二次創作小説(映像)※倉庫ログ

空も海も大地もないただのダンジョン攻略 part10 ( No.70 )
日時: 2012/11/11 23:46
名前: のあ (ID: hxRY1n6u)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel7/index.cgi?mode



第10話 決着


「ゼシカっ!右斜め60度にメラミで気をそらして!!
 ドランゴとヤンガスはその隙に斧で攻撃ッッ!!」
「…炎の精霊よ。古の掟と誓いにより、我にその力を。地獄から舞い戻りたる亡者を紅蓮の劫火で燃やし尽くせ。《メラミ》っ!!」
「うらぁぁぁぁぁっ!!」
「頑張るッ!!」
「ギャ、ギャァァァァ!?」
 
 レーナの指示を即座に理解した三人は、息の合ったコンボを決めた。さすがのハヌマーンもヤンガスとドランゴの不意打ちには対応しきれなかったらしく、大きな叫び声を上げた。
 間髪あけずに次の指示を出す。

「エイトはテンションためて!!サフィラはひたすらドルマドン。あ、ククールはタンバリン」
「おりゃぁぁっ」
「ドルマドン!」
「………(シャン♪シャン♪)」
「じゃあ私も……《ヒャダルコ》!!」

 主戦力となるエイトのテンションを上げさせ、後の攻撃に備えさせる。サフィラには弱点である闇系呪文——その最高魔法であるドルマドンでひたすら攻撃。その間にレーナもヒャダルコを叩きこんだ。一方的に攻撃され、怒りの叫び声を上げるハヌマーン。2700ほどあった体力はおそらく残り1000もないだろう。戦いは順調に勝利へと近づいていた。

「このままいけるか!?」

 しかし、向こうも黙っては終らせてくれない。
 
「シャァァァァ!!」
「暑っ!!」

 相手はくわっと口を大きく開け、炎の息を吐いた。全くの不意打ちだったため、レーナも指示できなかったのだろう。高温の炎をまともにくらったメンバーは大きなダメージを受けた。
 中でも敵の真正面でテンションを上げていただけのエイトは、特に大きな被害を受け、全身が焼け焦げていた。

「「エイト!!」」

 レーナとサフィラが同時に駆け寄る。
 それに対しエイトは、弱々しく微笑んだ。

「あ…はは。ちょっと……失敗、しちゃった…よ。
 大丈夫。気に…しないで?」
 
 無論、大丈夫な訳がない。服のあちこちは破け、火傷も水膨れを作っている。本当は話をすることも辛いはずなのだ。
 その姿は、レーナが滝の洞窟で見たエイトの姿にかぶった。同時にあの時の思いがよみがえる。

(また……私のせいで……エイトが………!)

 あたりを見渡すと、周りの仲間も重症をおっていた。かろうじて動けたククールが急いでベホマラーをかけている。その間にも、ハヌマーンはもう一度炎の息を出そうと口を大きく開けていた。

 …あぁ、間に合わない。
 …ごめんね。皆。私が、私のせいで…。

 レーナはかたく目を閉じその時を待った。
 次の瞬間、業火が彼女たちを包み込んで——

「マヒャドっっ!!」

 カッ!!

 白い光と炎が衝突し、相殺される。そこにいたのは——

「サ、フィラ?」

 銀色の髪と真っ赤な瞳を持つ、魔族の少女。彼女はレーナのもとへつかつかと歩み寄ると、パンと頬を平手打ちした。
 突然の出来事にほうけるレーナ。サフィラはそのまますごい剣幕で一気にまくしたてた。

「あんた馬鹿!?
 皆あんたに頼ってるんだよ。だって、あんたの命令は確かにあいつに効果があったもの!!なのに、なんでそう簡単に仲間の命を諦められるわけ!?あんたは私たちのことを信じてないのか!?
 元の世界にエイトを連れて帰るんだろう、だったらこんなところでくじけてないで…戦えばいいじゃないか!!」

 レーナの瞳が見開かれる。そこからポロポロと大粒の涙が溢れ出た。

「ごめん……私、今自分がすべきことを忘れてた。」

 そこで涙を拭き、キッと巨大な相手を見据える。

「あいつを倒す!!サフィラ……行こう!!」
「そうこなくっちゃねっ」

 だっと二人が同時に大地を蹴る。身の危険を感じたハヌマーンが炎の息と爪での攻撃を同時に繰り出すが、上左右に次々とかわされて差が縮まっていく。気がつくと一瞬で二人が魔物の両サイドに来ていた。

「ギャオォォォォォッ!!」
「私たちの仲間を傷つけた罪だっ」
「消えてしまぇぇぇぇ!!」

 咆哮を上げる魔物に二人は、自身が最も得意とする呪文を放つ。

「ドルマドンッ」
「マヒャドッ」

「ギャァァ……ァ…………ァ」

 断末魔が鳴り響き、あたり一面が白と黒の光で染まった……。