二次創作小説(映像)※倉庫ログ

囚人と紙飛行機 ( No.46 )
日時: 2012/07/06 22:17
名前: 月森和葉 (ID: Lx/gxvCx)

mじゃなくて叶さん、それは…kemuでIAのやつですよね…?
IAはほとんど聴いたことがないので、書けるかどうか分かりません
つか週に最低二回は顔合わせてるんだからそん時言えや。

前回の囚人番号31番は私の出席番号です。
別の数字を使ったら、その数字に関係のある人が可哀想かなと思い、自分の出席番号を使いました。





 君と過ごした日々は、決して戻らない。
 でも、僕の胸の中で走馬燈のように消えては現れる。
 君が僕にくれたもの。
 手紙だけじゃない。
 それは

 優しさ—。

 僕に生きる糧をくれて、ありがとう。
 あの世でも、僕は君に会えないかな—?
 闇と憎悪と罪が渦巻く雑草の群れ。
 傍に儚く咲く、君という名の、綺麗な一輪華。
 僕と君とでは、生きていく世界が違ったんだ。
 だけど、僕は必死に手を伸ばしていた。
 どうしても、君と手を繋いでいたかったんだ—。
 お願い。
 これがもし、最期だというのなら、あのことはなしがしたいんだ。
 狭くて暗い、独房の中。
 僕にとって、ここは最期の場所。
 か細い声は、哀しく、悲しく、切なく、響く。






 遂に終わりが近づいてきた。
 胸も、息も、苦しくなってくる。
 眼ももう見えない。
『せめて、君の名前だけでも—』

 知りたかッタ…

囚人と紙飛行機 ( No.47 )
日時: 2012/07/07 09:21
名前: 月森和葉 (ID: Lx/gxvCx)


2,もう一人の囚人

 ある時代、ある場所で、決して交わることの出来ない二つの世界の住人が、たったひとつの紙飛行機で拙い世界を繋いだ。

 ある日、私は病院が嫌で、こっそり部屋を抜け出した。
 パパの仕事場に向かったのはただの気紛れ。
 でも、私はあの場所で、彼に出会った。
 彼と交わす、紙飛行機の手紙と、真っ白で無機質な病室が私の全て。

 彼の手紙。
 少し汚い文字と、拙い文章。
 それでも、自然と心が暖かくなって、嬉しくなって、頬が赤く上気する。
 これが、恋?
 でも。
 その手紙は私の全て。
 それをパパは言った。
『リアリス。もうにどと、あのこに、あってはいけないよ』
 リアリスなんて呼ばないで。
 私の名前はリア。
 ママが死んでから、パパはとても怖くなった。
 私はリアリスじゃないよ—。
 そう言ったときのパパの顔。
 とても怖い顔だった。
 どうして?
 パパの言葉が理解できない。
 どうして、そんなにこわいかおをしているの?

囚人と紙飛行機 ( No.48 )
日時: 2012/07/07 14:46
名前: 月森和葉 (ID: Lx/gxvCx)


 貴方がいるから、それだけで私は頑張ろうと思う。
 それだけで、生きている意味があると思ってる。
 光の差さない、暗いこの部屋で、君からの手紙は未来に輝いていたというのに。

 日に日に増えていく、私の身体と機械を繋ぐ、管の数。
 徐々に聞こえなくなっていく耳。
 足も随分衰えてしまった。
 もう、歩くのも辛くなってしまったかな—。
 私はもう、病院から生きて出られないだろうから、最後に貴方に。
 貴方にだけは、心配を掛けたくないの。
 だから、最後の力で、あの場所まで、走る。
 さよならと伝えたくて、でも本当の思いも伝えたくて、伝えられなくて、風に乗って彼の元へ届く紙飛行機。
 ここで、泣いちゃ駄目なんだよ。
 彼は、とても驚いた眼で、とても悲しそうな眼で、私を見た。
 私は、大声で泣きたいのを堪えて、精一杯笑って見せた。
 大丈夫かな。引きつってなかったかな…?

『待つよ。いつまでも待ってるよ。君が帰ってくるその日まで、君の手紙をなくさずにいるよ。そうしたら、また、会えるよね—』
 最後の君からの紙飛行機。
 会いたいな。会えると良いな。でも、私は—。