二次創作小説(映像)※倉庫ログ

六兆年と一夜物語 ( No.145 )
日時: 2012/08/11 07:47
名前: 月森和葉 (ID: ngsPdkiD)

ああああああはるくさんいつも有り難うございます……!
なんかもう誰も来なくなってるこのスレに来ていただいて嬉しいです!
よーし、メルト頑張っちゃおうかな




 吐き出す様な暴力。
 蔑んだ目の毎日。
 そんな日の中で、君はいつしかそこに立ってた。

「君の名前が知りたいな」
 僕に話しかけちゃいけないのに。
 ごめんね、名前も君に伝えられる舌も無いんだ。

 僕の居場所は、何処にも無いのに。
「一緒に帰ろう」
 手を引かれてさ。
 夕焼けの道を歩いたよ。
 僕におうちは無いのにね。

 知らない、知らない。
 僕は何も知らない。
 君はもう僕と同じ子供じゃないことも。
 慣れないひとの手の温もり。
 忘れたくても、忘れられないよ。
 ただ、本当に、本当のことなんだ。

 君は何でやめない?
 見つかれば、殺されちゃうくせに。
 僕に関わったらいけないのに。
 雨上がりの村に、鬼の忌み子がふたり。
 夕焼けの中に吸い込まれて消えてった。

 日が暮れて夜が明けて。
 遊び疲れて捕まって。
 また、君と鬼ごっこがしたいな。
 最後には、やっぱり僕が捕まってしまうけれど。
 こんな世界、僕と君以外皆いなくなればいいのにな。
『皆いなくなれば、いいのにな』

 知らない声が聞こえてきた。
 僕と君以外の全人類、抗う間もなく声の主に手を引かれて。
 血のような夕焼けの中に吸い込まれて消えていった。

 知らない、知らない。
 僕は何も知らない。
 これからのことも、君の名前も。
 でも、今はこれでいいんだと。
 ただ本当に本当に本当に本当に思うんだ。

 知らない知らない。
 他の人達がどうなったかなんて。
 僕にはどうでも良いことだ。
 煩いけど、何故か心地良いあの耳鳴りは、
 真っ赤な夕焼けの中に吸い込まれて消えてった。

 僕と君以外の、ぜんじんるいといっしょに。

                            〈〈 終 〉〉