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Re: 第十二章 絶望は死へと向かい狂い踊る 第18話 ( No.561 )
日時: 2013/07/02 10:10
名前: icsbreakers ◆3IAtiToS4. (ID: WV0XJvB9)

■絶望は死へと向かい狂い踊る⑥

ほむらは魔法で時を止め、彰をまどかたちの所へ連れて来た。

そして改めて倒れる彰の姿を見て、ほむらは言葉を詰まらせた。

戦闘能力だけを取れば、リンを除けば彰の右に出る者はそうそう居ない。

そう思っていたからこそ、一瞬で、しかも一撃で彰が倒されたことにショックが隠せなかった。

そして何よりまどかの悲しそうな顔を見るのが辛かった。

「彰さん……?」

まどかが涙を瞳に溜めながら、彰の手をとった。

彰の手はまだ暖かかった。

魔法少女だからか、普通の人間であれば致命傷となる傷を負ってもその体温が失われることは無かった。

傷を癒せばまた目を覚ましてくれるのだろうか。

前みたいにバツの悪そうな顔で姿を見せてくれるだろうか。

たくさんの仲間を失い、そしてまた失ってしまうのか。

「そんなの嫌だよぉ……」

信じたくないという気持ち。

まだ救えるかもしれないという淡い期待が、まどかの視線を彰の左手のひらに向けた。

「———!!!」

しかしその行為がもう救いようの無い状態であることを、現実をまどかに打ち付けてしまった。

彰の左手のひらに埋め込まれたソウルジェムが粉々になっていた。

襲ってきた少女は的確に彰のソウルジェムを破壊していたのだ。

「うぅぅああああ!!」

もう耐え切れなかった。

仲間たちが死んだときは何とか耐えた。

ほむらたちが居たから耐えられた。

しかし今、自分の目の前で散っていくの目の当たりにして、我慢できなくなってしまった。

「彰さんっ……!うぅ……こんなの、無かったことに出来ればよかったのにっ」

『ならば、そう願えば良いではないか』

「!!!?」

まどかたちの前にいつの間にか少年が立っていた。

襲ってきた少女はその少年の少し後ろで、まるで付き人のように立っていた。

「君がそう願えば、蒼井彰は戻ってくるかもしれない。どうかな?」

少年は誘惑するように、優しい声色でまどかに語りかけた。

「ふざけるなっ!!!」

少年の誘惑に答えたのはまどかではなく、リンだった。

怒りに満ちた表情でリンは、少年を睨み付けていた。