二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: 第十二章 絶望は死へと向かい狂い踊る 第18話 ( No.558 )
日時: 2013/06/20 14:45
名前: icsbreakers ◆3IAtiToS4. (ID: WV0XJvB9)

■絶望は死へと向かい狂い踊る③

(あれ?ここは……?)

まどかが目を覚ますと初めて見る、しかしよく知っているような不思議な空間に居た。

真っ白な空間の所々に映像や写真が無造作に設置されていた。

それらはすべてまどかの記憶の中にある物だった。

「ここって私の中……なのかな?」

魔法少女という存在が居ることがわかり、同時に魂や心いう存在があることも知った。

そういった非科学的な物が存在するのだから、心の空間みたいな物があってもおかしくは無い。

「あ……」

真っ白の空間の一部が真っ黒く染められていた。

白の絵の具に黒の絵の具を混ぜたかのように。

「あの黒は私よぉ」

「!!?」

まどかが振り向くとそこには九条更紗が立っていた。

ここがまどかの心の中だとして、なぜ更紗がいるのだろうと疑問に思った。

「なぜ?って顔ねぇ。そりゃぁもちろん……私の魔法の力よぉ」

更紗はニタニタ笑いながら一歩ずつまどかに近づいた。

「い、いや……。来ないで」

なぜだかとても恐ろしく感じ、まどかは更紗から逃げるように後ずさりした。

「私の心と同化してるからかしらねぇ。私の考えていることがわかるのかしらぁ?」

まどかは更紗に背を向けて走り出した。

無限に広がる心の中でどこに逃げればいいのだろうととても不安になった。

だがその不安は悪い意味で杞憂となる。

「きゃあっ!?」

背後から首を鷲づかみにされ、まどかは地面に叩きつけられた。

「精神体だから痛みは感じないでしょう?でもねぇ……殺されれば死んじゃうのよぉぉ!!」

「!!」

更紗はまどかを仰向けにすると、馬乗りになって首に手をかけた。

「アナタさえ死んじゃえばぁ……残った奴らは皆ぜ〜つぼぅに溢れちゃうわよねぇえええ」

「かはっ!!」

首を絞める手に力が込められる。

痛みは感じないはずなのに、苦しいという感覚がまどかを襲った。

心であっても死ぬ。

死という感覚だけは実体だろうと精神体だろうと平等に存在するのだ。

「死ね♪死ね♪死ね♪しんじゃえぇえ!!」

(ほむらちゃん……彰さん……)

もう駄目かもしれない。

そう思ったとき、この場にとても不釣合いな音が響いてきた。

カツン、カツン、カツン。

何か棒で地面を叩いているような音。

それはまるで死神がこちらに近づいてくる足跡のように聞こえた。

「な、なに?」

更紗の手に込められた力が弱まった。

更紗は辺りを見回していた。

(この音……聞こえてるの私だけじゃ、ない?)

叩く音が収まった———そう思った瞬間だった。

凄まじい回転音と風を切る音がすぐ側を通り過ぎていった。

更紗はその音が近づくよりも早くまどかの側から離れてそれを回避した。

まどかの上を通ったのは2メートル近い長さの大鎌だった。

大鎌が回転しながら飛んできて、そしてブーメランのように途中で折り返すと元の位置へと戻っていった。

「へぇ、意外と素早いんだね」

更紗が作り出した心の闇、その暗闇の中から声の主は姿を現した。

「なっ!?なんでアナタが!?」

今まで見たことが無いくらいの驚愕の表情を更紗が浮かべていた。

それと同じくらいまどかも驚いていた。

「そ、そんなあなたは……蒼井、明奈ちゃん———」

漆黒を身を包み、漆黒の大鎌を持った少女はニコリとまどかに微笑んだ。