二次創作小説(映像)※倉庫ログ

六兆年と一夜物語 ( No.143 )
日時: 2012/08/10 07:29
名前: 月森和葉 (ID: ngsPdkiD)

「六兆年と一夜物語」kemu feat IAです。
あれ、なんか連続でkemuになっちゃった……。
タイトルの「六兆年」は「人生リセットボタン」の「6兆5千3百12万4千7百10年」だと思うんですが、どうでしょうね?((何言ってんのこいつ

確かこれを書けって言ったのは叶と月露だったと思うので見たら何か言え。


 名前も無い時代。
 小さな小さな集落。
 名前も無い幼い無垢な少年。
 少年の、誰も知らない、おとぎばなし。

 少年は産まれついた時から、忌み子、鬼の子として、その小さな身に余る、罰を受けていました。
 少年は何も悪くないと言うのに。
「悲しい事は何も無いけど」
 夕焼け小焼けに手を引かれてさ、おうちに帰るのが夢だったんだ。

 知らない、知らない。
 僕は何も知らない。
 叱られた後の、両親の優しさも。
 雨上がりの午後の手の温もりも。
 でも本当は、本当は、本当に寒いんだ。
 誰か、僕と手を繋いで下さい。
 寒くて仕方がないんだ。

 死なない、死なない。
 僕は何で死なないの?
 何で小さな子供のまま?
 夢のたったひとつも見られないくせにさ。
 誰も知らない、おとぎばなし。
 夕焼けの中に吸い込まれて消えていった。
 僕もそうして消えていければ良かったのに。