二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: 【イナイレ】ずっと、隣にいますから【参照100突破です!】 ( No.32 )
日時: 2012/06/03 21:16
名前: 棋理 ◆U9Gr/x.8rg (ID: SGJxjeZv)
参照: 記念SS執筆BGM:光岡昌美「last cross」

参照100突破記念SS『坊ちゃん観察日記』

 鬼道家に仕える私は、なんとも光栄なことに坊ちゃんの専属メイドをやらせていただいています。旦那様直々にご指名いただき、坊ちゃんが養子に入られたときから勤めております。そして、普段は坊ちゃんと共に帝国学園に通っています。
 さて、そんな常に坊ちゃんと一緒にいる私が、普段坊ちゃんはどんな方なのか、皆様にご紹介したいと思います。
 
 坊ちゃまの朝は、私が起こしに行くことから始まります。

「失礼します。坊ちゃま、朝ですよ」

 カーテンを思いっきり開け、坊ちゃまが眠っていらっしゃるベッドのそばでモーニングコーヒーを注ぎます。普段はその匂いで起きて下さるのですが、今日はなかなか起きてくれません。
 仕方ないので、少々体を揺さぶってみます。

「坊ちゃま。起きて下さい」
「……ん」

 それにしても、ゴーグルをかけていない坊ちゃまの素顔は、本当に美しいです。普段隠されている瞳を見られるのも、役得でしょうか。
 なんどか体をゆさゆさすると、まだ完全に覚醒していない坊ちゃまが目を開けました。

「おはようございます、坊ちゃま」
「……あぁ」

 コーヒーを渡し、それを飲んでいる間に坊ちゃまの髪の毛をセットして差し上げます。これも役得ですね。
 そして着替えなどが全て完了なさると、食堂にて朝食を取られます。
 朝食の間に私も学校へ行く準備をし、坊ちゃまの準備が整い次第登校をします。



「よう、鬼道。夜美さんも、おはようございます」
「おはよう佐久間」
「おはようございます、佐久間様」

 今日は朝練がありませんでしたので、佐久間様も余裕のある登校です。佐久間様は律儀にも私に挨拶をして下さいます。それにしても、一応私も坊ちゃまたちと同じ学年なのですが、皆さん敬語で話して下さいます。

「お、鬼道に佐久間。それに夜美さんも。そろって登校か?」
「よう、源田」
「源田様もおはようございます」

 私たちが挨拶をしていると、他にもサッカー部の皆様が坊ちゃまのもとに集まってきます。坊ちゃまは本当に信頼の厚いお方なのですね。皆様本当に言い方ばかりで、人望が厚い方々です。

 さて、放課後。坊ちゃま達が部活動をしている間、私はマネージャーとして皆様のサポートをします。
 監督である影山様は、何を考えているのかよく分からないお方です。分かるとすれば、サッカーに対する強い執着心、でしょうか。それは恐ろしいほどで、その執着心により支配を受けている坊ちゃま達がたまに心配になります。
 ですが、最近の坊ちゃまは少し変わられました。
 先の雷門中との一戦の後、少し角が丸くなったと言いますでしょうか。時折サッカー雑誌を見たり、テレビでサッカー観戦をしている時などの顔は、とても純粋にサッカーを楽しんでおられるようで。
 メイドの私としては、そんな変わりようがとても嬉しく思います。
 
 といっている間にも坊ちゃま達の練習が終わり、家に帰って夕食。その後お風呂に入り、自室に戻って自由な時間を過ごされます。
 そして就寝。坊ちゃまの明日のお着替えを用意し、ヘッドメイキングを済ませた後に坊ちゃまが部屋にお戻りになります。

「坊ちゃま、就寝の準備が整いました」
「あぁ、すまないな」
「いえ。とんでもございません」

 ベッドに入られるのを確認し、よく眠られるようにホットミルクをご用意します。
 その準備の間、坊ちゃまが私に声をかけられました。

「夜美」
「はい、なんでしょう」
「いつも、すまないな」
「……え」

 思わずカップに注ぐ手を止め、坊ちゃまの顔を見返してしまいます。
 突然どうされたのでしょうか。

「いや、今日一日お前の様子を見ていると、俺が思っている以上に働いてくれていると知ってな」
「そうでしたか……。ですが、メイドである私が坊ちゃまのためを思って動くのは当たり前のこと。礼など必要ありません」
「だが、父も言っていた。お前はよくやってくれていると」

 就寝前のためにゴーグルを外され、露わとなった瞳に見つめられながらそう言われると、思わず頬に熱が集まってくるのを感じます。
 私は自然と緩んでくる頬をなんとか隠し——代わりに、その笑みを満面としました。

「坊ちゃま。私は坊ちゃまが養子に来られたときから、坊ちゃまの仕えております。ですから……、存分に私を動かして下さい。それが、私の生き甲斐なのですから」

 そう告げると、坊ちゃまも満面の笑みを向けて下さいました。
 その笑みを見るたびに、私は思います。あぁ、坊ちゃまのおそばにいられるのが、私の幸せなのだと。そして、坊ちゃまがいかなる道を進もうとも、必ずついて行くと。

 【○月×日 坊ちゃん観察日記】

 今日も坊ちゃまはとても素敵なお方でした。