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Re: 第十二章 絶望は死を纏いて狂い踊る 第17話 ( No.542 )
日時: 2013/04/11 10:22
名前: icsbreakers (ID: wsTJH6tA)

■絶望は死を纏いて狂い踊る⑨

「へぇ、抜刀術か……。今は居合いっていうのかな?」

リンは狂犬の魔女と枯れ木の魔女の攻撃をかわしつつ、彰の一撃を目にして感心した。

(抜刀した勢いに乗せて魔力の塊を飛ばしたのか……。あれなら離れた位置から攻撃できるし、抜刀したあとすぐに行動にうつれる。へへ、どこかの誰かさんを思い出すな)

彰のことを観察しているうちに、魔女への注意が散漫していた。

枯れ木の魔女はその隙をつき、伸ばした枝をリンに絡み付けてきた。

「!!」

次々と絡み付いてくる枝により、リンは四肢を封じられ、身動きが取れなくなってしまった。

さらにそれをチャンスと見た狂犬の魔女が、体当たりをしようと下半身を落とした。

「やれやれ……」

リンは慌てる様子もなく、目を瞑ってため息をついた。

狂犬の魔女がリン目掛けてもの凄い勢いで飛び出した。

「お前ら……舐めてんじゃねぇぞ」

リンが再び目を見開いたとき、白目は黒く染まり、瞳は紅く不気味に光っていた。

狂犬の魔女はそのリンの異常さに構うことなく、身体を丸ごとぶつけようとした。

しかしその攻撃がリンに届くことは無かった。

リンの背後から伸びた黒い数十本の刃が狂犬の魔女を串刺しにし、動きを封じたのだ。

その様子に触発されたのか、枯れ木の魔女はリンを絞める枝に力を込めた。

だがその枝もリンの黒い刃によって粉々に切り刻まれてしまった。

「お前もくたばりやがれ!!」

リンが上に飛ぶと、黒い刃はリンの背中で左右に三本ずつ羽のように広がった。

そして計6本の黒い刃は直角に折れ曲がり、リンを包むように前に突出した。

「———虚無の咆哮」

黒い刃たちの中心、リンの胸の前で黒い渦がもの凄いスピードで凝縮されていった。

そして『ヒュンッ』と予想以上に静かな音で細長い光線が枯れ木の魔女を射抜いた。

『ぐぉおぉおお!?』

悲鳴のような断末魔を上げながら、枯れ木の魔女は空けられた穴に吸い込まれるようにして消滅した。

リンは黒い刃を消し去ると、地面に着地して周りを見渡した。

「やれやれ、まだまだ終わりそうにないな」

あふれる魔女たちを前にそう呟いた。