二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- 茨まみれのシンデレラ 第3章 ( No.13 )
- 日時: 2012/06/30 20:05
- 名前: 緋賀アリス (ID: 35AN48Qe)
- 参照: http://www.madoka-magica.com/tv/special/dic/card2.html
「灰原!!藤宮に委員会の仕事教えてやってくれ!」
「あ、はい」
面倒臭いな……というと嘘になるな、本当は少し嬉しい。席が近いのにまだ一度も彼と喋れていないから。
「灰原さん……だっけ?君がこのクラスの園芸委員さん?、よろしく」
「ぅあ、う、うん」
近くで顔を見ると、さっき見たよりも魅力的でビックリした。肌は白く、綺麗で、睫毛も多分私より長い。少し中性的な顔でいて、でも長い首が体に繋がる……ちょうど彼と向か
い合うと私の目が当たる肩は他の男子と変わらずがっしりしていて顔とは反対に男性的だ。
「俺、前いた学校でも園芸委員だったんだ、だから大体仕事の内容はわかるよ。だから、倉庫とか会合をやる教室とかを教えてくれないかな?」
——し、視線が痛い……
さっき近くで見たから判るが(ちなみに私は視力が悪い)藤宮君はかなり格好いい、それは……通りかかった女子生徒ほぼ全員が二度、いや五度見する位に。
まぁそんな格好いい彼を私なんかが連れてるんだから、端から見れば異色だろう。お前ら安心しろ、恋人なんかじゃないから。
「でさ、前の学校では……」
かくいう彼は色々な事を話してくる、彼は意外とお喋りみたいだ。
会合を行う教室を教えてから、校庭にある園芸倉庫を最後に案内するのは……
委員会の花壇、それも私一人が世話を任されている花壇だ。私の花壇はちょっと特別な所、学校からの来客専用の車が入れるようになっている門の辺りだ。校庭から校舎に沿って
裏に回ると……着いた。
「うわぁ……」
彼が少し間抜けな顔をして驚いている。その顔なら気に入ったみたいだ。
「どう?気に入ったかな?」
「これは……君一人で育てたのかい?」
「うん、すごいでしょ?」
私は普段は地味だけど、花の話になれば幾分かは饒舌になるのだ。得にこの薔薇の花壇は最高傑作だと思っている。
「すごい……すごいよ、灰原さん!!こんな素敵な薔薇園、見たことないよ。」
この反応なら、お願いできるかもしれない。
「あのね……良ければなんだけど、この花壇、私一人じゃ大変だから、私と一緒に手入れしない?他の委員会の花壇はお世話する人がきっちり数が割れてるし」
しばし沈黙の時間が流れる。彼は無表情だ。
「勿論だよ!喜んで受けさせてもらうよ。」
彼はさき程とは、うって変わって笑いながら、私の両手を握り上下にブンブン振ってくる。そんなに喜んでくれたなら嬉しい。
「じゃあ明日から早速一緒にやってくれるかな?朝早いけど大丈夫?」
「勿論!こんな美しい薔薇園の手入れが出来るなら徹夜だってするさ!」
「そこまでしなくても……」
彼は本当にこの薔薇園を気に入ったようだ。……そうだ、こんなに気に入ってくれているなら、薔薇園の薔薇を何本か摘んで花束みたいにして渡してあげよう。早速、委員会の日
程などを説明しながら、薔薇を摘む、赤に、ピンクに、黄色。普段から持ち歩いている(ドヤァ)簡単な飾り紙で包んで……出来上がり、と最後に渡そう。
「ざっと、説明はこんな感じかな?じゃあ明日からお願いするね」
この空気だと、一緒に帰るんだろうか……いや恥ずかしいから嫌……なはずなんだけどどこか期待している自分がいる訳で……。
「あのさ……」
嘘!まさか、一緒に帰らないとかいうお誘いかな?
「今日、他の子と帰る約束しちゃってて……食堂で待ってて貰ってるんだ、よかったら一緒に来る?」
「……」
他の子が待ってる……だと……!!
「あ、今日急いでるから先帰るね、ごめん」
私は駆け足でそこから駆け出してしまった。