二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: 【ドラゴンクエストⅨ】スライムと元天使の冒険! ( No.17 )
- 日時: 2012/06/04 21:04
- 名前: 怡執 ◆i0yxwOSY66 (ID: oHbkelGh)
ウォルロ村の宿屋——
「随分大きくなったわね、リッカちゃん。 リベルトさんはどこにいるのかしら?」
ルイーダさんはわたしのお父さんに会いにきたらしい。
理由は、セントシュタインの宿屋の経営の立て直し。ここ数年、経営が厳しいのだとか。
そこで “伝説の宿王”という異名がある程に凄腕のリベルトに再建を頼みにきたのだけれど、
お父さんは二年前に亡くなっていると伝えると、がっくりと肩を落とした。
だけどそれは短い間の事で、わたしの経営する宿屋を見て、
「あなたには確実に“宿王”の血が流れているわ……。
あなたなら、絶対にセントシュタインの宿屋でやっていける!
お願いよ、リッカちゃん。 セントシュタインに来て、宿屋を再建してちょうだい!!」
わたしがまだ幼い頃、お父さんがセントシュタインで宿屋を営んでいたのは知っていた。
でも。
「リベルトさんがセントシュタインにいたころは……」
ルイーダさんから聞かされるお父さんの姿は、わたしの知っているお父さんじゃなかった。
“わたしのお父さん”じゃない。“伝説の宿王のリベルト”だ。
違う、違う、違う!!
「リッカちゃんっ」
気がつけば、わたしは家を飛び出していた。
後ろからルイーダさんの呼びとめようとする声が聞こえたような気がした。
全力で走った所為か、動悸が激しい。
それを落ち着けようと立ち止まり、自分の家の近くにある、ウォルロの滝壺の水面に映る自分の顔を見る。
目が赤く腫れていて、頬には涙がつたっていた。
そこに自嘲の笑みを浮かべる。
何が何やらわからない、ぐちゃぐちゃの顔。
「は、はは、は……」
笑おうとしても、まるで喉の奥が絞まったようでうまく声が出ない。震えてしまう。
だけど、何か言わないとやっていけなかった。
「できるなら、パパから、聞きたかったなァ……!」
悲痛な声は、流行病で逝った父には届かない。
<作者>
捏造しまくりです。
最後にリッカの父親への呼び方が『お父さん』から『パパ』に変わっています。
これは、今までリッカは父を失った悲しみとか寂しさを隠す為に『お父さん』と背伸びをしていたけれど
ルイーダさんの話でそういう感情がぶり返して背伸びできなくなっちゃった、みたいな感じです。
……いや、別にルイーダさんを責める訳ではなく。 これはもうリッカの問題ですからね。
誰にでも父の話をされたらそうなっていただろうし。
(村人たちはリッカに気遣って父の話題を出されなかっただけ)
主人公が空気だΣ(゜Д゜)