二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: 第十三章 間奏 Ⅱ〜漆黒の死神、紡がれる記憶 プロロ ( No.567 )
- 日時: 2013/07/30 12:06
- 名前: icsbreakers ◆3IAtiToS4. (ID: WV0XJvB9)
「私たちは、どうして今を生きているのでしょうね」
ベッドの上に座る鷺宮千鶴がふとそう言った。
「運命のイタズラでこうやってこの世に生を受け、今を生きている。歩み方は違うけれど、私たちはどうしてか生き続けている。でもなぜ生きるという行為を続けているのか、たまにわからなくなるの」
「生きる目的……生きるに値する理由が人それぞれあるのよ」
千鶴の言葉に答えたのは美国織莉子だった。
「小さい、大きいは別にして皆、希望を持っている。いうならば希望がなければ生きれないのかもしれないわね」
織莉子は手に持った手紙に視線を落とした。
千鶴が織莉子に送った『招待状』だ。
その招待状には何も書かれていない手紙が一枚同封されていた。
「『真実の希望』、ですね」
千鶴が何も書かれていない手紙に視線を向けて呟いた。
送った本人ゆえ、その手紙の意味を理解していた。
織莉子も千鶴から手紙の意味を聞かされ、知っていた。
「そうね……。生きる理由、それを指し示しているのかもしれないわね」
手紙の意味を捉え、口から出た言葉。
その言葉は同時に、生きるための戦いがこれから本当の意味で始まることを物語っていた。
「これを彼に、蒼井彰に渡せば終わりが始まるのね」
「鹿目まどかにかなり近いところにいる存在。それ故にバレる危険性も高まります。でもこれを超えれば大きな前進となるはずです」
まどかに最終的に渡るようにしなくてはならないわけだが、直接渡すことは出来ない。
無慈悲なる悪魔が常に監視しているからだ。
まどかに近い者たちも同時に監視対象となってはいるものの、彰はその監視対象の中ではあまり重要視されていないようだった。
単なるイレギュラー、いつでも処分出来る、その程度の認識でしかないのだ。
彰に対しての認識が甘い今が、まどかに近づくチャンスなのだ。
「千鶴さん、あなたの意思はちゃんと届けるわ」
織莉子が千鶴にそう約束したのは、蒼井彰死亡の2ヶ月前のことだ。