二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- 空も海も大地もないただのダンジョン攻略 part7 ( No.65 )
- 日時: 2012/11/04 17:16
- 名前: のあ (ID: hxRY1n6u)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel7/index.cgi?mode
第7話 テリー、本領発揮
ダンジョンに入ってすぐ、サフィラたちは異変に気がついた。
「うわぁぁぁ、敵が多いっ!!」
テリーが弱すぎるのだ。
ちなみに今戦っている敵は『マッドハンド』仲間をつぎつぎと召喚する厄介なモンスターだが、全体攻撃呪文で一発で倒せばいいため、レーナとサフィラは特に問題もないと思っていた。
しかし、それを邪魔したのがテリーである。
彼は「俺に任せろ!」と叫んで突っ込んで行ったまではいいが、逆に倒しきれず今では形勢逆転。マドハンドに集団攻撃され体力はどんどん擦り減っていく。
見殺しにするのも嫌なのでサフィラが『イオナズン』を唱えようとしているのだが、テリーも巻き添えをくらう位置にいるため躊躇してしまう。
「あーもうめんどくさいっ!!ヒャダルコ!!」
やがて短気なレーナがマドハンド(+テリー)に向けて呪文を唱えた。
マドハンドたちは一瞬で凍りつき、パリィィンという音と共に消滅した。
その様子を見てほっと息をはいたのもつかの間、サフィラがレーナにつっかかる。
「ちょっと!なんで呪文を放った!?
(役に立たないとはいえ)あんたのせいでテリーが死んだじゃないか!」
「あーはいはい、うるさいなぁ。テリーならあんたの足元にいるよ?
ヒャダルコをかける前に、ルーラで移動させてきたの」
レーナの言うとおり、足元にはテリーが目を回して倒れていた。
サフィラはほっとしたのと邪魔者が消えていなくてうんざりした気持ちが混ざり合って、微妙な表情になった。
「……ん。あれ、魔物は」
テリーが目を覚ました。
気を失っていたのでモンスターが倒されたことにはまだ気が付いていないようだ。
「…魔物なら私たちが倒したよ」
冷ややかな声で告げるレーナ。
「なっ……お前ら二人でだと…!?
ふ、ふんっ。オレひとりでも倒せたんだがな。」
ふんぞり返るテリー。
そこで初めて殺意が生まれた。
(…サフィラ)
(わかってる。レーナはそっちから攻撃して。その隙に私がドルマで仕留める…!!)
アイコンタクトで合図をとり、今にも襲い掛かろうとしているときだった。
「あれは……まさか!!」
マドハンドが消えた向こうから、何か大きなものがこちらに向かって歩いてくる。それも一直線に。
「ドランゴ!!何でアイツがこんなところに」
それはテリーが討伐したはずの雌ドラゴンのドランゴだった。その狙いは明らかにテリー。彼は自分がよもや3人の女に狙われているとは気付かず、ドランゴを再び倒すため剣を構えた。
それが命取りだった。
「ドランゴ!!覚」
「「テリー覚悟ぉぉぉぉ!!(ぎゃおらぁぁぁぁbyドランゴ)」」
「ごっ?ってぎゃぁぁぁぁ!?」
どっと勢い良く飛び出したテリーに向かって三人(?)が集中攻撃。不意打ちなど予測していなかった彼は当然太刀打ちできず。気がつくとボロ雑巾のようにプスプスと煙を上げて瀕死となっていた。
それに満足したのか、ドランゴはフンと鼻を鳴らすとレーナたちと向きあった。
「テリー討伐、感謝、する。
お礼。私、一緒に、闘う、いい?」
片言で告げる彼女の言葉に偽りはないようだった。
二人は「こちらこそよろしく!」と言ってパーティー入りを許可した。
しかしそこで一つ問題が起きた。
《パーティーメンバーがいっぱいです。どうしますか?》
「ん?パーティーって4人までOKじゃなかったっけ?」
「あ、なんか上から紙が。何々『設定間違えてパーティーメンバーが3人までにしちゃった☆のあ』……だって」
「また作者かよ……
ま、だったら外すメンバーは決まってるよね。」
「そうね。」
「「テリーとドランゴを交換します」」
「ちょっとひどくねぇか!?オレはドランゴ引替え券かよ」
三度目を覚ましたテリーがだんだんと透けていく身体のまま大声を上げた。それを冷ややかに見つめる二人。
「へえ、ちゃんと自分の役割わかってるんじゃないか。
それに最初に言ったはずだろ?『利用しあう』ってさ。」
「ドランゴ引替え券って言うのがあなたの本領だったってことでしょ。
じゃ、ミレーユさんに会えるといいね」
「てめぇら、覚えてろよぉぉぉ」
やがてテリーは完全に消滅し、代わりに『ドランゴが仲間になった!』という天の声と共に軽快な音楽が流れた。
邪魔者がいなくなったレーナたちは、足取り軽くさくさくとダンジョンを攻略していった。