二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- 第6話 私と記憶と親子の絆 part3 ( No.27 )
- 日時: 2012/09/18 16:48
- 名前: のあ (ID: w1J4g9Hd)
「…っお父さんが占いで逃げてた私の本当の両親を見つけて…そのせいでふたりは死んじゃったこと……ずっと前から、知ってたの。」
そっか…ユリマちゃんとルイネロさん、本当の親子じゃないんだ…。どうりで、似てないと思った。
ということは…さっき言っていた「過ち」って、ユリマちゃんの両親を探してしまったことだったんだ。
もしかしたら育てている間、ずっと大変なことをしてしまったという気持ちに苛まれていたの?
ずっとずっと…「高名な占い師」という肩書きは、ルイネロさんにとって重いものだった?
でも…それでもルイネロさんはー…!
「ではなぜ、わしを恨まない?わしはおまえの両親の仇なんだぞ!?わしがあのとき占いなんかをしたせいでー…」
「それは違います!!現にあなたは、ユリマさんを大切に育てたじゃありませんかっ!!」
「え…エイトさんっ!?」
「エイト!?なんで…」
エイトが急に叫んだ。泣きそうな、怒っているような複雑な顔で…
まるで、自分のことに重ね合わせて言っているみたいだった。
そのままの調子で、言葉を吐き出す。
「あなたは自分の仕事をしただけです。占いをしてほしいと頼まれて、仕事をした。それがどんな理由であっても、あなたはあなたなりにその人たちを「助けた」んです!!
…たしかに、そのせいでユリマさんの両親は殺されユリマさんは一人ぼっちになってしまったかもしれない。けれどあなたは「娘」としてちゃんと育て上げたんです。それはユリマさんにとって「幸せ」なことだとは思えませんか?」
「そう…だよ。お父さんは凄い占い師だったよ。だから…私の両親もあっという間に見つけちゃったんでしょ?でもそれは、仕事をしただけだもん。…私はお父さんのせいで親が死んだなんて、ちっとも思ってないんだから。
それに、私をここまで育ててくれた。占いも続けてくれた。だから私は…あなたの「娘」でいることができたの。
今のお父さんなんか、らしくないよ。あのころみたいにさ。もっとイキイキと占いをしていってよ…?
だから…占いなんか辞めるって…私のためでも、言わないで……。私は…占いをしてた頃のお父さんのほうが…ずっとかっこいいって思うから…ーー!!」
「ユリマ……」
いつの間にか、ユリマちゃんは泣いていた。これまでの気持ちを全部出すように。
正直、羨ましいって思った。こんな幸せな『親子』、私にはいなかった——ううん、いたとしても覚えてなかったから。
でも……泣けなかった。なんだか、見たことがあるような気がして。覚えてないはずなのに…心のどこかで『こんなことは、たくさんあるんだ』っていう自分の声が聞こえてきて…。
エイトも、その光景をとおして別のものを見ているようだった。さっきまでの顔とは打って変わり、どこか虚ろな目で、『親子』を見つめていた。
くるりと、笑顔のユリマちゃんとスッキリとした表情のルイネロさんが振り返った。
暗い気持ちがなくなった父と娘は、その時から『本当の親子』として新しく始まったのかもしれない。
その日は二人のご好意に甘えさせていただいて、家に泊まることになった。
…ちなみにヤンガスはぐしゅぐしゅ泣いててうっとおしかったよ。すっごく。
いいシーンじゃなかったらたぶん突っ込んでたと思う…(笑)