二次創作小説(映像)※倉庫ログ

アザレアの亡霊 ( No.201 )
日時: 2012/12/09 15:18
名前: 月森和葉 (ID: ngsPdkiD)

実はこの曲一回しか聴いたことがない。



 そう、気高く濁した廃都市のような、この鉄塔を仰いだ街が、僕自身だった。

 潜める墓場と、負け犬のベンデッタ。
 その閑散な姿の街に大停電が降った。

 味気ないくらい価値もない舞台。
 きっとそこには愛もないんだろう。
 半透明の蜃気楼が白昼に腐る。
 味気ないくらいに誰も泣いていない。
 だって情もないだろう?
 ずっと歌を歌っていようか
 退屈だろう?

 でもそんな殺風景に、君はいたんだ。

 鈍色の廻り廻る感情は、重なり合った。
 この大都会の愛と哀とを熱く絡ませ、キミを守る街は光を放った。
 ほらね、ドドメ色の雨が降って、視界を塗り潰したよ。
 愛も知らないままに。
 汚れたままにね。

アザレアの亡霊 ( No.202 )
日時: 2012/12/13 18:45
名前: 月森和葉 (ID: ngsPdkiD)

 そう絞り上げてはまた吐き出した。
 平べったい言葉は静寂を切り裂いた。
 奇っ怪な街と、堕胎、性、そしてバルティーゴ。
 その劣等を孕んだ僕は、恥辱に浸かったままで。

 そんな殺風景に君が。
 送り込んだ幻想、熱く照り付ける閃光。
 眩んだ原風景に、火を灯せ。

 今までの混ざり混ざる現象は、鋭く尖った切先になった。
 自己防御に独占欲が淫らに溶けてさ。
 火花散りネジ巻きが衆を駆けた。
 でも気付かれはしないままに。
 捻くれた僕さ。
 愛も逆巻くほど、許されないんだよ。

アザレアの亡霊 ( No.203 )
日時: 2012/12/20 19:24
名前: 月森和葉 (ID: ngsPdkiD)

 歪みだす心も、こんな姿なら。
 君も愛も崩れ去れば、鎖は解かれるのだろうか?
 ガイドラインの夜光虫に似た街灯。
 誘う月光列車。
 湿る世界から、君一人をはじき出したら。
 誰のものになるだろうか、皮肉に咲いた街で。

 廻り廻る感情は重なり合った。
 この大都会の愛と哀を熱く絡ませ、君を守る街は切なく尖った。
 まるで僕は振りかざす刃のようで。

「誰か許してよ」ってさ。

アザレアの亡霊 ( No.204 )
日時: 2012/12/22 18:47
名前: 月森和葉 (ID: ngsPdkiD)

世界滅亡したの?




 ただ。
 身勝手な声を響かせて。
 助からない生命線だってさ。
 仕方がないってさ。
 君を守る為の街に、君はいなくて。
 それなら僕はこの亡霊のような街の、孤独なたった一人の亡霊だ。
 愛も知らないままに、生き続けようか。

                       〈〈 終 〉〉