二次創作小説(映像)※倉庫ログ

茨まみれのシンデレラ  第2章 ( No.9 )
日時: 2012/06/25 18:15
名前: 緋賀アリス (ID: 35AN48Qe)

 ——今日は朝の委員会がなかったので、いつもより遅めに学校に着いた。席に着いて、付近の会話を盗み聞きながら微睡んでいると、

「ねぇねぇ転校生だって!」
「マジ!どっちどっち」
「男子。超イケメンらしいよぉ」
「えぇぇん」
「ヤダ、キモい声出さないでよ」

珍しい事も在るものだ、こんな中途半端な時期に転校生。しかしイケメンとなると、また一部の女子がでしゃばり始めるんだよな、お陰で私みたいな地味な部類はお喋りもできたものじゃない。
……まぁそんなに関わったからってどうなるものでもないが。

相変わらず、口が減らない女子達の会話を遮るようにチャイムがなる。

普段は教師が来ても、いつまでもふざけたりする癖に今はきちんと席について、教師に「早く転校生見せて」と言わんばかりに視線を向ける。
「まぁまぁ、そう急かすな。皆も聞いていると思うが今日から新しくクラスの仲間が増えるぞぉ、よし、入ってきていいぞ」
教室のドアがゆっくり開くと外から、背の高い男子が入ってくる。体格がいいわけではないが背が高い……いわゆるスラッとした印象だ。175は恐らくあるだろう。
「転校生の藤宮悠人です。」
長い腕で、黒板に書かれた丁寧な白い字……中々格好いい名前じゃないか。改めて顔を見てみると「超イケメン」というのは言い過ぎな気がする、まぁ日本の中2男子を外見でランク付けしたら「イケメン」に入るレベル……いわば中の上、いや上の下か?というか私は何評論家みたいなことしてるんだろう。
 それにしたって、必ずしも悪い顔ではないし、背も高い、おまけに『転校生』というどこか特別な感じは、女子のハートをガッツリつかんだようだ。

「え?超カッコよくない?ヤバイヤバイ」
「藤宮君か〜〜キャー」
「まさか遠距離の彼女持ちとかはないよね?」
「あの顔なら、なくもないかも……」
「先生〜〜藤宮君の席、私の隣とかどうですか?」

「おまえらは……じゃあ、藤宮、今日から頑張れよ?席はえぇと……」
先生が教室全体を見渡すと、女子達のこっちこっちコールが始まる、……私の席は窓から2列目の前から5番目……私の隣はないな……

先生の視線が窓側で止まる。
「うん、おまえはあの窓側の角だ。おい、前の奴等は詰めてやれ」
私のちょうど斜め後か……割りと近いな。
「よし、じゃあ今日も一日頑張れよ!」
そう言って先生が教室から出ていくと同時にチャイムがなる。すると、案の定クラスメイト達があっという間に藤宮君の回りに群がる。


——6時限目の終了を告げるチャイムが鳴る。今日もやっと授業が終わった。それにしても今日は五月蝿かった……具体的に言うと斜め後が。まぁ私も寝てる振りをして会話の一部始終をしっかりと聞いていたが。藤宮悠人……彼は両親の都合で此処に引っ越してきたらしい。この都合というのが、中々複雑なのかその内容に対する質問はうまい具合に、のらりくらりとかわしている、他は好きなテレビ番組だとか他愛もない質問ばかりだった。……因みに彼女はいないらしい。

今朝ぶりに担任が登場する。まだ3週間はあるのに期末試験が近いぞしっかり勉強しておけよなどと言っている。
「じゃあ日直は挨拶…………の前に藤宮!今朝言っておけばよかったんだがな、お前委員会はどうする?」
委員会か……うちの委員会に入ってくれれば嬉しいが、おそらく無縁だろう。大方掲示委員会とか、体育祭委員とか楽なのにするだろう。
「どんな委員会があるかは、学校資料に書いてあっただろう?先生が話を付けておいたから、一応どの委員会にも入れると思うが」
クラスからブーイングが漏れる。転校生だけが好きな委員会に入れるのが気に入らないんだろう。私達はジャンケンで決めたからな。
「その……できれば人が少ない委員会に入ってほしいんだ、あ、別に強制してるわけじゃないぞ」
「園芸委員会がいいです。確かうちのクラスは一人ですよね?」
「そ、そうしてくれると助かるなぁ、じゃあ藤宮は園芸委員会っと」
クラスから今度は驚きの声が漏れる。誰があのほぼ毎朝朝早く学校に行って、花壇の世話をする委員会に入ると思っただろうか。

無論、私はクラスメイトの100倍位は驚いている。