二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: 【イナイレ】ずっと、隣にいますから【短編リク受付中】 ( No.41 )
- 日時: 2012/06/07 20:32
- 名前: 棋理 ◆U9Gr/x.8rg (ID: SGJxjeZv)
- 参照: 執筆BGM:CHERRYBLOSSOM「CYCLE」
04
「おはよう、豪炎寺君」
「っ——。あ、あぁ、おはよう。一城」
次の日の朝。修也は試練を迎えていた。
今日は珍しくもコートが使えないとかで朝練が中止。それを登校してから知ったため、朝一番で教室に入った。
すると、
——なんでお前がいるんだよ!?
愛香が先に教室内に居た。
彼女は入ってきた修也を驚いたように見ると、すぐにいつもの微笑みを見せた。
が、気まずい。果てしなく気まずい。
「…………」
「…………」
最初こそは笑みでいたものの、愛香の表情には段々と余裕がなくなってきている。時折気まずそうに修也の顔を見てはそらすを繰り返していた。
……どうする。
昨夜のメールの件を話せばいいのだろうか。だが、それはそれでどうだろう。彼女にとってはもしかしたら自分との関係を周りに悟らせたくないのかもしれない。
一人でもんもんとしているとき、彼女の方から話を振ってきた。
それも、
「修。気、使ってるのよね」
昔の呼び名で。
とっさのことで反応が遅れる。が、すぐに気を取り直して彼女に話しかけた。なんとか会話を続けようと。
「……あぁ。すまない」
「良いの。当たり前だもの」
くすくすと笑う彼女に、やっぱり触れてみたくなる。けれど、まだそれをするのには抵抗がある。
席は近いのに、心は遠い。
そんな距離にもどかしく思う。けれど、もう以前の距離には戻れないような気がしてしまう。
それは彼女も同じらしく、
「ごめんなさい。昨日、いきなりメールをしてしまって」
「あ、いや……。嬉しかった」
「……本当?」
「あぁ」
「そう……。良かった。嫌がられたらどうしようって不安だったの」
「嫌がるはずがない!!」
「——?!」
思わず声を荒げてしまった。真っ直ぐ見つめる先で、愛香は驚いたように目を丸くする。
それに気づいて慌てて口をつぐもうとするも、意に反して口は勝手に動く。
「俺は、ずっとお前のことを想っていた。転校して離れても、お前のことをそばで感じたいと思っていた。それは……俺だけなのか?」
「————」
その言葉を聞くと、愛香は一瞬目を大きく見開いた。次いで、唇を小さくふるわせる。
その形の良い唇から、言葉が溜息混じりに出た。
「……放課後。またここで待ってて。話したいこと、たくさんあるから」
目の端からひとしずくの涙が伝ったのを、修也は息を詰めて見つめた。