二次創作小説(映像)※倉庫ログ

第1話 ここはどこ?私は誰? ( No.2 )
日時: 2012/08/13 16:03
名前: のあ (ID: 6..SoyUU)

離れたくない

何回目かも分からない独特な浮遊感で、私は気づいてしまった。

それまで、何度も何度も考えては、胸の奥に押し込めてた気持ち。

私は、皆…●●●たちと、離れたくなかった。

もう、手を伸ばしても、届かない。

取り戻せない

だったら…………で…もう一度…

『レーナッ!!!』

最後に、●●●の声が聞こえた気がした…

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「ね…おき………」

 誰かが、何かを言っている気がする。けれど、私の体はそれに反応できない。

「ねえ…き……たら……」

 まだ……もうちょっと……。

「ねえ、起きてったら!!!!」
「わあああああ!?!??」

ドスンッ
鈍い衝撃が私の腰に伝わる。どうやら、地面に思いっきりぶつけてしまったようだ。

「いっててて……」

 完全に目が覚め、私は驚かした張本人を見る。
 そこには、赤いバンダナ、黄色いコートという派手な服装の大人しそうな青年がいた。
 
「っご、ごめんっ。道に倒れていたから、起こそうと思って…。僕の名前はエイト。18歳のトロデーン城近衛兵だよ。君の名前は?」

 とろでーん?コノエヘー?
 耳慣れない単語に首をかしげるけど、とりあえず私も自分の名前を言う…って、あれ?
 
 思い出せない。

 記憶が…ない。

 ど…どういうこと!?もしかして私…記憶喪失ってやつですか!?
 自分の名前も思い出せないほど、重症なの?でも、名前を聞かれたから答えなくちゃ…ええっと。
 
 「…レーナ(多分)」

 とっさにさっきの夢の中に出てきた名前を言う。うう、これ他の人の名前だったら辛いなぁ。
 するとエイトさん?はにっこりと笑った。…あ、可愛いカモ。

 「そっか、レーナかあ。それじゃ、レーナはどうして道に寝転んでたの?」
 「えっと…それは…」

 答えられない質問いきなりきちゃったよ!!
 何!?この人、人のスキをつくのがうまいの!?これはマズイッて!!
 パニックになってるとき、別の声が間に入ってきた。

「兄貴、嬢ちゃん、困ってますって。もしかして、何も分からないんじゃないでゲスか?」

 ツンツン頭が現れた!!

「妖怪!?栗まんじゅう!?」
「初対面でいきなりそれはきついでヤンス!?」

「まあ何も分からないのなら仕方あるまい」
「妖怪●間!?」
「なんじゃそれは!?」

 なにココ!?人外魔境なの!?みどりのおっさんと栗まんじゅう連れて歩くのがここではメジャーなの!?

「おっ落ち着いてレーナ!ちゃんと話すから、君も自分のことわかるのだけ言って!」

**数十分後**
 エイトさんの説明をまとめると、みどりのヤツは『トロデ』さんって名前らしい。元はトロデーン城って所の王様で、呪いをかけられてそういう姿になっちゃったのこと。ちなみに馬もミーテイアという名前のお姫様らしい。
 栗…じゃなくてヤンガスさんは元々そういう姿だとのこと。(ありえねー)
 それで馬姫様と王様の呪いを解く為にエイトさんたちは、道化師の格好をした『ドルマゲス』という男を追っているらしい。
  …にわかには信じられないけど、心底真面目に語ってるから嘘ではないんだろう。まぁ、騙されてるって可能性もあるけど。

 で、私は…名前以外のことをほとんど忘れていた。幸い言葉とか仕草とかは覚えていたけど、自分は何者で、何の為に道に倒れていたのかは全くわからなかった。
 ちなみに所持品は着ていた真っ黒いローブと半袖の襟があるyシャツとふわっとしたスカート、それに細身の剣を持っていた。

 さあ…どうしよう?記憶がない私にとって、この世界のことは何も知らない。目的もわからない。かといって、ここにずっといるわけにもいかないし…んー…。

「ねぇレーナ、僕たちと一緒に、旅をしない?」
「え?」

 唐突にエイトさんが言った。彼は優しそうな目で、私を見ていた。

「い…いいの!?」
「うん、ただ、しっかりと働いてもらうよ。魔物を倒したり…ね。それでもいい?」

 私はゆっくりとうなずき、目の前に差し出されたエイトさんの手を取った。

「よし、それじゃあ、トラペッタに向かって出発だ!」

 そうして、意気揚々と最初の街『トラペッタ』に向かって私たちは歩いていった。

 これは、私と、後に世界を変えることになるエイトさんたちの、冒険の物語ー…。