二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: 第十二章 絶望は死へと向かい狂い踊る 最終話 ( No.562 )
- 日時: 2013/07/04 14:39
- 名前: icsbreakers ◆3IAtiToS4. (ID: WV0XJvB9)
■絶望は死へと向かい狂い踊る⑦
リンは少年に掴みかかろうと少年に迫った。
しかし少年にたどりつく前に、少女が立ちはだかった。
「っ!!」
リンは動きを止め、悲しそうな、悔しそうな、しかし怒りを含めた複雑な表情を少女に向けた。
「な、なんでだよ……。お、お前はとっくの昔に……死んだじゃないか、小夜———」
小夜と呼ばれた少女は相変わらず感情の無い瞳で、リンを見下ろしていた。
そんな小夜を見ていると、おかしくなってしまいそうだ、そうリンは思った。
「てめぇの仕業か……!」
リンは小夜の向こう側で薄ら笑いを浮かべる少年に向けて言い放った。
「肉体(入れ物)なんてどうにでも出来る。ソウルジェムさえあればこうやって生き返らせることでも出来るのだよ」
「お前……オレ達魔法少女をなんだと思ってんだ!!」
「道具だよ。まぁ、時には私の食事にもなりえるな」
「きさまっ!!!」
リンは小夜の横をすり抜け、黒い刃を出現させて少年に迫った。
しかし少年に届く寸前でリンの身体は空中に固定された。
「な、なんだと……?」
少年は抵抗出来ないリンの前に立ち、右手をリンに差し出した。
「な、何を……!!」
少年はリンの額に手をあてた。
その瞬間だった。
「———!!!!?」
リンの頭の中に雷が落ちたのではないかという衝撃が走った。
その衝撃と共に、忘れていた記憶が一気に流れ込んできた。
固定されていたリンの身体に自由が戻り、リンは地面に落ちた。
「前にも聞いたが、改めて聞こう。私と共に来ないか?」
呆然とするリンに少年は手を差し伸べた。
リンはヨロヨロと立ち上がり、その手をとった。
「天音リン!!!」
ほむらがリンの名を叫んだ。
リンはそれに反応してゆっくり首だけ動かしてほむらを見た。
「悪い。全部思い出しちまったんだ。オレが人間の敵であることを」
「何を言っているの!?」
「オレはお前達とは一緒には居られない。だってきっとオレ達は敵同士になるから……」
名を呼ぶほむらを無視し、リンは少年について歩き出した。
ふと足を止め、空を見上げた。
「悪い、お前との約束やっぱ守れそうにないわ。そっちに行ったらちゃんと謝るよ、さやか」
誰に言うでもなくそう呟いた。
そしてリンは少年と共に消えた。
あとに残されたのは絶望に打ちひしがれるまどかと、ただ呆然と立ち尽くすほむらの姿だけだった。