二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- 第5話 レーナ暴走、エイトは悩む part2 ( No.23 )
- 日時: 2012/09/18 16:07
- 名前: のあ (ID: w1J4g9Hd)
「エイト、これはどういうことなのカナ?」
「…だから、レーナは大袈裟すぎるんだよ。あれぐらいの傷で10レベルの僕がやられるわけないじゃないか。」
「あんなふうに倒れられたら、普通は誰だって誤解するでしょうがっ!!」
翌日、私たちは宿屋の中で言い争っていた。何故って?それはエイトの傷が大した事なかったからだよ!!あんだけ派手に倒れといて、現在顔に絆創膏貼ってるだけの状況って…悲鳴あげて心配した私が馬鹿みたいじゃないっ!!
「しょ…しょうがないだろ!?水一気にかぶって息できなくて酸欠だったんだから!!」
「じゃあなんで最後のことばみたいないい感じのこと言ったのよ!!」
「一度は言ってみたくない!?そういうの!!」
「そういうのはほんとの終わりの時だけに言え!!」
「や…止めるでやんす、兄貴、嬢ちゃん!!また迷惑になるで…」
「「呪いで役に立たなかった奴は黙ってろ」」
「!!ひ…ひどいでやんす、二人とも…。あっしがここまで水晶玉と兄貴たちを運んできたのに…。」
ちなみにヤンガスは気をうしなった私たちと水晶玉を運んできてくれたらしい。それは嬉しいんだけど、この争いに口を挟むこととは別。
二人同時に罵倒された結果、怒る気力もなくなったのか、部屋の隅でうずくまっている。…意外とデリケートだね。
「それはそうと…レーナ、ほんとにあのときのこと、覚えてないの?」
「あっさり話をそらすな!!…何を言ってるか分からないって、さっきから言ってるでしょ?ほんとーに私がザバンを倒したの?全然覚えてないんだってば。」
「そっか……。」
そういうとエイトは急に思案顔になり、何かを考え込んだ。
そういえば、あの魔物・ザバンは私が倒したらしいんだけど、全然そのことは覚えてない。
記憶があるのは、エイトが倒れて悲鳴を上げたところまで(今思うと超恥ずかしいーー!!)で、気がついたら全てが終わってて宿屋で寝かされてたって感じ。
私としては全然「解決」って気はしないんだけどね。
「まあ…いっか。よし、水晶玉も取り返したことだし、早速ルイネロさんとユリマさんに会いにいこうか。」
エイトの考え事は、すぐに自己解決したみたいで、ほんの2,3分で終わった。水晶玉もゲットしたし、あとはユリマちゃんたちの問題が解決すれば、ルイネロさんに占ってもらってドルマゲスの居場所もわかる。私は「はーい。」と返事をすると、準備をするため2階へ上がっていった。
- 第5話 レーナ暴走、エイトは悩む part3 ( No.24 )
- 日時: 2012/09/18 16:10
- 名前: のあ (ID: w1J4g9Hd)
*エイトSide
(やっぱり覚えてない……か…)
急いで階段を駆け上がって行くレーナを見て、考える。
あのザバンを倒した時のレーナは、今とは全く違う…別人のように冷たい雰囲気だった。それに、強さも全然違った。あれは完全に僕たちのレベルの上を行く戦い方だった。
一体なぜ?彼女は僕たちと同じぐらいのレベルで、素早さと魔力が高い事以外は普通の冒険者並みのステータスだったはず。
それがいきなりはねあがり、苦戦していた敵を一人で倒すほどになるとはどういうことだろう?
しかも、彼女はそのことを全く覚えていない。ちょうどその部分だけがすっぽりと抜け落ちている。
それに、レーナは近衛兵として鍛えて来た僕が、今まで出会ったことがない、本物の殺気も出していた。
まるで……『レーナ』という一人の女の子のなかに「2人」存在しているように、人格が変わっていた。レーナは記憶喪失だというから、そのせいなのか?
「レーナって…一体何者なんだ……?失われた記憶のなかに…なにが、あるんだ…?」
「エイトーーー!!準備できたよ〜。早くルイネロさんの家にいこう!!」
「兄貴〜〜兄貴の分まで荷物まとめておきやしたぜ〜〜。」
「…あ、ありがとうヤンガス。それじゃ、行こうか。」
レーナたちが降りてきた。僕は考えたことを頭の隅に追いやって、宿代を払うと、ルイネロさんの家に向かって歩き出した。
- 第6話 私と記憶と親子の絆 part1 ( No.25 )
- 日時: 2012/09/18 16:42
- 名前: のあ (ID: w1J4g9Hd)
「ぜぃ…ぜぃ…や…やっと着いたぁ〜。」
数時間後、またまた迷いながらルイネロさんの家に到着した。二回目だから大丈夫だろう!と思ってかるーい気持ちで来たんだけど…甘かった。前よりも時間かかっちゃってるし。…これは方位磁石が必要になるね…。
「まぁ、これでここに来るのも最後になるだろうし。さっさと水晶玉渡しちゃおう。いくよー」
コンコン…ガチャリ。
エイトが扉を叩くと、中からユリマちゃんが出てきた。
「レーナちゃん!エイトさん!えっと…ヤンガス…さん?どうしたんですか?」
「あっしの扱いは、こんなところでもひどいんでやんすか…っ」
なぜかヤンガスだけ疑問形なのは置いといて…バックの中にしまってあった水晶玉を見せる。
それを見たユリマちゃんの顔が、驚きの色に染まっていく。
「まさかそれはーー!!も、もう取り返して来てくださったんですか!?」
「うん、間違いなく私たちが滝壷の魔物から取り返してきた奴だよ。」
「よかった…。ちょうど、父さんも起きているんです。呼んできますので、上がっていてください。…父さん!!お客さんです!水晶玉を取り返して来てくださったんです!!」
ユリマちゃんの言うとおりに家に入る。そしてそこには…またまたおっさ…(コホン!)…もとい超個性的な髪形のルイネロさんがいた。
「またお主たちか…正直、初対面であそこまで侮辱されたのは初めてだから、お主らとはもう顔も合わせたくはないのだがな…。ふむ、水晶玉か……」
相変わらず嫌みったらしい言葉使いだこと。イライラしてきたよ。
…エイトたちがそれに気づいて怯えてるから、この辺にしといてあげるけどねー。これ以上嫌味言ったら、腰の剣でスパット殺っちゃうかもしれないなぁ〜♪(こわっ)
「そうよ、お父さんがなくしたものをわざわざ洞窟まで行って取ってきてくれたの。だから…」
「ユリマ、もう寝なさい」
「は…?なんで、まだ話の途中でしょ!?いいかげんにし…」
「いいから寝なさい!!…この方たちに、ちゃんとわしからお礼はしておくから。」
「…っ……分かり…ました。おやすみなさい。」
ルイネロさんのすごい剣幕に、ユリマちゃんはたじたじとなって、近くの部屋にカギをかけて入って行った。
…ユリマちゃん、かわいそう…。
でも、大丈夫。あとは、任せておいて。
「…まず、礼を言わねばならんな。娘が世話になった。すまんな、見苦しいところを見せてしまって。
では、水晶玉をこちらに渡してもらおうか。お主らは占いをすることが目的なのだろう?さあ、早く…」
「渡しちゃだめだよ、エイト。その人、今度は水晶玉を粉々にくだくつもりだから。」
- 第6話 私と記憶と親子の絆 part2 ( No.26 )
- 日時: 2012/09/18 16:44
- 名前: のあ (ID: w1J4g9Hd)
「えっ…どういうこと、レーナ!?」
「話が見えないでやんす!!?」
エイトもヤンガスも、突然の私の発言に驚く。そりゃそうだ。他の人には言ってない…あくまで『仮説』だったから。でも、今のルイネロさんの行動で、確信が持てた。
一歩、ルイネロさんの前に近づく。
「ユリマちゃんは、あなたが水晶玉を『落としてしまった』と言っていました。でも、実際に滝壺の洞窟に行ってみて、それは少し違うんじゃないかと思ったんです。だって、わざわざあんな魔物が出す洞窟に行って、商売道具である大事な水晶玉を落としますか?適当な占い師なら考えられますが、あなたは高名な占い師。そんなへまをするとは考えにくいです。となれば、考えられるのはひとつ。」
「わざと…滝壺に水晶玉を捨てましたね?そして、自らの評判を地に落とした…。違いますか?」
ルイネロさんが、大きく目を見開く。エイトたちも目を丸くしている。
私だって、最初は考えられなかった。評判を落としていたのは全部、ルイネロさんの自作自演だったなんてー…
でも、ホントに分からない。なんでユリマちゃんのことを考えてあげなかったのか。なんで自分から占いを辞めてしまったのかー…
だから…
「教えてください。なんでそんなことをしたんですか。…ユリマちゃんを退場させたのも、聞かせたくない話があるからなんでしょう。」
「っ…わしは、過ちを…」
「過ち?なんですかそれ…」
「いいからっ!!さっさと水晶玉をよこせ!!かちわって今度こそ占いなんて辞めてやるっ!!」
「っエイト!!危ないっ!!」
ルイネロさんが我を忘れてエイトに飛びかかる!!今、エイトはぼうっとしてるから、襲われたら危険だ!!とっさに走り出したけど…ダメだ、間に合わないっ!?
「やめて、お父さん!!私、全部知ってるから!!私が本当の子供じゃないってこと、全部知ってるんだからぁ!!」
ぴたり、と。ルイネロさんが動きを止め、声の主を見る。
ユリマちゃんが、ドアの前に大粒の涙を流しながら立っていた。
- 第6話 私と記憶と親子の絆 part3 ( No.27 )
- 日時: 2012/09/18 16:48
- 名前: のあ (ID: w1J4g9Hd)
「…っお父さんが占いで逃げてた私の本当の両親を見つけて…そのせいでふたりは死んじゃったこと……ずっと前から、知ってたの。」
そっか…ユリマちゃんとルイネロさん、本当の親子じゃないんだ…。どうりで、似てないと思った。
ということは…さっき言っていた「過ち」って、ユリマちゃんの両親を探してしまったことだったんだ。
もしかしたら育てている間、ずっと大変なことをしてしまったという気持ちに苛まれていたの?
ずっとずっと…「高名な占い師」という肩書きは、ルイネロさんにとって重いものだった?
でも…それでもルイネロさんはー…!
「ではなぜ、わしを恨まない?わしはおまえの両親の仇なんだぞ!?わしがあのとき占いなんかをしたせいでー…」
「それは違います!!現にあなたは、ユリマさんを大切に育てたじゃありませんかっ!!」
「え…エイトさんっ!?」
「エイト!?なんで…」
エイトが急に叫んだ。泣きそうな、怒っているような複雑な顔で…
まるで、自分のことに重ね合わせて言っているみたいだった。
そのままの調子で、言葉を吐き出す。
「あなたは自分の仕事をしただけです。占いをしてほしいと頼まれて、仕事をした。それがどんな理由であっても、あなたはあなたなりにその人たちを「助けた」んです!!
…たしかに、そのせいでユリマさんの両親は殺されユリマさんは一人ぼっちになってしまったかもしれない。けれどあなたは「娘」としてちゃんと育て上げたんです。それはユリマさんにとって「幸せ」なことだとは思えませんか?」
「そう…だよ。お父さんは凄い占い師だったよ。だから…私の両親もあっという間に見つけちゃったんでしょ?でもそれは、仕事をしただけだもん。…私はお父さんのせいで親が死んだなんて、ちっとも思ってないんだから。
それに、私をここまで育ててくれた。占いも続けてくれた。だから私は…あなたの「娘」でいることができたの。
今のお父さんなんか、らしくないよ。あのころみたいにさ。もっとイキイキと占いをしていってよ…?
だから…占いなんか辞めるって…私のためでも、言わないで……。私は…占いをしてた頃のお父さんのほうが…ずっとかっこいいって思うから…ーー!!」
「ユリマ……」
いつの間にか、ユリマちゃんは泣いていた。これまでの気持ちを全部出すように。
正直、羨ましいって思った。こんな幸せな『親子』、私にはいなかった——ううん、いたとしても覚えてなかったから。
でも……泣けなかった。なんだか、見たことがあるような気がして。覚えてないはずなのに…心のどこかで『こんなことは、たくさんあるんだ』っていう自分の声が聞こえてきて…。
エイトも、その光景をとおして別のものを見ているようだった。さっきまでの顔とは打って変わり、どこか虚ろな目で、『親子』を見つめていた。
くるりと、笑顔のユリマちゃんとスッキリとした表情のルイネロさんが振り返った。
暗い気持ちがなくなった父と娘は、その時から『本当の親子』として新しく始まったのかもしれない。
その日は二人のご好意に甘えさせていただいて、家に泊まることになった。
…ちなみにヤンガスはぐしゅぐしゅ泣いててうっとおしかったよ。すっごく。
いいシーンじゃなかったらたぶん突っ込んでたと思う…(笑)
- 第6話 私と記憶と親子の絆 part4 ( No.28 )
- 日時: 2012/09/18 16:50
- 名前: のあ (ID: w1J4g9Hd)
翌日、エイトから自分の過去について話があった。
トロデーン城にくるまでの記憶がないこと。
何故か前から呪いが効かない体質だということ。
記憶がないから…同じような境遇の私を仲間に入れてきてくれたこと。
エイトも記憶喪失だったってことにはびっくりしたけど、これで滝壺の洞窟での謎も解けた。なんで私を拾ってくれたかってことも……。
「ありがとね、エイト。話してくれて。」
そういったら照れくさそうに頭をかいた。…ちょっと可愛いいって思ったことは、私だけの秘密にしておこう。
その流れで、復活したルイネロさんにもお礼に占いをしてもらえることになった。
やっぱり占い師の手に渡ると水晶玉も今まで以上に魔力を含んでいそうな感じに見える。ルイネロさんがイキイキと輝いているせいもあって、今なら何を言われても信じちゃいそうな気がする。
…そうならないように気をつけなくちゃね。
「では始めるぞ。…むんっ!!」
その言葉と同時に水晶玉に手をかざすと、もやもや…と霧が広がり……
「な…なんだと!!?」
「何かわかったんですか!?」
「ば…『バカ』だと!!??これは一体どういう…まさかあそこのモンスターの仕業か!ええい、じゃまをしおって…」
「だぁ!!」
…見事にみんなずっこけました。そういえばなんか『ゴミを捨てるな』ってことを伝えとけっていわれてた気が……あれ、いついわれたっけ?
まあ気を取り直して。もう一度手をかざすと、今度はちゃんとした予言が出てきたようで、「むむっ!!」というとぽつりぽつりと語りはじめた。
「トラペッタと…リーザスを結ぶ関所が壊されておる…。犯人は…道化師のような格好をした男じゃ。」
道化師のような格好をした男?それってまさか……。
「ドル…マゲス。」
「おおそうじゃ!!確かにマスターライラスの弟子だったドルマゲスじゃ!!やつめ…リーザスのほうへ向かって、一体何を……」
なにやらぶつぶつと言い始めたので、気になっていることを聞いてみる。
「ねえエイト。」
「なに?レーナ、どうかした?」
「…リーザスってなに?」
するとエイトは少し目を見開いて、「そっか、わかんないよね」と苦笑しながら教えてくれた。
「リーザスっていうのはね。ここから滝の洞窟よりさらに南に行ったところにある、村の名前だよ。とっても小さくて平和な農村なんだけど……そこを治めてる家の人が魔法がすごく得意みたいで、『魔法使いの村』なんて呼ばれてりもするんだ。まあ、僕も行ったことがないからよくわかんないんだけどね。」
「へえ〜でも、そんなところにドルマゲスが行った……?それって…」
「うん…嫌な予感がする。関所のことも心配だし、早めにここを出発したほうがいいかもしれないね。」
しばらくしたらルイネロさんもつぶやくのを止めて「リーザスの塔に奴の姿が見えた。そこに行けばいいだろう」と最後に予言してもらった。
ありがとうございますっていって、私たちは家をあとにした。
あ‥…いけない。忘れるところだった。
- 第6話 私と記憶と親子の絆 part5 ( No.29 )
- 日時: 2012/09/18 22:58
- 名前: のあ (ID: w1J4g9Hd)
「ごめんっエイト、ヤンガス!私、あの家に忘れ物してきちゃった〜。すぐ追いつくから、先にトロデさんのとこにいってて!!」
「え…ついていかなくてもいい?迷わない?」
「大丈夫!!心配しなくてもいいから!」
そう、心配なんか必要ない。これは私の問題だから。
二人を振り切るようにしてダッシュすると、意外と速く家についた。
…つまりあの二人のどっちかが迷わせてたのかな。それとも…早く済ませてしまいたいって思ってるからなのかな。
まあ、どっちでもいいや。
コンコン、と扉を叩き中に入ると、まだルイネロさんは椅子に座っていた。
ユリマちゃんは買い物にいったようだ。そっちの方が都合がいい。他の誰にも、聞かれたくないから。
「やっぱり来たのかおぬし。なんとなくそんな気はしていたがな。…して、占ってほしいこととは何だ?」
思わず驚いてしまう。まだ要件も伝えていないのに、心を見透かしたように当ててしまった。やっぱり高名な占い師なんだなあ、この人……。
すう…と深呼吸をして、聞きたかったことを言う。
「お願いがあります。」
「なんだ?仕事として…聞いてやるぞ?」
「私の…過去を占ってもらいたいんです。」
「…ほお……?」
ルイネロさんが少し笑みを浮かべる。多分この人にしちゃ珍しい反応なんだと思う。
構わず続ける。
「私は、エイトたちに拾われこの街に来る前までの記憶が全くありません。今は『レーナ』と名乗ってはいますが、その名前も自分の記憶がどうかはっきりとしない…夢からとってつけたものです。
…でもそんなことは問題ではありません。問題は…私が戦闘の記憶があったということ。そして、時々見る夢のことです。」
ルイネロさんは黙って話を聞いてくれている。
「つまり、私は前にも誰かと旅をしていたと思うんです。でもなにかがあって記憶を失い道端に倒れていた。……なぜそんなことが起こったのか、少しでも私は知りたいんです。」
「それでわしに占えと?」
「はい。…できるところまででいいんです。あとは、自分で探しますから。」
最初は、こんなこと聞くつもりはなかった。
でも…滝壺の洞窟での記憶がまたぽっかりと抜け落ちてしまっているとエイトから聞いて。
正直…怖い。自分がやったことなのに覚えてないのは明らかにおかしい。
そんな自分が…怖くなって。
だから…少しでも不安を消すために、記憶を探す手伝いを、道しるべを探してもらいたかった。
「分かった。しばらく待っておれ……むうんっ!!」
そういうとさっきやったみたいに水晶玉に手をかざし始めた。ドキドキしながら、それを見つめる。
「な…なんじゃこれは…!?」
「何が見えましたか!?」
しばらくするとそんなことを叫んだので、思わず聞いてしまう。何がわかったの…!?
「ここではない世界が見える…いや…ここと同じようなモンスターは出るが、見たことがないところじゃ。もしかしたらこの地方の大陸ではなく、違う大陸なのかもしれんが…む…?この男は…誰だ…?鎧を身に纏い、魔法を使い…お主と一緒に何か目的を果たすため旅をしているようじゃ‥…」
「鎧を身に纏った男…?それ以上のことは!?」
「待っておれ、今すぐに…うわぁっ!??き…霧が!?何も見えぬっ……す、スマン…これ以上のことは見れなかった…。」
「いえ…いいん…です。」
鎧を身にまとった男っていうのは多分、夢に出てきた『アインス』だろう。ってことは私が夢に見たこと以外はルイネロさんにも見れなかったってことか…。
「ともかく…おぬしの記憶喪失はかなり特殊なケースであるようじゃ。わしの占いでも見れなかったものなど、初めてだ。…また何か気になることがあったらいつでもくるがよい。すぐに占ってやろう。」
「ありがとうございます…その、ユリマちゃんにもよろしくって伝えておいてください。」
「うむ、そうする。ではな。」
「失礼します。」
ガチャリとドアを開け、急いでエイトたちのもとへ駆けていく。結局私の過去についてはあんまりわかんなかったけど…ずっと気になっていたことを吐き出したせいか、ちょっとすっきりした。
まず今の私の目標は『ドルマゲスを見つけ出す』こと!!
その途中で記憶も思い出すかもしれないし…なによりエイトのためにも何かしてあげたい。
ん…?なんでエイトのために…?あれれ?
ダメダメ!!エイトには『ミーティア』さんって言う大事なお姫様(今馬だけど)がいるんだからっ!!
ちょっと火照ったほっぺを抑えながら、次の街リーザスに向かってエイトたちが待っている南門をくぐった。
- 第6話 私と記憶と親子の絆 part6 ( No.30 )
- 日時: 2012/09/18 16:58
- 名前: のあ (ID: w1J4g9Hd)
「むう…」
レーナが行った後、ルイネロは水晶玉を見つめ続けていた。
真実のすべてを伝えたわけではなかった。本当は、まだ見えていたものがあったのだ。
だが、確証が持てなかったため言えなかった。
見えたものは明らかにこの世界ではない場所。
そこでは皆が同じ服を着て、大人から教えを受けている。レーナもその中に…今とは全く違う姿だったが、いた。
本で読んだことがある。それは『学校』というところだと。
「だが…学校はこの世界にはなかったはず…。絵空事だと…ずっと思われていたところではないのか…?」
そんなところにレーナの姿が見えていたということは…
「やはりあの娘…この世界の住人ではないのか……?」
誰かが言う。あなたの使命を忘れてはいけない、と…。
レーナはまだ知らない。なぜ自分がここにいるのかということを。
エイトは気付かない。なぜ自分に呪いがかからないのかということを。
真実は、いつかひとつにまとまり、そして……
世界を救う、物語になっていくのだ。
- ☆オマケ☆(という名の次回予告) ( No.31 )
- 日時: 2012/09/18 17:00
- 名前: のあ (ID: w1J4g9Hd)
レーナ「ちょっと!?なんか私ウジウジ音暗キャラになってない!?ひどい!!」
作者「…ねぇ、レーナ…。ウチの文才の無さ…なんとかしてよ…最後とか…おかしいよね…フフフ…」
レーナ「ダメだこりゃ。作者がくらいからこうなったのね…。恋愛フラグちょっと立てちゃってるし……」
作者「ぶつぶつ…一回レーナを殺せばおもしろくなるのかな…アハハハハ‥…」
レーナ「死亡フラグを建てるなー!!やめて!!?」
エイト「まあまあ。次回からリーザス編。お楽しみに〜」
レーナ「人の話を聴けぇーーーー!!」
ヤンガス「ぐったぐたでやんす…」
というわけで第一部、完!!
これからもどうぞよろしくお願いします。
- 番外編 丘の上のチーズおじさん part1 ( No.32 )
- 日時: 2012/09/18 23:11
- 名前: のあ (ID: w1J4g9Hd)
「ねえエイト。滝の洞窟の上にあるこの家って誰か住んでるのかな?」
ルイネロさんのお告げを聞いてから関所に向かおうとする途中、地図を見ながら私は訪ねた。
水晶玉をさがしに行った滝の洞窟のちょうど真上の丘に、家が立っている。そんなへんぴなところに家を建てる人がどんな人なのかちょっと気になって、行ってみたかったんだ〜。
「そうだね…ちょうど通る道みたいだし、行ってみようか。いいですよね王様。」
「ふむ…まぁ、少しぐらいの寄り道ならいいじゃろうて。」
「あっしも別にいいでがすよ〜。空き家だったらお宝をゲットして…」
「ヤンガス、それはダメ。じゃ、いこっか。」
「わ〜。ありがとね、皆!!言ってみるもんだ♪」
こうして、寄り道してその家に行くことになった。(ほとんど私のわがままだけどっ!!)
…いやはや、このときはそこの住人さんとながーく付き合うことになるとは、思ってなかったんだよね…。
…というわけで丘の上に着きましたー(早っ)
ヤンガスはゼエゼエ言ってて、「なんでこんなところに家なんか建てたんでげしょう…?」なんてぼやいてる。でもねヤンガス。君よりもミーティアさんのほうが大変だってこと、知ってるよね?私たちの荷物全部馬車の中に置いてあるんだから。…ほんとゴメンナサイ。
で、家は近くで見ると…結構なボロ屋ってことがわかった。扉には蔦が生えてるし、屋根は若干傾いている。さすがにここに人は住んでないんじゃないかな…。
エイトもそう思ったのか、ノックなしで「おじゃましまーす」といってかちゃりとドアを開ける。そしたら…
「ん?こんなところに客人とは珍しいな。」
スキンヘッドのおっちゃんがいましたーー……
……………
「嘘でしょ!?」
「何がだ!?何かおかしいのか!?」
いやいやいや普通に考えればおかしくない…のか?ボロ屋とはいえどそういうところに住んでる人もいるし、中は案外綺麗だし…。でも、格好はボロい。顔も結構こわそうだし、短剣持ってるし。何よりヤンガスっぽい匂いがする。(ひどいでがす!!byヤンガス)
ここまでの時間、約3秒。こんな短い時間でもわかることは‥…
「おおおお、おじゃましましたぁぁぁ!!」
このおっちゃんは山賊、もしくはただの変人ということだ。どっちにしろ危険だ!!早く逃げないと!!!
「まてまて!!せっかくここまで来たんだ。お前さんたち、ひとつ頼まれてくれねぇか?」
「むむむ無理です!!忙しいんです!ゴメンナサイ!!もうきませんからぁぁ」
「あ、レーナ!?ちょっと……」
「エイトもヤンガスもいくよ!?早く早く早く!!!」
なぜかふたりは動かない。逆に私を見て呆れてる…なんで!?
そしたらエイトが軽く首を振って、「ごめんねレーナ」と呟いた。次の瞬間エイトの姿が消えて…
「(ドスッ)え…逃げな…ひゃ…」
首筋にドスっという衝撃が伝わり、私の意識はそこで途切れた……。
『すみません、あの子は少し情緒不安定なもので…多めに見てください。』
『いや、別にいいんだよ。オレも顔が怖いことは知ってるからな。驚かせちまったみてぇだ。すまねぇ』
『ほんとにすみません……。それで、頼みごとってなんですか?』
『ああ、小屋を出てあたりを見渡すと、あたりに一本だけ葉っぱが赤い木が見えるはずだ。実はな、先日そこでひとやすみをしたんがだがな、うっかりして道具ぶくろを忘れちまったみたいなんだ。』
『つまり僕たちにそれを取ってきてほしいわけですね。』
『そうだ。のみこみが早くて助かるぜ。さすがはグルーノ老の…ゲフンゲフン!!と、とにかくだ。もちろんタダでとは言わねえ。たいしたもんじゃないが礼はする。オレはしばらくこの小屋にいるつもりだからな。待ってるぜ。』
『はい、分かりました。その…僕たちからもお願いが一つあるんですが…』
『なんだい、言ってみな』
『…この子を…レーナを道具ぶくろを取ってくるまでの間、預かってもらえませんか?強めにたたきこんどいたのでたぶん戻るまでは目覚めないでしょうが…万一起きてしまったらこのスライムクッションを使って眠らせといてください。』
『これ…宿屋に常備してあるやつじゃあ…ま、まあいい。分かった。安心して行って来てくれ。』
『すぐに戻ります!!』
寝ている間にそんな会話が聞こえた気がしたんだけど…気のせいだったらいいな…。エイトがこんなに黒いなんて嘘だ……。
- 番外編 丘の上のチーズおじさん part2 ( No.33 )
- 日時: 2012/09/18 23:15
- 名前: のあ (ID: w1J4g9Hd)
「ん……」
「あ、レーナ。目が覚めた?」
パチリと目が覚めたとき目の前にあったのはエイトの覗きこむ顔だった。あれ…ここどこだっけ…?って言うか私、なんで寝てんの?
えーと確か…トラペッタを出てすぐに丘の家にある家に行きたいってエイトにお願いして連れてきてもらって、そしたら誰もいないと思ってたのにスキンヘッドの変なおっちゃんがいて、私がパニックになって……それから……ダメだ。思い出せない。なんかブラックエイトを見た気がするんだけど…?
「レーナったら、ダメだろう?人の顔を見ただけで失礼な態度をとっちゃ。彼は頼みごとをしたかっただけなのに。…少しは後始末をする僕の身にもなってよ…?」
なんだろう。エイトの笑顔がすごく怖いよ。ヤンガスも怯えてるって…半泣きしてるって。おっさんの涙ってキモいよ。
思わず固まる私たちに構わずエイトはおっちゃん(仮名)になにやらごつい袋を渡した。
「はい、これであってますか?」
「ふむ間違いねえ!確かにこれはオレの道具ぶくろだ。ありがとうよ!!さて…約束だから何か礼をしねえとな……そうだ!そのねずみ!!」
そういうとおっちゃんはエイトの上着のポケットに入ってたネズミを指差した。
あれは確か…トーポって名前だっけ。エイトがトロデーン城に来たときから一緒にいるペットで、エイトと同じように呪いにかからなかったねずみだったはず。普段はポケットの中にずっといるからあんま見ないんだけど、頭良いみたいだしとにかく可愛いんだよね〜。
「そのちっこいネズミ、オレが見るにただのネズミではないな!」
「え…?普通のネズミですけど…。トーポは僕のペットです。」
「そうかい。お前さんのペットなのかい。」
エイトの意見は丸無視して次々に話を進めるおっちゃん。…なんかわざとらしい。
「よし、じゃあこのチーズがお礼だ。なに、ただのチーズだがお前さんのペットの大好物のはずだ。」
するとおっちゃんは懐からチーズが入っている(と思われる)袋を取り出してエイトに渡した。
ネズミだからチーズ好きって…単純だなあ。っていうかトーポが明らかに喜んでてちょっとかわいい。
その様子を見てニンマリとすると、声のトーンを少し低くして大事なことを打ち明けるように言った。
「ここからはオレの想像だが…戦闘中にそのネズ公にチーズをやれば…もしかするとだぜ…」
「「「も…もしかすると……?」」」
思わず三人そろって訪ねる。チーズをあげると、トーポに一体何が……
「さて、オレの話は終わりだ。とにかくご苦労だったな。チーズが欲しくなったりしたらまたいつでもこいよ!!」
「「「だぁ!!」」」
期待させといてなんだよ!?な展開に見事に全員ずっこけましたー。
あー…なんかデジャヴ。前の話でもあったなーこういうの。
「と…とりあえずおじゃましました……。いこ、レーナ、ヤンガス…。」
「「分かった〜(でがす〜)」」
「おう!気をつけてな〜〜」
一早く復活したエイトに支えられて、私たちは(勝手に)命名・チーズおじさんの家を出て、リーザスヘと向かうのだった…。
ちなみに、そのときのおじさんの言葉がどういう意味だったか分かるのはまた別のお話。