二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: サンドスクレイパー Another story ( No.3 )
日時: 2012/06/05 07:16
名前: 奏緋 (ID: gOceoAmU)

「……冗談だよな、ハハ……」

ジンは引きつった笑いを浮かべると、さっさと倉庫を去ろうとした。

『だーかーら!俺は誰に乗られるんだっつーの!』

バイクが声を張り上げる。

「それは……息子さんじゃあ無いのかな……?」

多分、そうだ。
これは元々息子への誕生日プレゼントだと言っていたし。
だから誕生日が明日に迫った今、これを磨く事を命じられたんだ。

『フーン……』

バイクは自分から聞いたくせに興味無さげに返答した。
そして。

『あのさ、そいつはちゃんと乗ってくれるのか?』
「……は?」

それはジンにとって愚問だった。
なんせバイクだ。
乗る事が目的である。

「まぁ……乗るんじゃね?」

乗らなかったら……何するんだよ、バイクで。
ジンは真面目にそう思った。

(ま、このあとこのバイクと関わる事は無いだろうなぁ)

『じゃあさ、お前は俺に乗りたいか?』
「へ!?」

訳分からない。
だってこれは息子さんのバイクだ。
俺が乗るなんて事はまず有り得ない。
でも、もし乗れるなら。

「……乗りたい」

ジンはそう言って、倉庫を立ち去った。
バイクがクスクス笑っている事も知らず。