二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: 【イナイレ】ずっと、隣にいますから ( No.4 )
日時: 2012/05/29 18:04
名前: 棋理 ◆U9Gr/x.8rg (ID: SGJxjeZv)

02

「お、豪炎寺! これから河川敷でサッカーやるけど、来るか?」
「円道か。あぁ、これが終わったらすぐに行く」
 
 これ、と修也は机の上の日誌を指さした。
 放課後。今日は点検とかでグラウンドが使えないらしい。仕方がないので、河川敷での自主的練習になったのだった。
 本当ならば放課後のチャイムとともに河川敷に向かいたいところだが、生憎日直の仕事を任されてしまった。本来ならば二人で日直なのだが、もう一人の生徒が休みときた。さすがの修也でも、仕事に時間がかかってしまう。

「そっか。それじゃ、俺たちは先に行ってるからな!」
「あぁ。すまない」

 守はにかっと笑みを残し、教室を出て行った。

「……さて」

 未だ埋まっていない白いページに、修也は意識を向けた。
 フットボールフロンティアが始まり、順調に勝ち進んだ結果、夢の決勝戦という舞台に立つことが決まった。つい先日まで部員が足りないと言っていたが、本当なのかと疑ってしまうほどだ。

「……決勝か」

 対戦相手は帝国学園。豪炎寺が初めて雷門イレブンとしてピッチにたったときの対戦相手。
 そんな相手と、再び戦える。しかも、頂点を決める場で。
 不思議と胸の中からこみ上げてくる何かを抑え、修也は今目の前にある課題に目を向けた。



「あ、円道くん」
「秋! 早かったな」
「今日はみんなに、この間の帝国戦のビデオを見てもらおうと思って」

 先に来ていたマネーじゃーの秋の言葉に、思わず部員の顔が曇る。
 あれだけ惨敗した帝国戦。彼らのサッカーに為す術はなく、キャプテンの円道でさえも地に伏した。惨めな姿を見せつけ、終わろうとした瞬間。まだ正式に部員としていなかった天才サッカー少年、豪炎寺修也に助けられ、最後に一点だけ取り返すことが出来たのは皆の記憶に久しい。
 重くなってしまった空気を打ち消すように、守は声を上げた。

「よっし! 過去を振り返ることもたまにはしないとな!!」
「そうだね」

 秋もその言葉に笑みを返す。
 このサッカー部にシリアスは似合わない。
 これは、最近入った二人のマネージャーと見解が一致していることだ。

「そういえば豪炎寺さんはどうしたんですか?」

 もう一人のマネージャー、音無春奈が風丸に聞く。

「日直らしい」
「そうなんですか? あれ、そういえば夏未さんもいませんね」
「夏未さんなら、今日は用があるって行って来られないって」

 同じくマネージャーの雷門夏未。雷門中の理事長の娘であるお嬢様だが、何の因果かサッカー部のマネージャーを勤めている。だからといって、彼女自身も生徒会長を勤めている故に、日々仕事に終われている身だ。
 それを重々承知している部員たちは、なるほど、とすぐに納得した。
 レコーダーを準備していた秋が、振り向きざまに言う。

「それじゃ、始めよっか」