二次創作小説(映像)※倉庫ログ

コラボだよ!!全員集合!! ( No.131 )
日時: 2013/04/07 23:28
名前: のあ (ID: DYDcOtQz)

第二話 食い盛りって、恐ろしい。

sideサフィラ

 その日、サフィラたちのパーティーではとある事件が起きていた。

「…え〜、というわけで。食料がなくなりました☆」←エイト
「☆とかつけてんじゃねぇよ!!どうすんだよ!?」
「黙ってなさいククール……余計にお腹減るわよ?」
「あ……あっしはもう……ダメでやんす……」
「も、もうすぐそこに街があるはずだから…それまで耐えて……」
「ピキィ〜…(僕、もうつぶれそう…)」

 そう、食糧危機である。
 旅を続ける上で一番の障害となるもの・空腹。サフィラたちは、現在それに囚われており、頬が青白くやつれている。
 彼らの横では、ミーティアが心配そうな顔をしてちょこちょこと歩いている。
 一体なぜこんなことになったのか。話は2日前に遡る………。

〜回想〜

 その日、サフィラたちの食事係は、ミーティアだった。
 サフィラたちのパーティーでは、毎日一人ずつ当番を交代しながら食事を作っている。加入したばかりのミーティアは、その日が初めての当番であった。

『じゃあ、今日はミーティアが担当ね。
 初めてだと思うけど、頑張って。なにかあったら呼んでいいから』
『は、はい!!私は頑張ってみます!!』

 ゼシカの言葉に力強くうなずくミーティア。少し不器用なのでいささか不安ではあったのだが、姫として美食を食べてきた彼女のことだ、きっと美味しい料理が食べられるに違いない……サフィラたちは、そう期待していた(特にククール)

 ……これが悪夢の始まりとも知らずに。

 エイトは、忘れていたのだ。ミーティアがとんでもない料理オンチということを——

☆彡〜〜〜〜〜(・∀・)ワーイ←

 そして悲劇は始まった。

※ここからは音声でお楽しみ下さい※

『お父様、ちょっと錬金釜を借りますね♪』
『む?何を錬金するのじゃ??』
『お夕食の、カレーです!!』
『……………………はぃ?』
『楽しみに待っていてくださいね〜〜!』
『………わしもついに耳が遠くなってしまったか……』

『えーと…?カレーの材料は、肉と、じゃがいもと、人参、玉ねぎ……あら、切れている…。そこら辺の草でいいですよね♪それとー…カレー、ルゥ?何でしょうこれ?色が茶色になるためのもの……馬の(ピー!!)《自主規制》で代用しましょう。
 あとご飯を入れて……。…!!よく見たら、いろいろ入れると美味しいと書いてあります!!どうせなら、作りおきしちゃいましょうか。
 ……よぉし。後は蓋をして加熱……メラ、ですかね?
 ゼシカさんーー!!ちょっと来てください!!』
『何?わからないことでもあったの??』
『いえ、これにメラをかけて欲しいんです』
『???錬金釜にメラ?…別にいいけど…はあぁっ!!』

パコーン!!!

『!!?』
『ありがとうございます、ゼシカさんのおかげでお夕食ができました!!』
『夕食!?!?』

 ——こうして出来上がったものは、とてもカレーとは呼べないシロモノだった。

『さぁ、どうぞ召し上がれ☆』

 満面の笑みで差し出されたソレを、サフィラたちは無言で見つめる。
 時折ぼこりと泡立つソレは、一瞬悪魔が作った毒薬かと思うほどだ。
 実際は、美しき18歳の姫が作ったのだが。

『『『『『………頂きます』』』』』

 静かに手を合わせ、恐る恐る口に運ぶ。ちなみに危険を察知したエイトは小さくギラで、ゼシカはメラで熱消毒し、サフィラはインパスで大丈夫かどうか検査していた。
 その結果。

『『ぶぐふふぉふぁげふぅっ!!?』』
『ミ、ミーティア、愛しておった……ぞ…(バターン!)』
『や、ヤンガース!!』
『ククール!?』
『お父様?』

 まず、何もしなかった三人が倒れ。

『あれ…なんかめまいがぐぼふぁ』
『ちょ……ちょっとお花を摘みにっ!!』

 次に熱消毒したはずの二人が倒れ。
 …最終的に、インパスにより《危険》と判断し食べなかったサフィラ(+メイル)だけが助かった。
 こうして、その日の夕食時の惨劇により食料が全て消え、サフィラとメイルとミーティアを除く全員が腹痛を患ったのであった。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「あ、あの……申し訳ございません。私のせいで…」
「いや、いいんだ。ミーティアは一生懸命作ってくれたんだから。
 それより、君はお腹空かないの?」
「私は元々小食なので……すみません、料理なんかしたことが無かったもので…」

 すまなそうにうなだれるミーティア。彼女に悪気はないのだが、それでも食べた者全員の体調を崩す殺人カレーを作り上げた腕は凄まじい。

「あぁ……なんか食べ物ないかなぁ……。
 ヤンガス、『盗賊の鼻』でなんか見つけられない?」

 そんなことを呟いたのはエイトである。ヤンガスの特技・『盗賊の鼻』は、宝箱の在処しか見つけられない。そのことも忘れてしまうほど、今のエイトは追い詰められている。
 サフィラは彼の様子を見て、ひとつため息をついた。

「エイト……気持ちは分かるけれど、そんなんで見つけられたら誰も苦労しな…」
「あっあにきぃぃ!!こっちからいい匂いがするでやんす!!」
「でかしたヤンガス!!」
「嘘だろ!?」

 ヤンガスの声を聴きそこに飛び出していくエイト。…食い盛りとは、恐ろしい。
 サフィラたちも慌てて二人の後を追うと、確かにいい匂いがしてきた。

「…!これか……」

 そこには、火にかけられたままのスープと携帯食料が置いてあった。
 あたかも、今まで誰かがそこにいたような風景に、サフィラは違和感を覚える。

「どうして、こんなところに…?」
「……どうやら、ここでとても古い呪文が使われたようね」

 ゼシカが地面に手を触れながらつぶやく。

「精霊の気配が全く感じられない……ということは、まさかこれはパル……」

『願い、聞き届けよう』

 突然、しゃがれた声が響きあたりが光に包まれる。
 同時に、体に謎の引き裂かれるような力が加わった。

(これはっ……旅の井戸と同じ力…!?)

「っ…なんなんだよ、一体ぃぃぃぃっ!!」

 その叫び声も空間のねじれに吸い込まれて、レーナたちと同じ様にサフィラたちも消えた。