二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: 【イナイレ】ずっと、隣にいますから ( No.3 )
日時: 2012/05/30 19:00
名前: 棋理 ◆U9Gr/x.8rg (ID: SGJxjeZv)

第一話『今、始まりますから』

01
 
 
「なんでよ……。いつもそうよ、修は全部一人で抱え込んで……。どうして私に頼ってくれないの?」
 本当はこんなこと言うつもりはなかった。恋人である私に何も話さないのは彼の優しさ。だから私はその優しさに気づかないふりをしてきた。
 
 けれど、もう、限界。
 
 自然に流れてきてしまう涙が頬を伝った。
「私だって修の力になりたいよ。修の近くにいたい。修を、支えたいのに……」
「愛香……」
 修の手が私の顔に近づき、涙の後をぬぐおうとする。私はとっさに——
「っ——」
「ぁ……」
 彼の手を振り払った。
 ごめん。そう言いたいのに口が動かない。
「すまない」
 代わりに彼が謝った。
 謝らないで。私がいけないの。わがままを言った私が。
 けれど、今の私はとことん最低らしい。私は「もう良い」とつぶやくと、彼が止めるのも聞かずにきびすを返していた。
「愛香!!」
 彼の声が聞こえる。聞こえるのに、聞こえないふりをする。私に向かって一歩が踏み出される気配がした。けれど、私がそれより早く駆け出すと、彼は追ってこなかった。
 その日から、私は彼に会うことはなかった。