二次創作小説(映像)※倉庫ログ

空も海も大地もないただのダンジョン攻略 part8 ( No.67 )
日時: 2012/11/06 22:35
名前: のあ (ID: hxRY1n6u)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel7/index.cgi?mode

第8話 最強はこの人です

 
 テリーと別れ30分後、レーナたちはすでに最深部へと続く扉の前にいた。それというのもテリーと引き換えにした雌ドラゴン・ドランゴが意外と戦闘力が高く、次々と魔物を倒してくれたからだ。
 そのため若干の汗はかいたものの、三人ともほとんど無傷で魔力も温存したままここまでこれた。

「やっとここまで来たーっ!!
 もうあっつい、限界!」

 すっかり安心したのか、レーナがそんなことを言って長いローブを脱ぐ。それを見てサフィラが叫んだ。

「なんでローブの下にマジカルスカートはいてんの!?私のパクっただろ!!」
「は!?違いますけどー!!のあが元々考えてた服装だよ、コレ。
 しかもフリルとかついてるから、厳密にいえばマジカルスカート・改みたいな感じだしっ!!」
「だからといっていきなり露出するのもどうかと思うけど?
 あーそうか。エイトに見せたいのね〜。胸がないから足で魅せるしかないと」
「わ、私にとっての禁句をっっ!!だいたいあんたも…」

 次第に暴言はエスカレートしていき、「バカ!」「アホ!」とただの罵り合いとなってきた。今までは戦闘に真剣であまり気にならなかったのだが、こうして敵のいないところに来ると二人の仲の悪さが浮き彫りとなる。

「喧嘩、してる場合じゃない。
 喧嘩、ダメ。先、進む。」

 あまりにギャーギャーうるさいのでドランゴが仲裁に入る。それでもしばらくがるるるるとお互いを威嚇していたが、ドランゴが「エイト、いいの?」というと二人ともハッとし、真面目な顔つきに戻って扉を見上げた。

「…こほん。そうだよね、この先にエイトがいるんだもんね。
 大事な大事な私の仲間が……」
「絶対、取り戻す……!!
 準備はいい?」

 サフィラがそういうと、レーナとドランゴはこくりとうなずいた。

「インパス」

 鍵を開ける呪文を唱えると、扉がゆっくりと開いた。
 最初に飛び込んだのはレーナだった。声を張り上げエイトを呼ぶ。

「エイト!助けに来たよって…えぇ!?」

 レーナは再会の喜びも忘れてただ驚いた。
 二人のエイトが目にも止まらぬ速さで戦っているのだ。片方は剣、もう片方はヤリを使って相手の急所を狙っているようだった。

「どうしたのレーナ…ってうわ!何やってんの!?」

 少し遅れて入ってきたサフィラも驚く。魔族とエルフの血を引く彼女は二人の動きはなんとか追えたが、それでもやはり速かった。
 何度目かの打ち合いを経て、二人のエイトが間合いを取る。
 そこでやっとサフィラたちの存在に気がついたのか、エイトたちが同時にサフィラたちを見る。

((あ、なんだか嫌な予感))

 その予感はあたり、「レーナ!」「サフィラ!」と二人同時に名前を呼ばれる。そして全く同じタイミングで、

「「僕が本物、あっちが偽物だ!!」」

 といった。
 勿論レーナ側のエイトとサフィラ側のエイトが戦っているので、どちらも本物だ。しかしそれを今の二人に説明したところで一体何になるだろう。理解されないのがオチだ。レーナとサフィラは顔を見合わせた。…答えられるわけがないのだ。

「レーナっ!僕が本物のエイトだって言ってるじゃないか!!早く手を貸してよ、意外とこいつ、強いんだ!!」
「それはこっちのセリフだよ!!サフィラ、お願いだから手伝って!!」

 そうこうしているうちに再び斬り合いを始めるエイトたち。

「どっどうしようっ!このままじゃ二人が相討ちになっちゃうよ!?」
「……こうなったら、力づくで行くしかないか」
「でも!!もしエイトに傷つけちゃったら…」
「相討ちになるよりはいいだろ!?躊躇してる暇はないんだよっ」

 レーナたちもエイトを止めるかどうかでもめる。一つの部屋で二つの内戦が起こっているようなものだ。頼みの綱・ドランゴもどちらを先に止めればいいか分からず、オロオロする。
 このままではどちらも相討ちで終わり、全滅してしまう。

「あーもう頭に来た!!」
「私の本気、見せてあげようか?」

 やがてレーナたちの手に魔法の光が集まり始めた。
 対してエイトたちもこのままでは埒が開かないと思ったのか、火炎切りと一閃突きの構えを取った。特技を使って一撃で決めるようだ。
 
「「「「これで終わりだぁっ!!」」」」

 キレイに四人の声が揃い、魔法と魔法、特技と特技がぶつかりあった。
 瞬間。

「すべてのものよ、無に還せ!!凍てつく波動っ!!」

 凛とした声が通り、あたりが真っ青に染まる。
 すべての効果がかき消え、四人は勢い余って転倒する。

「この声は……ゼシカッ!?」

 呪文を唱えた主——ゼシカは、軽やかに着地した。

「全く…なんとなく予想は付いてたけど、何やってるのかしら!!特にレーナとサフィラ。あなたたちはエイトたちを助ける為にここまで来たって言うのに……」
「いや、なんでいるの?確かのあがここには二人までしか送れないって…」
「一度に二人までってことだったらしいわよ?現にほら。ククールとヤンガスも降ってきたわ。」

 その言葉通り、「うわぁぁぁ」と情けない声を上げて上から二人が降ってきた。べしゃっと嫌な音を立てて顔から地面に突っ込んだようだが、すぐに「兄貴はどこでガスっ!?」と起きたところを見ると大丈夫なのだろう。(俺の心配は?byククール)
 ゼシカは早くもエイトたちに今の状況を説明しに行った。今は落ち着いているせいか、エイトたちはわりとすんなりと受け入れたようだ。
 
「……なんかリーダーってゼシカでいいような気がしてきた」
「そうね。それには同感だ」

 誰よりもリーダーらしいゼシカの様子を見て、ぽそりと二人はつぶやいた。