二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: 【イナイレ】短編集【リク受付中】 ( No.28 )
日時: 2012/07/19 18:25
名前: 棋理 ◆U9Gr/x.8rg (ID: SGJxjeZv)
参照: 作業用BGM:藤田麻衣子「運命の人」

『鼻をかすめたのは君の香り』

 休日。久しぶりのオフということもあり、俺は家で体の急速に努めていた。
 が、ふと頭をよぎることがあった。一人の少女のことだ。同じ学校ではなく、お嬢様学校に通う少女。普段からメールや電話のやり取りはしているが、久しぶりに顔が見たくなった。
 そう思った俺は、ケータイに手を伸ばしていた。



「勇人様。美空財閥のお嬢様がおつきになりました」
「あぁ、通してくれ」

 数十分後。家の前に一大の高級車が止まり、中から美しい少女が出てくる。その姿を確認すると、無意識のうちに胸が高鳴るのが分かった。

「失礼します」

 ドアの向こうからメイドの声が聞こえ、がちゃりとドアが開く。メイドを控えてやってきたその少女に、俺はほほえみかけた。

「奏」
「勇人様、お久しぶりです」

 着物姿の少女はそう言って、腰をきっちり折り曲げて会釈をする。艶のある長い髪がその衝動でふさりと落ちた。大和撫子を具現化したような容姿に、おそらく道行く人が何人も振り返るだろう。時代錯誤的な意味も含めて。

「すまないな、いきなり呼び出してしまって」
「いえ、お気になさらないで下さい。私も暇しておりましたので」
「そうか。それなら良かった」

 奏は、ふんわりと微笑むと、失礼しますと小さく言ってから俺の側に寄ってきた。その際にもしずしずと遠慮しながら歩く。
 奏の家、美空家は代々伝わる由緒正しき名家だ。それ故に厳しい環境の中で育ってきた彼女は、動作の一つ一つがしっかりとしていて、なおかつ美しい。ちなみに俺に対して敬語なのだが、彼女の場合は親戚にも敬語で話しているらしい。

「今日はサッカー部はお休みなんですか?」
「あぁ。久しぶりのオフだからな。普段会えないお前に、少し会いたくなったんだ」
「あ……そ、そうでしたか。私も、近々会いたいと思っておりました」

 なんて恥ずかしそうにはにかみながら彼女に言われて、俺は自分の部屋に彼女を呼んだことを激しく後悔した。理由は……なんとなく、各々で想像してもらいたい。
 ともかく、俺は遠慮している彼女をベッドに腰掛けるように薦めると、用意しておいたティーカップにアップルティーを注いだ。部屋中に甘い香りが漂う。

「あ、私がやります……!」
「いや、いい。最近、紅茶を入れるのに凝っていてな。これぐらいはさせてくれ」
「は、はい……」

 慌ててベッドから降りてこちらに手を伸ばすも、不要となったその手を困惑したように宙をさまよわせると、

「……素敵な香りですね」

 俺の向かい側に立って茶葉に手を伸ばした。
 彼女も紅茶に目がないらしく、手に少量取って香りを楽しんでいる。うっとりしたように細められた瞳が、とても美しい。
 良かった。彼女に楽しんでもらえるのならば、わざわざ取り寄せた甲斐があった。
 紅茶を入れ終わり、彼女にカップを渡す。奏は、ありがとうございますと微笑んだ。

「ん、美味しい……!」
「あぁ、なかなかのものだな」

 目の前で華のような笑顔を見せる彼女。
 ……やはり、呼んで良かった。
 ここ最近、練習が忙しくて連絡も疎かになっていた。やはり好きな彼女の声を聞けないともなると、きつい。精神的にクるものがある。
 
「あの、勇人様」
「ん? なんだ」
「……あの、私、今日会えて本当に嬉しかったです」
「……は?」

 何を言い出すんだ。
 と、こちらが怪訝な顔をしたのを気づいたのか、奏は慌てたように繕う。

「あ、ちがっ……! えと、ここ最近全然お声も聞けなくて、メールも返ってこなくて……。嫌われたかと思ったところに、勇人様からのお誘いがあったものですから、その……。う、嬉しくて。け、決してその、やましいこととかそんなんんじゃなくてですね!

 なんて顔を赤らめて言われてみろ。

 ——理性を抑えるのに限界だろ。普通。

「だからですね、勇人さm——っ」
「もう良い」

 身を乗り出して彼女の方に身を寄せると、彼女の顔がアップになる。そして、彼女の口を言葉ごとふさいだ。
 最初こそは驚きで目を見開い
ていたが、やがていつまでも離れないことに観念したのか、ゆっくりと瞳を閉じた。
 
「ん……っ」
「あぁ、悪い」

 まだ慣れていないのか、苦しそうに俺の胸を叩くのでようやく離してやる。
 彼女の顔は真っ赤になり、いまにもぼんっと破裂してしまいそうだった。

「い、いきなりすぎます……」

 そうやって俯く彼女の唇は、とてつもなく甘かった。



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すみません、内容がかなり薄くて訳が分からなくなりました。
許嫁って美味しいなぁなんて思いながら書きましたが、正直言ってちょっと失敗……?
ほのぼの系と甘系の間というところでしょうか。

ちなみに、これを書いている間にたまたま見つけたネットラジオを聞いていたのですが、
そのパーソナリティがよっちん(吉野裕行さん)でしたw 鬼道の中の人ww
キャラが違いすぎて、面白かったです^^