二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: 【イナイレ】ずっと、隣にいますから【第一章開始】 ( No.9 )
日時: 2012/05/29 21:16
名前: 棋理 ◆U9Gr/x.8rg (ID: SGJxjeZv)

05

「えぇー、突然だが、今日は転校生を紹介する」
「転校生?」

 朝。教室に入ってきたとともに言った担任の言葉に、修也だけではなくクラスメイト全員が首をかしげる。本当に突然すぎる発表だ。

「まぁ、確かに急だがな。それに、うちのクラスは先日、豪炎寺が転校してきたばかりだし」

 担任の声で、修也に視線が集まった。
 確かに、修也が雷門中に転校してきてまだ日は浅い。そんな状況下での転校生。
 ……訳ありか?
 何となくそう思ってしまうのも仕方がない。クラスメイト達も心なしかざわつき始めている。

「おい、静かにしろ。それじゃ、おーい、一城。入ってきてくれ」

 ……一城?
 一瞬、見知った顔が頭に浮かんだ。けれど、それはないと自分で結論づける。 
 が、その結論はすぐに砕かれた。

「っ——!?」
「わぁ……」
「綺麗な人……」

 戸を控えめに開け、しずしずと入ってきた美少女。視線が集中するのは転校生ということだけではなく、明らかにその容姿も関連しているだろう。
 周りがおのおのと感想を漏らす中、修也だけはただ、少女のことを凝視していた。
 ……何故。
 何故。そんな疑問が頭を巡る。
 黒板に名前を書き終えた少女は、腰の前で両手を優雅に組んだ姿勢で口を開いた。

「帝国学園から転校してきました、一城愛香です。よろしくお願いします」

 そう言って、花のような笑顔を見せる少女の言葉に、再度驚愕する。
 ……帝国!?
 そんなはずはない。彼女は——。
 と、行きかけた思考を頭を振って追い出す。
 ……早とちりも良いところだ。
 目の前の少女と、自分が想っている彼女は別人の可能性だってあるのに。何の根拠を持って彼女だと断定しているんだ。
 けれど、目の前の少女は自分の記憶の中での彼女と違わなくて。

「小さい頃から体が弱く、皆さんと一緒にスポーツなどは出来ないと思いますが、早く皆さんと仲良くなれるように頑張ります」

 儚げな笑みや鈴の音のような透き通る声。今にも折れてしまいそうで、思わず支えたくなるほど小さい体。
 少女の全てが、想っている彼女に一致する。全て、愛おしくなる。

「——んじ。おい、豪炎寺、聞いてるか」
「っ! は、はい」
「あれが豪炎寺だ。そんじゃ、一城は豪炎寺の隣な」

 は? と言いそうになる。なんで俺が。クラスメイト達の視線が注がれる。その真意は絶対に
 ——“羨ましいぞこんちくしょう”だろう。やかましい。
 ふと、こちらに歩んできた少女の目が、修也のそれと交差する。
 ……あ。
 一瞬、目を小さく見開いたように感じるのは自惚れか。
 そう思ったが、瞬きすると同時にその顔は消え失せ、代わりにまた笑みの顔が映る。長くつややかな髪を靡かせ、修也の席の隣に座った。

「よろしくね。“豪炎寺君”」

 ——“豪炎寺君”

 しかし、彼女の口からは拒絶ともとれるような呼び方で、自分の名前を呼ばれた。