二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- 空も海も大地もないただのダンジョン攻略 part11 ( No.76 )
- 日時: 2012/11/15 00:27
- 名前: のあ (ID: hxRY1n6u)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel7/index.cgi?mode
『いやぁ、ひどい目にあったよ』
「「「「自業自得だろ?」」」」
『う、皆の視線がイタイ』
数十分後、音声システムが復帰しようやく話せるようになったのあは、その場にいる全員に睨まれながらこんな話を持ち出した。
『実はダンジョンが消えたので、この空間は消滅。
二つの世界も元に戻ります。
というわけで、ここにいる全員。元の世界に帰らなくてはなりません。』
「え……もう、会えないってこと?」
『そう言うことになります。私も二度とこんなことが起こらないように努力するからね』
元の世界に帰る。
それは最初から願っていたはずなのに、『もう会えない』と知ると、急激に嬉しい気持ちがしぼんでいった。
少しの間だけだったが一緒に共闘し、お互いに親近感が沸いていたのだ。
サフィラは悲しい気持ちを紛らわせるために、憎まれ口を叩いた。
「ま、これであんたともおさらばってわけか。あーせいせいするッ!」
「な…それはこっちのセリフだよ!!あなたみたいな中二病を体現したような女、もう二度と見たくもないね!!」
「なんだって!?それをいうならあんたもエイトの前でだけか弱い振りするぶりっ子じゃない!!それに私のこの格好は自前だし!!
あんたの青っぽい目だって中二病じゃないか!!この貧乳!!」
「二回目!!また私にとっての禁句を言ってぇ……一生会わずにすむならさっさと帰りたいよ!!」
「そのままお返しするよ!!」
「だーかーらー!!なんで喧嘩になっちゃうんだよ!?」
…自然と本当の喧嘩になっていくところは健在のようだ。
ギャーギャーと言い争いをしているうちに、シュンというルーラの着地音がして、誰かが来た。
『あ、フレアさん来た〜。お久し振りです』
『お久しぶりです。サフィラたちを引き取りにきました』
「この声……フレア!?」
喧嘩をする手を止めてサフィラが目を見開く。
そこにいたのはテリーの姿を模した『光と闇の軌跡』作者・フレア(様)だった。
『サフィラ、エイト、ヤンガス、ゼシカ、それにククール。そろそろ帰らないと行けません。このままでは再び世界がねじれてしまいます』
「…そっかもう、時間なんだ……」
『レーナとエイトも。そういうことだから元の世界に帰らないと』
「お別…れ……」
さっきまで喧嘩していたのがうそのようにしゅんとするレーナとサフィラ。しばらく黙っていたが、やがてサフィラが口を開いた。
「ねぇレーナ…」
「何?」
「君は私に似てる。きっと喧嘩しちゃうのも根本的な所で一緒だからなんだ。だから、一つだけ忠告しておきたい。
なんでも、一人で背負い込みすぎないで。たまには…エイトとか、仲間も頼ってみなよ」
その言葉に目を見開く。思い当たる節があったからだ。
レーナは一瞬視線を彷徨わせたあと、こくんとうなづいた。
「……分かった。忠告、ありがとうね。」
「どういたしまして。」
『レーナ、そろそろ行かないと。皆待ってるよ』
「……うん。それじゃあね、サフィラ」
のあに促され背を向けて歩きだすレーナ。その背中に向けて、サフィラは再び声をかけた。
「君との冒険、楽しかったよ。
私たち、最強のタッグだからな!!」
最強のタッグ。
確かそんな言葉をずっと前に……そう、アインスに言われた気がする。それを思い出して頬がゆるんだ。そして振り向いて声をかける。
「確かに最強だね!!まぁ、一番はアインスにあげちゃったから二番目の最強だけどッ!!」
「アインスって誰だよ!?
…あ、そうだ。これあげるっ」
ヒュンっと空を切り、サフィラが何かを投げた。
手にとってみると、綺麗な涙の形をしたルビーだった。
「私の涙がルビーになったものだ。大事にしろよ?」
「わぁありがとー。速攻売るわ!!」
「なんでだよ!?」
「あなたの体内から出たものとか要らないっ」
「ひどいなおい!!」
思わず突っ込むサフィラ。レーナのくせが受け継がれてしまった、と内申舌打ちをする。
それに対しレーナも、剣の柄に付けていた紐のようなものを外し、バギでサフィラに向かって届けた。
「それは『ミサンガ』ってものだよ!
切れれば願い事がかなうんだって。」
「こんな紐切れがぁ?」
「気休め程度にはなるでしょ?」
にっこりと微笑むレーナ。
『もう時間がないよ。いいかげんにいくよ!』
『サフィラ。ゼシカたちはとっくに行ってしまいましたよ?』
「「はーい」」
「じゃあ……」
「バイバイ!!」
二人は最後に向かい合い、とびきりの笑顔でお互いを見送った。