二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: 第十二章 絶望は死を纏いて狂い踊る 第17話 ( No.544 )
- 日時: 2013/04/23 10:08
- 名前: icsbreakers (ID: wsTJH6tA)
■絶望は死を纏いて狂い踊る⑪
彰は『痛みの翼』で煙の魔女を浄化させると、その足でお化けの魔女に迫った。
と、彰がまどかたちから離れたのを見計らったかのように、まどかたちの目の前で風景の一部がまるでシールのように剥がれ落ちた。
剥がれ落ちた風景はまるで生きているかのようにグネグネと、そして絵の具を混ぜたかのようにうつり変わっていった。
『情景の魔女』はまどかとほむらを自身の中に取り込まんと身体を伸ばして覆い囲もうとした。
「彰!!」
ほむらが彰の名を呼んだときには、既に彰はほむらたちの側に戻っていた。
情景の魔女とは反対方向から転がってくるくす玉の魔女をまるで気にすることなく、彰は情景の魔女に向かっていった。
同時にほむらも情景の魔女に向かって飛び、前を進む彰に手を伸ばした。
彰はそれがわかっていたかのように、振り返ることも無くほむらの手をとった。
その瞬間、世界が、時間が停止した。
彰は停止した世界の中で『痛みの翼』を情景の魔女に向かって伸ばした。
羽根から伸びた枝のように歪な形をした光の塊は情景の魔女をあっという間に覆い尽くし、情景の魔女を浄化した。
「何体もの痛みを、しかもあんな一瞬で共有してしまうなんて……。アナタの神経ってどうなってるのかしら?」
「褒められてるのか、けなされてるのか……。何だかモヤモヤするなぁ」
「どちらでも好きなように———ちょっ、ちょっと!」
彰はくす玉の魔女に向き直ると、ほむらの手を引いて引き寄せると片腕で抱きとめた。
「ほむらちゃんから離れると時間が動き出しちゃうからね。それに俺のほうが速い!」
彰はそのまま停止するくす玉の魔女に迫った。
そして情景の魔女同様に『痛みの翼』で浄化した。
ほむらはくす玉の魔女が消えるのを確認すると、能力を解除して彰から離れた。
「ほむらちゃん!彰さん!えっと、どうなったのかな?」
時間が停止している最中の出来事をまどかが知る由も無い。
故にまどかからすればいつの間にか魔女2体が消えてしまったようにしか見えないのだ。
「彰の『痛みの翼』で魔女を倒したわ。あとは———」
ほむらは煙の魔女のほうに視線を向けた。
そこには彰とは正反対の漆黒に染まった翼で空を翔るリンの姿があった。