二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: 魔法少女まどかマギカ 〜True hope 〜 ( No.543 )
日時: 2013/04/18 10:16
名前: icsbreakers (ID: wsTJH6tA)

■絶望は死を纏いて狂い踊る⑩

『不満そうだな、九条更紗』

「あらぁ〜、主さま。そう見えます?」

更紗は突然背後に現れた少年に対し、驚く様子も無く笑顔でそう言った。

『キミは感情の起伏が激しいからな。顔を見ればすぐわかる』

そう言われた更紗の顔はとても楽しそうで、一見すれば不満など微塵も無いように見える。

だがよく見てみれば、目は笑っておらず、額に血管が浮き出ていた。

『思い通りに行かないのが、不満なんだろう?』

「そうなのよねぇ。青いのと赤いのもそうだけど、大量の魔女を目の前にして勝つ気でいるアイツらもイラつくわぁ。何より———」

『本当に勝ってしまいそうな状況……それが嫌、か?』

更紗が投影した映像の中で、彰が『痛みの翼』で魔女を一体消し去っていた。

別の映像ではリンが魔女を翻弄していた。

「ムカつくと思いません?アイツらぁぁ。それに蒼井彰……人形に出来ないってどういうことよぉぉ!」

『何?今、なんと言った?』

怒り狂う更紗に、少年は冷静にそう問うた。

「人形にしようにも、蒼井彰には『心』がなかったのよぉぉ」

『心が、無いだと……?どういうことだ?単なるイレギュラーではないのか?』

「わからないけどぉ……リンちゃん以上に異常な奴だわぁ」

少年は何度か頷き、何か思いついたのか「よし」と一言呟いた。

「あらぁ、もう行っちゃいますのぉ?」

『少し気になるのでな』

「ならぁ……『アレ』の使用を許可してもらえないかしらぁ?」

更紗が笑顔でそう聞いた。

今度は満面の、心底楽しそうな笑顔だった。

『アレか……。まぁ、鹿目まどかが契約したのだ。もはや隠す必要もないだろうしな。キミの好きにすればいい』

「うふふ。良かったわぁ。まだまだ楽しめそうねぇ」

少年は不気味に笑う更紗にどこか諦めに近いような視線を向けた。

まるで『もう終わっているのに———』そう言っているかのような、儚い視線を。