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- Re: 第十三章 間奏 Ⅱ〜漆黒の死神、紡がれる記憶 第一話 ( No.569 )
- 日時: 2013/10/04 09:48
- 名前: icsbreakers ◆3IAtiToS4. (ID: WV0XJvB9)
■第一話②
「私、どうしたらいいのかな……」
いつもこればかり口にしている気がするな、とまどかは思った。
しかし思わずこぼれてしまうほど、どうしていいのかわからなかった。
「彰さん……」
ベッドに寝かされた彰は何も答えなかった。
暗くなった彰の部屋の中で、まどかはうな垂れた。
触れた彰の手はどういうわけかまだ暖かく、死んでいるようには思えなかった。
「目、覚ましてくれるよね?」
死んでいると思えないから、信じたくないから、まどかは彰の側に居たいと申し出た。
さやかも杏子も織莉子も、自分は何も出来ないまま死なせてしまった。
極めてゼロに近いとわかってはいるが、何もしないまま諦めるのはもう懲り懲りだった。
だからせめて生きていると信じている間は出来ることをしたい。
そして認められるときが来たら、笑顔で送ってあげたい。
そうまどかは思っていた。
(お水、もらおうかな……)
今、この家には誰も居なかった。
彰の側にいることに、千里は猛反対した。
彰が死んだ理由の大きな原因はまどかにあると、千里は思っていたからだ。
しかし双樹がそんな千里を抑え、気を使って家を空けてくれた。
二人は今頃、ゆまを慰めるために教会にいるのだろう。
まどかは台所の明かりをつけ、水を一杯飲み干した。
元の部屋に戻ろうと、踵を返したときだった。
ダイニングテーブルの上に彰宛の白い封筒が置かれていた。
まどかはそれを手に取り、まるで操られているかのように封筒を開封し、中身を取り出した。
中には一枚の手紙が入っていた。
その手紙の真ん中には一言こう書かれていた。
「『True Hope』?」
その言葉を口にした瞬間、まどかの頭の中で濁流のように記憶が過去へと遡って行った。
そしてある記憶にたどり着くと記憶の逆行は止まった。
そしてまるで録画映像を再生するかのように記憶が頭の中で流れ始めた。