攻撃を仕掛けてこない。

(ここは『アレ』を試してみるか)

彰は手に持っていた大剣を消し去った。

後ろの二人は戦いを前に武器を消し去った彰の行動の意味がわからず、少々驚いた顔をした。

そんな二人の反応に彰は笑みを浮かべた。

「大丈夫、ただ武器を変えるだけさ」

彰は消した大剣の代わりに今までのそれとは真逆の武器を出現させた。

「か、刀?」

ほむらは意外な武器の出現に目を丸くした。

彰は以前、マミに侍のイメージがあると言われたことがあった。

そのときからもしかしたら今使用している大剣よりも刀のほうが本来の力を出せるのではないかと考えていた。

大剣は攻撃力はあるが、やはり大振りな分速さにかける。

こういった集団戦で、かつ守りながら戦うとなると機敏に動けるほうが良い。

そう意味では今この場面では刀のほうが戦いやすい。

「重から柔へ……。吉と出るか、凶とでるか……」

彰は鞘に納めたままの刀に手をかけ、構えをとった。

そして一気に駆け出し、バネの魔女に向かって行った。

走りながら魔法で速さを上乗せさせ、さらに強化した足でバネの魔女より高く飛んだ。

バネの魔女は彰に上を取られたことを認識すると、不規則な動きで彰の視界から消えた。

「彰さん!上!!」

まどかたちはバネの魔女がバネの力を利用して飛び上がり、彰のさらに上に飛んだのを見た。

空中では身動きがとりずらい。

しかも先に飛んでいた彰の身体はすでに降下を始めており、余計に動きが限定されていた。

このままバネの魔女に上から攻撃されればいくら彰とはいえ、ただでは済まない。

彰は身を返し、バネの魔女と向き直った。

バネの魔女は身体をうねらせ、空中で自分の身体を押し出すようにして彰に向けて突進してきた。

バネの魔女の攻撃が、彰に命中する———その寸前、彰は刀を目にも止まらぬ速さで抜刀した。

刀の剣先がバネの魔女に当たったかと思うと、その当たったところから下半身と思われる先端の部分までを一気に半分に切り裂いた。

バネの魔女は薪割りで割られた薪のようになり、そのまま惹きつけられるようにして地面に落下し、消え去った。

「よし中々だな」

着地した彰は初めて振るう武器に対し、充分な手応えを感じた。