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■第五話②
１年前、明奈が１３歳のとき、明奈は処女を喪失した。

相手は母親が連れてきた見ず知らずの男だった。

いつも借金ばかりで、母親らしいこと一つもしない、ろくでなしだった。

そんなろくでなしが、金のために娘である明奈を売ったのだ。

それまでだって、散々暴力を振るわれ、ストレスのはけ口に使われてきたが、ここまでするとは思いもしなかった。

心ある人間が、ましてや母親がすることなのか？

身体を汚される苦痛と、女性として大切なものを失う喪失感で、そのとき明奈は心を完全に壊された。

自分の初めてと、心を奪われたその日から、壊れた心の代わりに生まれたのはこんな世界を創った神様への復讐心だった。

あんな母親を作った神様。

こんな世界に自分を生まれさせた神様。

ありとあらゆる苦痛を与え、大切なものまで奪った神様。

「そうだ……悪いのはこんな世界を創った神様なんだ」

神様に復讐してやろう。

神様が創ったこの世界を壊してやろう。

まずその手始めにあのろくでなしを消さなくてはいけない。

そのためなら自分がどんなに汚れたっていい。