二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: サンドスクレイパー Another story ( No.1 )
日時: 2012/06/03 15:26
名前: 奏緋 (ID: gOceoAmU)

“お前、この汚れた世界を見てみたいとは思わないか?”

序・“真の”サンドスクレイパー

「おい、ジンはいるかジンは!?」
「父さん、あのカスなら庭で雑草むしってるよ。僕が言いつけたんだ」
「あら坊ちゃん、いくらアイツがカスだといってもあからさまに言ってはなりませんよ?せめて芥ぐらいにしないと……」

この会話は、とある町のとある資産家の家族と使用人の会話である。
そしてこの資産家は、この町ではまあそれなりに名を響かせていた。

「父さん、ジンに用事があるんじゃないの?」
「ああ、そうだったそうだった。」
「坊ちゃんは偉いですねぇ」
「全く……あのジンとは大違いだ」

この資産家たちの間で酷い言われようの“ジン”とは。

「……終わりました」

少し跳ねた、焦げ茶色の髪。
吸い込まれそうな漆黒の瞳。
そして何より、整った顔立ち。

一言で言えば、美形だった。

しかし、そんな彼の着ている服はサイズが二周りほど大きいであろう薄汚れたシャツだった。
ズボンも膝あたりが破れている。

「やっとかよ」

資産家の息子がジンに向かって、ねぎらいの言葉の代わりにゴミを投げつける。


このジンは息子と兄弟である。
兄弟といっても、ジンは養子だが。
その為かジンはこの家族や元々いた使用人からこき使われるわ何されるわ……

一言で言うと『不憫』なのである。