二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: 【イナイレ】ずっと、隣にいますから【第2話更新中】 ( No.55 )
日時: 2012/07/16 20:51
名前: 棋理 ◆U9Gr/x.8rg (ID: SGJxjeZv)
参照: 作業用BGM:春奈るな「空は高く風は歌う」

03

 練習終了後。各々が自分の荷物を持って部室から出てくる中で、一人の少女が部室前で待っていた。
 その少女はなにやら気恥ずかしそうにもじもじしたり、落ち着きがないようなそぶりだ。

「……あれ、一城?」
「あ、えっと……。円道くん、だったわよね」
「おう。どうかしたのか?」

 たまたまタイミング良く出てきた円道は、意外な人物に目を丸くした。そして、その少女が先日転校してきた一城愛香だと知ると、さらに目を丸くした。
 曰く、男子サッカー部であるここに何かあるのだろうか?

「あのね……」
 
 一報で、愛香は困っていた。自分がここに来た理由。それは簡単だ。
 ——修也と一緒に帰りたい。
 とは言っても、さすがに躊躇う。自分と彼がまともに話したのはつい先ほどだし、転校生が今をときめくサッカー部の男子と共に帰るなんて……。
 ……か、確実に波乱な日々に……!?
 けれど、一緒に帰りたい。
 ……複雑な乙女心とはこのことでしょうか。

「何か用か?」
「用と言えば用だけど……」

 と、純粋に聞いてくる円道に困った笑みを見せていると、

「どうかしたか、円道」

 助け船が来た。

「お、豪炎寺」
「修……!」
「……愛香? どうして此処に」
「ん? なんだなんだ?」

 が、その後に続く数名の部員に、愛香の期待値はぐっと下がった。
 ……どうしましょう。これじゃあ私と修の関係がばれてしまう……!
 けれど、その恐れに反して修也は落ち着いて言った。

「あぁ、悪い。愛香、こっちだ」
「えっ……!?」

 修也は愛香の腕を引くと、サッカー部員の目が届かない茂みに引っ張った。



「……修?」
「悪い。あまり聞かれたくなかったようにしていたからな」
「あ、ううん。ありがとう」

 修也は引っ張っていた愛香の腕を放すと、はにかんだ愛香に微笑んだ。
 ……やばい、可愛い。
 知らずの内に胸がときめくのは不可抗力だ。きっとそうだ。
 思えばこの一年間、愛香意外の女子にときめいたことなんて一度もない。むしろ、ずっと思っていたと言っても過言ではない。
 ……これって、ストーカーじゃないか?
 いや、これも愛だな。
 そう思うことで自分を納得させると、修也は愛香に向き直った。

「それで? どうした。俺に用があったんだろ?」
「う、うん。あのね、イヤだったら良いんだけど……」
「ん?」

 再び恥ずかしそうにもじもじする彼女。それを愛らしいと思ってしまうのは末期なのだろうか。
 と、決意したのか。愛香はふと顔を上げた。

「一緒に、帰らない……?」
「あぁ、いいぞ」

 愛しい彼女が顔を赤らめて上目遣いで懇願しているのに、無下に断る輩が居たらそいつは男失格だな。
 即答した修也はそう思いながら理性を総動員するのに忙しかった。