二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- からくり卍ばーすと ( No.0 )
- 日時: 2012/10/10 22:32
- 名前: 月森和葉 (ID: ngsPdkiD)
こんにちは、初投稿です。
月森です。
以前、間違えてファジーの方に投稿してしまったので、二次の方に投稿し直します。
この小説はひとしずくP「からくり卍ばーすと」feat,鏡音リン・レンをもとに書かれていますが、何分アマチュアなので本家動画様の魅力を半減してしまうかも知れません。ご了承下さい。
また、作者はとても臆病なので、皆様のコメントに左右されやすいです。
それでもいいぜ!っていう神様のような方は、このままお進み下さい。
目次
本編 >>0-14
番外編
本格的下剋上 >>16
始まり >>21-22
日常 >>27
その後 >>31-40
稟蓮地獄編 >>52
鑑定 月露 >>55
からくり卍ばーすと
VOCALOID『からくり卍ばーすと』より
暗い街の中、人も植物も何もかもが眠る闇に潜み、いかれた女が街を歩いていた。
右手には、大きな銃。勿論女は普通の人間ではない。
夜の街の住人、殺人鬼だった。
金の髪に、血に濡れたように紅い瞳。剥き出しの肩や腕、顔を斜めに走る痛々しい傷。左目を覆い隠す真っ白い包帯。
いかれた女は、黒い街を、大きな銃を握り締めて歩いて行った。
この街は、どこにでもあるような普通の街だった。
通勤中の男共が革靴の底を打ち付けて忙しなげに闊歩し、そこらで夕食の材料を買いに来た主婦が井戸端会議に華を咲かせ、高校生が恥ずかしげに服を選ぶ。そんな、普通の街だった。
だが、この普通の街に、普通でない組織が根を下ろしていた。
一口に言ってしまうのはとても難解な事だが、いわゆる犯罪撲滅組織だった。警察と似ているようだが、決定的な違いがある。
それは、犯罪者は、その場で問答無用で処罰されるべきだ、という格言を掲げていることだった。
そんな殺生な、と思われがちだが、その場で斬り殺されても仕方の無いような罪ばかり起こしている犯罪者が後を絶たないのだ。
その為、全員が武器を所持していた。勿論許可は取ってあるが、殺傷能力を有するため、選ばれた人間しかこの組織へ入ることは出来ない。
その選ばれた人間の一人、嘉神蓮夜。
若干十八歳でこの組織へやって来た、期待のルーキーだった。
どこからやって来たのか、またどうやってこの組織へ介入したのかは、誰も知らない。彼自身も口にしない。
若さ故の行き過ぎた行動も多々あるが、そこは優秀な成績で補っている。
金に近いと言っても過言ではない黄色い髪に蒼い瞳、顔に真一文字に走る傷があり、右目を覆い隠す黒い眼帯、この組織の制服である黒いロングコートと黒い制帽、それに腰に長い日本刀を下げている。
彼は幼いときに双子の姉と生き別れになり、姉を連れていってしまった犯罪者達を処罰せんが為に、二度と堅気の世界へは戻れない組織へと手を染めた。
顔の切り傷も、その時つくったものだった。その傷のために彼の右目は光を失い、潰れた。
この街は平凡で在るが為に犯罪者達の巣窟になりつつあったところを、地元の有志達がこの組織をつくり、犯罪者の大半が街を出て行くか捕まるかしたのだが、やはり、この街には犯罪者を惹きつける何かが在るらしい。
実際、この街にはなにかしらの犯罪者がよくやってくる。
今街を騒がせているのは、拳銃を持った殺人鬼だった。
「こいつは岬の神社の辺りによく出没する。岬の周りの警戒を怠るな」
「周辺の住民たちにも伝えた方が良いだろうな」
「夜の警戒も強くした方が良さそうですね」
組織の先輩の冥瑚と戒兎、それに自分の後に入ってきた瑠華だった。
彼らは自分の本名を明かしていない。
彼自身も蓮で通していた。
万が一組織を離脱したとき、全ての関係を断つためだった。
蓮の、組織の中でのモットーは「全てを排除する」。
文字通り犯人に繋がる他の犯罪者は皆その自慢の日本刀、『三日月』で切り捨ててきた。
ギリ…と彼の歯が綯った。忌まわしい過去の記憶を思い出してのことだった。
「蓮、お前はどうする?」
チームのリーダー格、赤髪の冥瑚が言った。
「え?」
「また考え事か?蓮。そろそろその癖やめたらどうだ?犯人を取り逃がしたらどうするんだよ」
青髪の戒兎も言った。実を言うと彼は成績はそこそこで特別良いと言う訳ではないが、冥瑚の計らいでこのチームに居る。
「先輩、大丈夫ですか?この頃顔色悪いですよ?」
桃色の髪を長く垂らした瑠華が自分の顔を心配そうに覗き込んだ。
彼女は蓮夜よりは年上だが、蓮夜より後に入ってきたので彼のことを先輩と呼ぶ。
「いえ……。すいません」
素直に謝ると、冥瑚の話に耳を傾けた。
「今話題の殺人鬼は、拳銃を使う。つまり私と瑠華は駄目だ。だが…」
「いいです。俺、やります」
冥瑚と瑠華は拳銃を使う。拳銃対拳銃では、勝敗は分からない。だが、蓮の使用している日本刀で在れば拳銃の弾である鉛を切断することも不可能ではない。
「あれ?俺は?」
以前は戒兎も刀を使っていたが、冥瑚が危険なのでやめろと言ったので現在は毒薬を使用している。因みに好物はアイスクリ−ム。放っておくといつまでも食べているので、目を離してはいけない。
「お前に任せて大丈夫だと思うか?」
戒兎を冥瑚の紅い視線が貫く(因みに冥瑚は呑み上戸だ)。
「…駄目だと思います…。ごめんなさい…。」
戒兎は冥瑚のお陰でここにいることが出来ているようなものなので、特に冥瑚には頭が上がらないのだ。もっとも、この二人の間にはまだなにかあるようだが。
「では、この件は蓮に任せる。基本的には蓮一人にやって貰う。私と戒兎、瑠華は別の任務に就く。異論は無いな。何せ上からうちのチームだけでも依頼がこんなに来て居るんだ。なるべく人員は削減したい。」
冥瑚が机の上に置かれた、大きなクリップで留められた紙の束を示した。
「はい」
「では蓮。お前は岬の神社に視察に行ってこい。何かあったら連絡しろ」
「…了解しました」
愛刀を握ると、蓮は暖かい日光が差す街へゆっくりと歩き出した。
- Re: からくり卍ばーすと ( No.1 )
- 日時: 2012/05/30 15:08
- 名前: マノレク (ID: JbVqO821)
こんにちはマノレクです
和葉さんアマチュアというわりに
とても上手ですね☆
自分も小説投稿してみようかな・・・
と、思わせるぐらいみとれてました♪
がんばってください!
- からくり卍ばーすと ( No.2 )
- 日時: 2012/05/31 19:38
- 名前: 月森和葉 (ID: CwXyXkbt)
二回目の投稿でございます。
こつ…こつ…こつ… 靴の底が地面を穿つ音が、暗い通路に響く。
鉄製の錆びたドアノブを捻ると、中には緑青色の髪を高くツインテールに結い上げた女性が脚を組んで座っていた。
キィ…と椅子の軋む音がやけに耳に響く。
「お帰り、稟祢」
「……只今戻りました、魅玖琉様…。」
稟祢は今街を騒がせている殺人鬼だった。
大きな拳銃を片手に、彼岸花の模様が鮮やかな羽織を翻し、夜の街を徘徊する、赤い夢の住人。
彼女の上司、いや、支配者と言った方が良いだろう。魅玖琉は瞳も髪も爪も緑青に染まり、ワイシャツの上に白衣を羽織って網のガータータイツを穿いている。
眼鏡を通して貫いてくる視線が、痛い。
稟祢は魅玖琉の足下に蹲り、下から魅玖琉を見上げた。
ただ紅いだけの、生気も何も籠もっていない、縋るような視線が魅玖琉を襲う。
「チッ」
魅玖琉は舌打ちをして、足下の稟祢をハイヒールを履いた足で思い切り蹴飛ばした。
「あっ」
稟祢は小さく悲鳴を上げたが、稟祢も魅玖琉もそれについては何も言わなかった。
「フッ、無様よね。こんなことしか出来ないなんて。良いこと?今日、岬に組織の『蓮』という奴が就いた。あんたはそいつと遊んでくるといいわ」
魅玖琉は稟祢の顎をつま先で持ち上げて楽しそうに笑った。
「……承知、いたしました……」
稟祢はふらりと立ち上がると、部屋を出ていった。
錆びた扉に再び触れると、自然と歌が口をついて出た。
「…姉よりあたしの方が可愛くねえ?でも可愛いだけじゃ何も変わらないからここはあえてツン全開…♪」
- からくり卍ばーすと ( No.3 )
- 日時: 2012/06/02 10:31
- 名前: 月森和葉 (ID: CwXyXkbt)
続きです。
岬の神社は崖の上に立つ、この街唯一の神社だった。
波が岩を打ち、冷たい潮風が頬を撫でる。いつの間にか空は重く垂れ込め、厚い雲が覆い被さっていた。
蓮は腕を組み、荒れ狂う海を見つめて立っていた。
眼は開き、海を見ていたが、心は別の場所にあった。
幼い頃の記憶。
楽しげに日の光溢れる公園で遊ぶ自分と姉。
途端、笑い声が悲鳴に変わった。
顔を切られたときの、熱く、冷たい感触。
真っ白いシャツは緋色に染まり、黄色い髪も所々赤く、染まる。
「……っは!」
我に返って両手を見た。
いつの間にか手には大量の汗が滲んでいる。
「……。」
拳を握りしめ、顔を埋める。
「くそ……!」
あの時、大切なたった一人の身内を見殺しにしたのは自分だ。そんな不甲斐ない自分を矯正するために組織に入ったのに、自分は……。
不意に顔を上げると、いささか派手でちょっと古風な服装の女性が立っていた。
基本的に赤なのに、髪だけが輝くような金、いや、黄色と言ってもいい。
黙ってその女性が彼の横を通り過ぎようとしたとき、嗅いだことのある、ただとても苦い思い出の匂いが鼻を突いた。
火薬だ。
「—失礼。少々お話を聞かせて頂けませんか?」
女性は赤い目だけを少しだけ動かして言った。
「…何故?」
「貴方から、とても危険な物の匂いがしたのでね」
「そう…」
女は蓮からゆっくりと離れると、羽織の下からとても物騒な得物を取り出した。
慣れた手付きで安全装置を外し、サイレンサーのついた銃口を蓮に向けた。
「蓮って……あなた?」
何故犯罪者が自分の名前を知っているのか甚だ疑問だが、素直に答えた。
「そうだ」
すると女は口元に笑みを浮かべた。
「魅玖琉様が、あなたをあたしの相手にしたの。でも…あなたじゃ相手にはならなそうね」
「何!?」
蓮は愛刀に手を掛け、柄を少し持ち上げた。いつでも抜けるようにだ。
「だって…あなた、弱そうなのだもの」
女は蓮と同じくらいの歳で、黄色い髪を白い布で纏め、紅い花の髪飾りを差している。
「お前……名は?」
女は少し考えてから言った。
「…稟。」
「お前の目的は何だ」
大きく息を吸い込み、蓮は極めて冷静を装って言った。
「あたしの…目的?あたしの目的は…、破壊。」
愛刀を抜かりなく構える。
「壊すの。何もかも。それでも物足りない。もっと壊したいの。あたしの可愛い弟を奪ったこの世界を、あたしは許さないの。」
どくん、と心臓が唸った。
「ぜんぶ、ぜんぶ、真っ赤にそめるの。あたし…昔はこの街に住んでいたのよ。この街はあたしを排除してしまったけれど…。あたし、これでもこの街を愛していたの。弟もね。でも、弟はもうどこにいるか分からないわ。そう…もう、この世には居ないかも知れない」
稟と名乗った女は紅い花の髪飾りを抜くと、それを息で吹いた。
途端に辺りは紅い花弁で埋め尽くされ、眼を覆った次の瞬間、稟はもうどこにも居なかった。
蓮も、一般人の気配が近づいてきたので慌てて刀を鞘に戻した。
組織の存在は国家には申請されているが、公にはされていないので、一般人の目に触れるのはあまり良い行為ではない。
だから稟もこの場を去ったのだ。
蓮も組織の事務所に戻った。
- Re: からくり卍ばーすと ( No.4 )
- 日時: 2012/06/02 17:24
- 名前: ゆりかん ◆Qd6XA/vkyQ (ID: pm796894)
おぉぉ!!からくり卍ばーすと!!
ひとしずくさんの曲の中でも大好きなやつです!!
すごいうまいですよ!!表現の仕方とか...見習いたいです!!
これからも応援してます!!
- Re: からくり卍ばーすと ( No.5 )
- 日時: 2012/06/02 21:54
- 名前: 月森和葉 (ID: CwXyXkbt)
おおおおお!
有り難うございます、ゆりかんさん!
すごい嬉しいです、この作品は友人以外には公開したことがなかったので他の方にどう思われるかドキドキだったのですが、お気に召したようなら嬉しいです。
これからも頑張ります…!
中間も終わったし、出来るだけ沢山投稿したいと思ってます。
テストの結果は気にしたら負ける。
子ネタなども盛り込んでおりますので、気付いていただけたら嬉しいです。
- Re: からくり卍ばーすと ( No.6 )
- 日時: 2012/06/02 23:00
- 名前: 蟻 ◆v9jt8.IUtE (ID: hTgX0rwQ)
どどどどどうも、はじめまして。蟻と申します。
からくり卍ばーすとはかっこよくて、私も好きな曲です。
ドSミクさんに踏まれたい…! 蹴られた稟さんうらやまけしからん
…ではなく、セリフが丁寧だなあ、と感じました。特に稟さんのセリフなのですが、セリフだけで性格が伝わります。
勿論描写の方もすっごく丁寧で、特に説明の入り方が流れててなるほど、と溜息をもらしました。ストーリーもしっかり作られてて、この後の会話、というか流れが気になります。
…あれ、なんか上から目線みたい…(´・ω・`)
私も一応ボカロ解釈小説を執筆しているのですが、見習いたいなあ、と感じます。そして何気に宣伝乙自分。
今後のストーリーと共に、ネタ要素も密かに楽しみにしてますw
個人的には本格的下克上でミクさんが束縛されてエロエロとkまさかねHAHAHA!←
多少ふざけてしまいましたが、更新がんばってください。楽しみにしております(`・ω・´)
- からくり卍ばーすと ( No.7 )
- 日時: 2012/06/03 08:45
- 名前: 月森和葉 (ID: CwXyXkbt)
コメント有り難うございます、蟻さん。
そそそそそんなに期待されても困りますぅぅぅぅ
果たして自分の文章にそんな価値があるのか心配になってきた。
取りあえずコメしていただいた皆さん、見てくれた方々、スライディング土下座したいくらい嬉しいですありがとぉぉぉぉ!!
本日は朝十時から用事が入っていましてこんな朝なわけですが…。
五時間とか巫山戯るなよあのクソ教師……。
おっとすいません地が出てしまいました。
それでは本文どうぞ(ニッコリ
「蓮」
「……ハイ。」
「物凄く下手だ。」
「……すいません」
蓮が殺人鬼に会ったと言うので、人相を描かせてみたものの恐ろしく下手なので冥瑚は頭を抱えていた。
「お前…、もう少し画力を鍛えろ。これじゃあ何が何だかまったくわからん。」
彼は彼なりに一生懸命描いたつもりなのだが、犯人が金髪に赤い目、大きな拳銃、白地に紅い彼岸花が描いてある羽織を着ていることが、辛うじて横に添えられた拙い文章で分かるだけだ。
そこに、片仮名でリン、ミクルと書かれていた。
「……まあいい。お前ら!紅い曼珠沙華の羽織を着ている奴は要注意だ」
冥瑚が辺りで書類を確認していた戒兎と瑠華に言った。
「蓮。お前は今日はもう戻れ」
「えっ……。そんな!冥瑚さん!」
机に肘を突いたまま、冥瑚は赤い目を蓮に向けて言った。
「そして夜になったらもう一度、神社へ向かえ」
冥瑚は甘い口元を少しだけ緩ませた。
「その状態のお前に落ち着けと言って落ち着いた試しが無かろう?」
「…はい!」
嬉しそうに言うと、彼は自分のアパートへと足を向けた。
「…魅玖琉か…。あいつ、また何か始めたのか…。」
その冥瑚が零した言葉は、蓮夜の耳には届かなかった。
彼のアパートは組織の事務所から歩いて7分ほどの所にある、六畳二間キッチン付きで西向きの比較的良い部屋だった。家賃、月七万五千円也。
黒い上着を脱ぎ捨て、ベッドに勢い良く横になる。
何もないまっさらな天井を見上げる。
『あたしの可愛い弟を奪ったこの世界を、あたしは許さないの。』
空白の空間に巡るのは、稟の放ったこの言葉。
「……くそっ」
上半身を起き上がらせ、見えない誰かに悪態をついた。
気が付けば時計は既に深夜を指し、蓮夜は黒い上着を引っ掛け、愛刀を取り上げて岬へ向かった。
えー、このまま行くと、次回決戦の時何ですが……。
決戦が決戦らしくないので……。
少し修正してから投稿しようと思います。
早ければ今日の夕方ごろ、遅くても明後日ぐらいには……。
頑張ります。
- Re: からくり卍ばーすと ( No.8 )
- 日時: 2012/06/06 19:56
- 名前: 玲於奈 (ID: w1dOosot)
- 参照: http://kagamine hasuzu
作者様≫すごいです!!
蓮夜がかこいいです!!
といっても私馬鹿なんで漢字がほとんど読めませんがww
難しい漢字が使われててかっこいいです!!
これからも頑張ってください
- からくり卍ばーすと ( No.9 )
- 日時: 2012/06/03 20:56
- 名前: 月森和葉 (ID: CwXyXkbt)
おお……!
なんか皆さん私の予想以上に見て下さって、しかも好評なんか頂いちゃったりしちゃって恐縮です……!
有り難うございます……!
続き、なるべく早く更新できる感じです。
よかった……。
「う……うわあぁぁっ!」
見えない相手が自分を貫く。
辺りは血の海と仲間達の死体。
最後の一人もその鋭利な鉄の塊に貫かれて絶命した。
稟祢は口元についた返り血を赤い舌で舐めた。
獲物を仕留めたときの蛇のような笑いが広がる。
そして、稟祢はそのまま夜の闇に消えていった。
「なんてことだ!」
昨夜、岬に向かった蓮は、血の海と沢山の遺体を発見した。
しかも身元を確かめてみると皆犯罪に携わる者達だったのだ。
冥瑚の手に握られた書類がグシャリと音を立てて潰れる。
流石の戒兎も青い顔をしていた。
「蓮!今日は日が落ちる頃から神社に張っていろ!戒兎!遺体の組織を全て洗え!瑠華!お前は私と一緒に来い!」
それだけ言うと、冥瑚は瑠華を連れて事務所を出て行った。
「くそ……!」
蓮は歯噛みした。自分の不甲斐なさが身に染みる。
「蓮。お前はもう行け。ここは俺に任せろ」
蓮はじっとりとした眼で戒兎を見た。
「…戒兎さん…。くれぐれも宜しくお願いしますよ」
「ああ。お前まで冥瑚みたいなこと言うなよ。気が滅入ってくらぁ」
気軽そうに言う戒兎を見て、蓮夜はこれなら任せても大丈夫そうだと思い、扉を開けて出て行った。
「……おい、本当にこれで良いのか?」
誰も居ないはずの空間から声が返ってきた。
「ええ。守備は上々よ。うちの子も今日…そうね、深夜二時頃に向かわせるわ。それで良いわよね?冥瑚」
ついさっき事務所を出て行った筈の冥瑚と瑠華、そして魅玖琉がそこに居た。
「ああ…。まさか、あいつらが…」
その先は聞き取ることは出来なかったが、冥瑚は何かを知っていることは明らかだった。
「はっ、はっ、はあぁっ」
さっきまで晴れていた空は忽ち灰色に染まり、雪が街中に吹きすさぶ。
彼はその中を全力で駆け抜け、岬まで向かう。
そして時刻は午前二時。草木も眠る、丑三つ時。
その時、背後で声がした。
「今晩は」
咄嗟に後ろを振り向くと、紅い瞳が笑っていた。
愛刀を即座に抜き、斬り掛かる。
パヒュッ、パヒュ!稟の手にしている拳銃が唸った。
一発は辛うじて刀で叩き切ったが、もう一発が蓮の頬を掠め、皮膚を裂く。
冷たい空気の中で織りなされる、善と悪の戦い。
「くっ!」
「ふふ…。脆い。人間なんて、所詮脆く、愚かで、浅ましい…!これほど慾と業に満ち溢れたことが在るだろうか!」
狂喜が今の稟を支配している。
「ほら…。真っ赤よ…。貴方も、あたしの手も…!あたしはこれを望んでいたのよ!全てを真っ赤に染めるの!」
血に濡れた手を差し出し、高らかに笑う。
「あはははは……!蓮夜……!お姉ちゃんやったよ…!お前の仇を討つよ…!」
彼の心臓の鼓動が、高鳴る。
「偶然」と言う言葉を信じていない蓮夜にとって、衝撃の事実が待ち受けていた。
地面に倒れ込んだ蓮夜に、稟は銃を向けた。
「蓮君が居なくなっちゃったのに、何であたしだけ生きてるの?何であたしだけ生かされてるの?何でつくられたの?どうして?…オシエテヨ?」
刀でそれを封じ、立ち上がる。
戦いは持久戦に持ち込まれた。
「ねえ…。あなたはどんな気持ち…?あたし、とっても気分が良いの。何故か分かる?愛する弟の仇を討てるのよ…。こんなに気持ちが良いのなんて、始めてよ!」
二人は一瞬飛び離れ、相対した。
二人とも肩で息をしている。
稟祢は相変わらず口元にアウトサイダーの笑みを浮かべ、蓮夜は顔にも黒い上着にも真っ赤な血を滲ませている。
全身に怪我をしているのは稟も同じなのに、楽しそうに笑っている。
不意に蓮夜が走り出した。
「そんなこと…幾らでも教えてやる!俺だって…俺だって何故生かされているかなんて分からない!だが……」
そして、殺人鬼に向かって、叫ぶ。
「お前は…お前は稟祢姉さんなのか!」
「え…?」
稟祢の手が引き金を引いた。
それと同時に蓮夜も斬り掛かる。
稟の姿は、どれも生き別れの姉と同じ。黄色の髪も、真っ赤な瞳も、顔を斜めに走る傷も。
二人の身体がぐらりと揺れた。
彼らの脳裏を巡るのは、幼い頃の笑顔の自分達。
稟の顔からは既に笑みは消え、激しい後悔と悲しみが広がっていた。
「ゴメンね…蓮夜…」
掠れた声で呟いた。
「稟祢姉さん…」
蓮夜も最後の力を振り絞ってそれに答えた。
それを最後に、二人は絶命した。
- Re: からくり卍ばーすと ( No.10 )
- 日時: 2012/06/03 21:15
- 名前: ゆりかん ◆Qd6XA/vkyQ (ID: QUWTL7M6)
あわわわ、あまりにも感動して思わず叫んじゃった...
稟祢&蓮夜の、感動の再会!!なんて感動するんだ!!
蓮夜が稟祢姉さんって呼んだときなんか、こうじーんときたTT
- からくり卍ばーすと ( No.11 )
- 日時: 2012/06/04 18:44
- 名前: 月森和葉 (ID: CwXyXkbt)
ぎゃーなんかもう皆さん有り難うございます。
感涙ものです。
さて、蟻さんの「本格的下剋上」ですが、完結後に少し書いてみようかな的なことを考え始めましたw
私はノリが妙ですので、そんなことを言って下されば実現するやもしれませんwww
取りあえず今は「秘蜜〜黒の誓い〜」を頑張りたいと思っています。
では本文どうぞ
「…死んだか。」
「あ〜あ、あいつ良い奴だったのになあ。勿体ねえ。」
「この処理はどういたしましょう」
「葬式ぐらいはきちんと出してあげなさい。二人一緒のお墓にね。兄弟なんだから」
赤、青、桃、そして緑青の瞳が折り重なって死んでいる稟祢と蓮夜の姉弟を見下ろしている。
白い雪と、緋色の血が彼らの回りを彩らせていた。
二人は穏やかな死に顔をしていた。
「本当に幸せそうな死に顔ね…。」
「でも、最期に姉弟に会えて良かったでしょう」
「だからって殺さなくても良いんじゃないか?」
「あら、それを知った上でこの子達が前のような普通の生活を送れるとでも思っていたの?戒兎」
魅玖琉が意味深な笑みを浮かべて戒兎を見た。
降参と言うように戒兎が肩を竦める。
「それよりも皆さん、もうすぐ夜が明けます。早く処理をしてしまわないと、一般人がやって来てしまいます」
瑠華が冷徹な声で述べた。
「ああ。戒兎、組織の処理班を呼べ。瑠華、表の辻褄合わせはお前がやってくれ。私は魅玖琉と一緒に事務所へ戻る。」
「はい」
実は魅玖琉の事務所は組織の裏にある。灯台もと暗しである。
「魅玖琉、お前は何の因果であの姉弟に眼をつけた?」
事務所に戻り、冥瑚が長い脚を悠々と組んで魅玖琉を睨み付けた。
「…あの子、前にうちの組織の人間が巫山戯て連れてきたのよ」
「何?」
「面白半分に傷つけ、暴力を揮っていてね…。私はあの子を護るために組織から離れたの。あの子が心の拠り所を捜していたから。結局私はあの子に嫌われたみたいだけどね。—そんなことより、気付いてる?冥瑚」
「ああ。どうする?お前がやるか?」
魅玖琉は座ったまま肩を竦めた。
「私にそちらの組織のことは分からないし、そちらにお任せするわ」
「分かった。まだ終わらないだろうが…頼むぞ」
「ええ。冥瑚様」
冥瑚は軽く舌打ちしたが、何も言わずに出て行った。
魅玖琉の元居た組織と冥瑚の組織は実は正反対のように見えるが、裏で通じていて、規約違反の犯罪者達を処分してもらう変わりに情報を明け渡すことで繋がっていた。
裏社会を代表する、大きな出来事である。
しかもそれが数十年に渡って続いていたと言うのだから驚きである。
実は冥瑚はその両組織の会長の娘なのだが、それを知っている人間は数少ない。
今日は以上です。
前話より影の薄い感じになりましたが、明日の投稿は無理そうです。
コメなら歓迎です。
—って私の小説に価値なんてあるのだろうか…(‖°Π°)
- Re: からくり卍ばーすと ( No.12 )
- 日時: 2012/06/06 20:04
- 名前: 玲於奈 (ID: w1dOosot)
- 参照: http://kagamine hasuzu
作者様≫(二回もすみません、うざかったらいってください…)
蓮夜と稟弥があああっ…
うるっときました………。
すごいです〜〜、これからも頑張ってください★
凄いおもしろかったです(●^ω^●)ノノノ
- からくり卍ばーすと ( No.13 )
- 日時: 2012/06/07 19:42
- 名前: 月森和葉 (ID: Lx/gxvCx)
ありがとうございます!
うざくないです!むしろコメ大歓迎です!
もう少しだけお話は続きますが、友人に「早く更新しろ」と怒られてしまいました……。
それではどうぞ。
数日後、内輪だけでの稟祢と蓮夜の葬式が執り行われた。
やけに明るい経が続く中、冥瑚、戒兎、瑠華が並び、少し離れたところに魅玖琉が座っていた。
魅玖琉は、本当に涙を流している様子だった。
彼らは、始めて顔の覆いを取り払った二人の顔を見た。
刃物の切り傷が眼まで達し、痛々しい限りだったが、青白い顔に掛かる黄色い髪がえも言われ用もなく美しく、二人の違いと言ったら本当に性別しか違わないのではなかろうかと言えるほど瓜二つだった。
「こいつら…こんなに似てたんだな…。」
戒兎の零した言葉が、やけに冥瑚の胸に染み込んだ。
次の日。
魅玖琉が死んだ。誰かに殺された。誰がやった?魅玖琉は、本当は良い奴だった。それを、誰かが殺した。
緑色の上に飛び散る緋色。
毒々しい、色のコントラスト。
目撃者は誰も居ない。
第一発見者は冥瑚。
誰がやった?誰が殺した?ダレガミクルヲコロシタ?
あともう一回ほどでこのお話は終わります。
その後にも何か別の小説を投稿しようと思っていますので、見かけたら見てやって下さい。
- からくり卍ばーすと ( No.14 )
- 日時: 2012/06/08 21:09
- 名前: 月森和葉 (ID: Lx/gxvCx)
えー、体調不良を引き起こし、さっきまで寝てました…。
PC立ち上げて、無理矢理投稿します。
何せ何かしていないと落ち着かない性分なので…。
では、最後どうぞ。
「戒兎さん…。」
夕暮れが迫る海辺の街。
そこに、戒兎は居た。
「瑠華…。」
戒兎は悲しそうに瑠華を見つめた。
「魅玖琉を殺したのは…君だね?」
舗装された道に、戒兎と瑠華の陰が落ちる。
「そうです。あたしは…貴方に…戒兎さんにあたしを見て貰うために、魅玖琉を殺しました。」
戒兎は悲しそうに呟いた。
「何故…殺してしまったんだい?」
「戒兎さん、あたしの気持ちを受け取って下さい。あたしは…貴方のことが、好きです」
その言葉を聞いた戒兎は、ゆっくりと首を横に振った。
「何故!?あたしは貴方のために魅玖琉に稟祢と蓮夜を殺すよう唆しました。魅玖琉もその言葉に従った。魅玖琉は貴方に好意を寄せていたんです。だから、魅玖琉も殺した。あたしが殺したという証拠は、塵すらも残っていない。稟祢と蓮夜を斬り、離ればなれにさせ、犯罪者に対する悪を植え付けたのもあたし。後は冥瑚を殺すだけ。そうすれば、あたし達は結ばれるんです。なのに、どうして!?」
瑠華の行き過ぎた愛は、戒兎へは届かずに、無機質な地面に落ちて転がった。
「前にも言ったろう?俺は…冥瑚が好きなんだ。この気持ちを変えることは…出来ない。例え、君が俺のことを心から慕っているとしても」
俯いた顔を上げると、瑠華がどす黒い顔で戒兎を見つめていた。
「う……あぁ…あぁぁあああぁぁああああああ!!!!!」
狂った瑠華は、長い髪を振り乱して叫び、そのままどこかへ消えてしまった。
扉が開いた。
冥瑚が座っていた。
「…誰も、居なくなってしまったな…。」
「ああ…。瑠華も、もう戻ってこないだろう」
冥瑚の赤い瞳から、大粒の涙が零れた。
小さい頃から蝶よ華よと育てられた冥瑚にも、どうしようもないことなど幾らでもある。
むしろ、冥瑚はとても不自由な生活を強いられて生きてきた。
戒兎と魅玖琉、そしてもう一人、少し年上の女の子が彼女の少ない友達だった。
彼女は奇麗な金色の長い髪を持っていた。
稟祢と蓮夜は、彼女の親友の子供達だった。
だから、見失ったと思っていた蓮夜が組織への介入を希望してきたときは、内心心臓が飛び出るかと思ったくらいだ。
親友は亡くなり、彼女の遺言は『子供達を護って』。
冥瑚は冥瑚なりに、魅玖琉は魅玖琉なりに。子供達を護ろうとしたのだ。
それなのに、皆、冥瑚の側から消えていってしまう。
もう、冥瑚の側には戒兎しか残っていない。
魅玖琉も、瑠華も、稟祢も蓮夜も、皆居なくなってしまった。
「リリア…ごめん、私、あんたの子供、護れなかったよ……」
最早彼女の側には戒兎しか居ない。
冥瑚は戒兎の胸に顔を埋めて泣いた。
声は上げずに、絞り出すような泣き声だった。
白い、冥瑚の珠のような肌を、宝石のような涙が滔々と流れていく。
戒兎は黙って、自分の腕の中で泣き崩れている冥瑚を抱き締め、じっと見つめていた。
あれから長い月日が経った。
街は普通の街へと戻り、犯罪者達もあまり来なくなった。
けれど、後には赤と黒しか残らなかった。
冥瑚は組織の大幹部までに成り上がったが、善と悪、両方の組織を解体させた。
それ故、稟祢と蓮夜の過去も、魅玖琉の心情も、瑠華の狂った愛も、冥瑚と戒兎がどうなったのかさえも、誰も知ることは出来ない。
そして、知る由もない……。
紅い街と蒼い街、二つが合わさって黒い街になった
紫色になるんじゃないかって?
そんなことはない
住人たち、みんな、真っ黒な心をもっていたからさ
真っ黒な心がどんどん膨らんで、紫色は消えてった
街は、黒いヒト達を見捨てたのさ
だって、だって、悪いコトしてる奴らを、庇う義理なんてどこにある?
そこにおちてったのが、きいろいふたり
兄弟なのに、相対して、戦って、
最期にお互いに傷つけ合って死んじゃった
赤いヒトと緑のヒトは悲しんで、
桃色のヒトは青いヒトを愛して、
桃色のヒトが緑のヒトを殺した
そしたら青のヒトは桃色のヒトを嫌った
一番最後に赤いヒトと青いヒトが、
一番最初の紅い街と蒼い街に戻したんだよ
でもね、やっぱり街には赤と黒しか残らなかったんだってさ
CAST 嘉神蓮夜 鏡音レン
嘉神稟祢 鏡音リン
冥瑚 MEIKO
戒兎 KAITO
魅玖琉 初音ミク
瑠華 巡音ルカ
リリア Lily
〈〈 終 〉〉
『からくり卍ばーすと』はこれでお終いです。
いかがでしたでしょうか。
面白くて、貴方の心に残ったというのなら、とても嬉しいです。これからも応援して下さると有り難いです。
つまらなかったというのなら、貴方のお気に召すよう、頑張ります。
他にも『イカサマ⇔カジノ』ひとしずく×やま△feat鏡音リン・レン
『秘蜜〜黒の誓い〜』同
『Bad∞End∞Night』 同featボカロ8人
『13943号室』SCLprojectfeatVanaN′Ice+氷山キヨテル
『深海シティアンダーグラウンド』田中Bfeat鏡音リン
を現在製作中です。
近い内にup出来るように頑張ります。
御一読、有り難うございました。
