二次創作小説(映像)※倉庫ログ

第6話 私と記憶と親子の絆 part5 ( No.29 )
日時: 2012/09/18 22:58
名前: のあ (ID: w1J4g9Hd)

「ごめんっエイト、ヤンガス!私、あの家に忘れ物してきちゃった〜。すぐ追いつくから、先にトロデさんのとこにいってて!!」
「え…ついていかなくてもいい?迷わない?」
「大丈夫!!心配しなくてもいいから!」

 そう、心配なんか必要ない。これは私の問題だから。
 二人を振り切るようにしてダッシュすると、意外と速く家についた。
 …つまりあの二人のどっちかが迷わせてたのかな。それとも…早く済ませてしまいたいって思ってるからなのかな。
 まあ、どっちでもいいや。
 コンコン、と扉を叩き中に入ると、まだルイネロさんは椅子に座っていた。
 ユリマちゃんは買い物にいったようだ。そっちの方が都合がいい。他の誰にも、聞かれたくないから。

「やっぱり来たのかおぬし。なんとなくそんな気はしていたがな。…して、占ってほしいこととは何だ?」

 思わず驚いてしまう。まだ要件も伝えていないのに、心を見透かしたように当ててしまった。やっぱり高名な占い師なんだなあ、この人……。
 すう…と深呼吸をして、聞きたかったことを言う。

「お願いがあります。」
「なんだ?仕事として…聞いてやるぞ?」


「私の…過去を占ってもらいたいんです。」


「…ほお……?」


 ルイネロさんが少し笑みを浮かべる。多分この人にしちゃ珍しい反応なんだと思う。
 構わず続ける。

「私は、エイトたちに拾われこの街に来る前までの記憶が全くありません。今は『レーナ』と名乗ってはいますが、その名前も自分の記憶がどうかはっきりとしない…夢からとってつけたものです。
 …でもそんなことは問題ではありません。問題は…私が戦闘の記憶があったということ。そして、時々見る夢のことです。」


 ルイネロさんは黙って話を聞いてくれている。


「つまり、私は前にも誰かと旅をしていたと思うんです。でもなにかがあって記憶を失い道端に倒れていた。……なぜそんなことが起こったのか、少しでも私は知りたいんです。」


「それでわしに占えと?」


「はい。…できるところまででいいんです。あとは、自分で探しますから。」


 最初は、こんなこと聞くつもりはなかった。
 でも…滝壺の洞窟での記憶がまたぽっかりと抜け落ちてしまっているとエイトから聞いて。
 正直…怖い。自分がやったことなのに覚えてないのは明らかにおかしい。
 

 そんな自分が…怖くなって。


 だから…少しでも不安を消すために、記憶を探す手伝いを、道しるべを探してもらいたかった。


「分かった。しばらく待っておれ……むうんっ!!」

 そういうとさっきやったみたいに水晶玉に手をかざし始めた。ドキドキしながら、それを見つめる。

 
「な…なんじゃこれは…!?」
「何が見えましたか!?」

 しばらくするとそんなことを叫んだので、思わず聞いてしまう。何がわかったの…!?

「ここではない世界が見える…いや…ここと同じようなモンスターは出るが、見たことがないところじゃ。もしかしたらこの地方の大陸ではなく、違う大陸なのかもしれんが…む…?この男は…誰だ…?鎧を身に纏い、魔法を使い…お主と一緒に何か目的を果たすため旅をしているようじゃ‥…」
「鎧を身に纏った男…?それ以上のことは!?」
「待っておれ、今すぐに…うわぁっ!??き…霧が!?何も見えぬっ……す、スマン…これ以上のことは見れなかった…。」
「いえ…いいん…です。」

 鎧を身にまとった男っていうのは多分、夢に出てきた『アインス』だろう。ってことは私が夢に見たこと以外はルイネロさんにも見れなかったってことか…。

「ともかく…おぬしの記憶喪失はかなり特殊なケースであるようじゃ。わしの占いでも見れなかったものなど、初めてだ。…また何か気になることがあったらいつでもくるがよい。すぐに占ってやろう。」
「ありがとうございます…その、ユリマちゃんにもよろしくって伝えておいてください。」
「うむ、そうする。ではな。」
「失礼します。」

 ガチャリとドアを開け、急いでエイトたちのもとへ駆けていく。結局私の過去についてはあんまりわかんなかったけど…ずっと気になっていたことを吐き出したせいか、ちょっとすっきりした。
 まず今の私の目標は『ドルマゲスを見つけ出す』こと!!
 その途中で記憶も思い出すかもしれないし…なによりエイトのためにも何かしてあげたい。
 ん…?なんでエイトのために…?あれれ?
 ダメダメ!!エイトには『ミーティア』さんって言う大事なお姫様(今馬だけど)がいるんだからっ!!
 ちょっと火照ったほっぺを抑えながら、次の街リーザスに向かってエイトたちが待っている南門をくぐった。