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Re: 第十三章 間奏 Ⅱ〜漆黒の死神、紡がれる記憶 第五話 ( No.579 )
日時: 2013/11/30 20:22
名前: icsbreakers ◆3IAtiToS4. (ID: WV0XJvB9)

■第五話①

蒼井明奈の人生は地獄そのものだった。

荒れ果てた自宅の部屋で、明奈は乱れた服を直すことなくベッドの上でボーっと天井を見つめていた。

「こんな世界壊れちゃえばいいのに」

ボソッとそう呟くが、それに答える者は居ない。

明奈は起き上がると、ベッドから降りた。

「っ!」

手首が痛んだ。

暗がりでよく見えないが、手首にアザが出来ているようだった。

明奈はアザのことなど気にする様子も無く、机の上に置かれた千円札を手に取った。

そしてその千円札を封筒に入れ、ある本の中に封筒が完全に隠れる形で挟みこんだ。

こうして貯めたお金はそこら中に隠してある。

このお金は欲しい物を買うためでもなく、家を出るためでもなく、ましてや親のためでもない。

いや、ある意味親のためだ。

貯めたお金、それは親を殺すためのものだ。

闇サイトで殺人代行をしてもらうためのお金。

「そのためなら、こんな身体、いくら汚れたっていい」

突然、ノックの一つも無く、部屋の扉が開いた。

「アンタ!さっさとその汚い身体を綺麗にしてきなさいよ!!」

「……」

明奈は光の無い目で、その女———母親を見つめた。

「汚いままじゃ、次の客を迎えられないだろ!!」

明奈は無言のまま母親の横を通り抜け風呂場に向かった。

背後で舌打ちが聞こえた。