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Re: 第十三章 間奏 Ⅱ〜漆黒の死神、紡がれる記憶 第四話 ( No.578 )
日時: 2013/11/22 11:22
名前: icsbreakers ◆3IAtiToS4. (ID: WV0XJvB9)

■第四話②

「これは私の記憶の本。お兄ちゃんが知っている蒼井明奈では無く、この世を憎み、破壊しようとした、哀れな道化の記憶」

ゆかりは記憶の本の1ページ目を開いた。

「本来、記憶の本は一人の人間に見せることしか出来ない。この本は彰くんに見せるために用意されたものだから当然だけど……」

ゆかりはそう言いつつ、視線を明奈に向けた。

「こうして二人一緒にいるし、出来れば二人に見てもらいたいかな。まどかさんは恩人だから」

「恩人って……私、何も……」

当然、思い当たる節の無いまどかは首を傾げて唸った。

「ふふ、別のまどかさん。でも貴方もそのまどかさんと同じ存在だから、私からすれば貴方も恩人だよ」

「えっと……」

ますます意味のわからないことを言われ、さらに首を傾げた。

「きっと見てもらえればわかると思う。そしてお兄ちゃんには、お兄ちゃんが生まれた理由がこれでわかると思う」

「俺が生まれた理由?」

「うん。お兄ちゃん、痛みの翼で記憶をまどかさんと共有できるよね?」

痛みでなくとも、『痛みの翼』を介して彰とコネクトすれば確かに共有することが可能だ。

「でもなぜ痛みの翼のことを……?」

知るはずの無い情報をこの明奈は知っている。

確かに彰が知っている明奈とはどこか違っていた。

「お兄ちゃんの疑問すべてがここにあるよ」

記憶の本が自動的にページ送りを始めた。

その瞬間、明奈の記憶が彰とまどかに流れ込んできたのだった。