二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- 第3話 お嬢様は家出がお好きなようで part1 ( No.95 )
- 日時: 2012/12/16 22:42
- 名前: のあ (ID: kEC/cLVA)
「…んにゃ…いま何時……?」
翌日は、珍しくエイトが起こしに来なかったので一人で起きた。やっぱりスライムクッションで起こされない朝っていいなぁーと思いつつ、太陽の位置で今の時刻を確認。
結果:太陽がてっぺんで輝いておりました☆今日はめっちゃいい天気ー♪
……アレ??
「アウトォォォォ!!!(ビシッ)」
もう昼じゃん!!超寝坊じゃんっ!?なんで!?
ってかエイトは何で起こしに来てくれないのっ!?まさかあいつも寝坊かっ!?珍しいな……
「(ガチャ)あ、レーナ起きてたんだ。オハヨー」
「ゴメンナサイ、ワルギハナカッタンデス。ユルシテクダサイ。」
「なぜに片言!?それになんで捨てられた犬みたいな目をして僕を見上げているの!?」
だって…君って時間とか破ると怖いんだもん……。
でも今日のエイトはなぜか怒ってない。むしろもっと寝てても良かったのにって顔をしている。なんでか分からなかったので、恐る恐る聞いてみる。
「あの…エイト?なんで寝坊したのに怒らないの…?」
「え?だって今日は久しぶりにゆっくりしてもいいかなって思って。だから起こさないでおいたんだけど…何?僕が怒るかと思ったの?」
「ふぇっ!?い、いや別にそういう意味じゃ……ある…けど…。」
あう…なんでエイトって妙なところでするどいんだろう?勘というか何と言うか…
「んじゃレーナも起きたし、しょうがないからヤンガスも起こしてくるよ。後でアルバート家に行くから準備しておいてね。」
「ほーい」
そういってエイトは部屋から出て行った。あれ…もしかして私、もっとゆっくり出来るチャンスを逃しちゃった?まぁあんまりぐたぐたしすぎるのもよくないだろうし…エイトなんかもっと早くから起きてたみたいだしね。
ベットから降りて身支度と出かける支度を整える。昨日はすぐに寝ちゃってそんなに散らかしてなかったから、すぐに準備はできた。気が抜けたのか大きなあくびが出る。そこで違和感に気づいた。
なんか眠り足りない…?
おかしいなぁ…昨日は疲れてたから早く寝たし、今日だってもう昼になってるから疲れは完璧に取れてるはずなんだけど…これも呪文の打ちすぎのせいなのかな?ま、別に大丈夫か。
ヤンガスが起きて昼食を済ませてから、私たちはアルバート家に向かった。
- 第3話 お嬢様は家出がお好きなようで part2 ( No.96 )
- 日時: 2012/12/16 22:57
- 名前: のあ (ID: kEC/cLVA)
「昨日はひどい目にあったでやんす…。」
「ごめんね〜ヤンガス。でもきみのおかげで私が呪文使えるようになったんだよ?糧になってくれてありがとう♪」
「……糧って‥…‥…。」
「気にしない気にしない♪さぁ、今度はアルバート家を調査するよ〜〜。いいよね?(にっこり)」
「!!!っはいっ!!異論はないでげす!!」
「ふたりとも静かにしないと斬るよ?(チャキッ)」
「「すみませんでしたゴメンナサイごめんなさい。」」
ヤンガスを救出してから、…なーんか力関係が出てきちゃってるなぁ……。エイト>>(超えられない壁)>>私>>>(超えられない壁)>>>>>ヤンガス、みたいな。
というわけで(どんな?)私たちは村の中で妙にバカでかい『アルバート家』の前に立っている。メイドさんが「いらっしゃいませ〜」とかいってると、ホントに権力があるんだなぁ…としみじみ思う。
気がついたらエイトはすたすたと屋敷のなかに入っていってた。お屋敷だからって勝手に入ってもいいの!?と思ったけど、ヤンガスを救出してから(以下略)なんで何も言えない。
「おじゃましまーす」と小声で言って私たちもあとに続く。中は意外と簡素な作りになっていて、温かみがある家だった。そこに明らかにそぐわない奴が一人。
「は〜っはっはそうさぁ。僕は一国の大臣の息子にしてゼシカのフィアンセのラグサットさぁ〜。」
金髪キノコが現れた!!
あ〜なんか久々に聞いたな…この声……。つーかなんだこのキノコ。着てるもんフリフリでキモいし顔キモいし喋り方キモいし…要するに全てにおいてキモい。
てかこっちから話しかけてもないのに勝手に話してるし……。
ん?なんか今、気になること言ってなかったか?ゼシカのフィアンセ……フィアンセ‥…
「こ、婚約者ぁ!?」
「そうさぁ〜僕はゼシカのフィアンセさぁ〜」
こんなに気持ち悪い男が!?嘘でしょ!!?こんな人と結婚させられるゼシカさんって…なんかかわいそう。思わず会ったこともないゼシカさんに同情してしまう。
マッシュルーム男ならぬラグサットは勝手にしゃべり続ける。
「今日は兄さんを失ったゼシカを慰めにきたんだが思わぬ障害に突き当たったんさぁ〜。
ゼシカの部屋の前に子供が二人いて通してくれないんさぁ。いつの時代も恋路って言うのは…」
「それって…ポルクとマルクって子じゃないですか!?」
「そうそう、確かそんな名前さぁ。いっつもゼシカにくっついて…いい加減やめてほしいよねぇ。人のフィアンセに向かって。」
話の腰を折ってエイトが訪ねる。ポルクとマルク?もしかして昨日おばあちゃんに言われてた『ゼシカさんからの頼みごと』って、自分の部屋を見張らせるだったの…?いったいどうして…。
「エイトっ!!あの二人に話を聞いてみなくちゃ!いこっ。」
「うん!もしかしたらゼシカさんとサーベルトさんについてもっと詳しいことを知っているかもしれない。」
「ま…待ってくれでやんす〜。意味がわからないでげすよ…」
半分空気になりかけたヤンガス(笑)とエイトと一緒にラグサットの所から抜け出してゼシカさんの部屋だというところに向かった。
- 第3話 お嬢様は家出がお好きなようで part3 ( No.97 )
- 日時: 2012/12/16 23:01
- 名前: のあ (ID: kEC/cLVA)
「だから!!この部屋には誰も通すなってゼシカねぇちゃんに言われているんだっ!さっさと帰れ!!」
「帰れ帰れ〜〜。」
「そこをなんとか入れてもらえないかな〜もしかしたら僕のひっかかってることが解消するかもしれないんだけど…」
「お前のひっかかってることなど気にするかっ!!ゼシカねぇちゃんのいいつけのほうがよっぽど大事だいっ」
「そうだそうだ〜〜」
案の定ゼシカさんの部屋の前にはポルマルが待ち受けていた。エイトが必死こいて部屋にはいろうとしてるけどあの様子じゃあふたりはてこでも動かなさそうだ。あんまりやりたくなかったけど…しょうがない。
「ポルク君、マルク君!!ちょっとこっち見て!!」
「あん?なんだ茶髪のじょうちゃ…」
「【ラリホー】」
「ん……んにゃ……」
「くきゅう……」
「ミッション、コンプリート(キリッ)」
「誰に向かって言ってるんでやんすか…」
ラリホーで二人を眠らせる。これ、練習したらなんか使えたんだよね〜。
幸い一発で寝てくれたけど元々あんまり得意じゃないし詠唱もつけていないから効果は短いと思う。二人が起きる前にさっさと部屋に入ってゼシカさんに話を聞かなくっちゃ!!
あ、ヤンガスは無視って方向で♪
ばんっ!!
「「「………え?」」」
「あ…あれ?いない…!?」
「どういうことでやんすか!?」
部屋はもぬけの殻だった。見渡してみたけど、少し前までここに人がいたという後はどこにも残ってなかった。ゼシカさんは一体…!?
「!机の上っ何か置き手紙がある!!」
「ゼシカさんのもの?エイト、読んでみて」
「うん…えっと
『お母さん、ゴメンナサイ。私はやっぱり兄さんの敵を取りにリーザスの塔まで行ってくるわ。
それじゃあ、さよなら。ポルク、マルク。ウソついちゃってごめんね。言いつけを守ってくれてありがとう。 ゼシカ・アルバート』
…こ…これってやばくないの……?」
「……なんかもはや死ぬこと前提にしてるみたいじゃ」
「なんだって!?おい!その手紙をよこせっ」
いつの間にか起きてたポルクがエイトの手から手紙を奪い去り、一緒に起きたマルクと読む。その顔がだんだん恐怖で青くなっていった。な…なんなの?
「間違いない、これはねぇちゃんの字…。大変だ……ゼシカねぇちゃん、本気で死ぬつもりかもしれない。」
- 第3話 お嬢様は家出がお好きなようで part4 ( No.98 )
- 日時: 2012/12/16 23:05
- 名前: のあ (ID: kEC/cLVA)
ポルクの衝撃的な一言に、一瞬耳を疑う。
ゼシカさんが……死ぬつもり?
「どういう…こと!?」
「リーザスの塔って言うのはこの村の南東にある高い塔で…サーベルト兄ちゃんもそこで殺されちまったんだ。きっと…『クラン・スピネル』を狙った賊が犯人なんだ。」
「クランスピネルって何?」
「塔の一番上にある女神像の目にはめ込まれている聖なる宝石だ。『聖なる祭りの日』だけそこに村人全員でお参りするんだけど…その警備をしている最中に兄ちゃんは死んじまった…って今はそんな話をしている場合じゃねえ!!とにかくゼシカねぇちゃんが危ないんだよ!!」
「なんで?村人でお参りできるぐらいならなにも危険はないじゃないか」
「おおありなんだよっ!魔物を寄せ付けない結界は『聖なる祭りの日』…一年に一回しか張られないんだ。普段は魔物がいっぱいで…いくらゼシカねぇちゃんがすごい魔法のつかい手でも、このままじゃあ…」
「ポルク、ストップ。アローザ様に聞かれちゃうよ。あの人にばれたら…ゼシカねぇちゃんだって…」
「マ…マルク…」
マルクが泣きそうになっていたポルクをたしなめる。アローザさんって確か…この村を治めている人でゼシカさんとサーベルトさんのお母さん?
そういえばゼシカさんとの関係が今はあまりよくないって聞いたことがある。その辺の事情もあって、勝手にぬけ出したことがばれたらいろいろとまずいのかな…。
それまでぐずっていたポルクが急に私たちを見てピタリと止まった。まるで何か気がついたように……な、なんか嫌な予感しかしないんだけど!?
「なあ、お前たちって人を訪ねて旅をしてるんだろ?」
「え…うん。まぁそんなとこかな?」
「だったら強いだろ!?お願いだ、ゼシカねぇちゃんを連れ戻してきてくれ!!この通りだっ」
「僕からもお願いします!!お願い、大事な人なんだ!!」
そういうとがばっと勢いをつけてポルマルは頭を下げた。
あー…やっぱりこうなるのね…。そんな予感はしていたけど…。
正直言ってゼシカさんがどんな人か知らないし、たまたま立ち寄っただけのこの村のゴタゴタに巻き込まれる義理はない…けど。あんなに強気だった二人はたった一人のためにこうして必死に頭を下げている。なんとなく…放っておけない気がする。
「エイト、どうするの。」
「兄貴。あっしは兄貴の決断に従うでやんす。」
「僕は……」
答えは聞かなくてもわかった。
だってエイトの瞳は
「ポルク、マルク。分かった。
僕達が絶対にゼシカさんを連れ戻してきてあげるから。」
誰にも変えることができない、強い意志を宿していたんだもん。
ぱあっと、二人の顔に笑顔が浮かんだ。へぇ…こんな顔もできるんじゃん。最初は生意気なだけだったのに、可愛いと思ってしまう。
「あ…ありがとな!!じゃあ支度ができたらまた話しかけてくれ。案内するから。」
「?案内も何も、場所はもうわかっているから大丈夫だけど。」
「いや、いいからいいから。オレの案内がなけりゃたぶん入れねぇぜ。」
「ふぅん…分かったよ。じゃあお願いね」
自慢げにニヤリと笑うポルク。なんで案内がないと入れないんだろう…?ま、着いたらわかることか。
すぐに準備を済ませて、私たちはポルクの案内の元『リーザスの塔』へと向かった。
ていうかもう夕方なんだけど大丈夫なのかな…?
- 第4話 塔での珍道中 part1 ( No.99 )
- 日時: 2012/12/24 00:36
- 名前: のあ (ID: kEC/cLVA)
「ココ……なの…!?」
「あぁ!でっけぇだろ!?」
村を出発してから約20分、私たちは案内してくれたポルクと一緒に『リーザスの塔』の前に立っていた。確かに結構大きいけど、近くで見ると苔とか蔦が表面に生えていて、正直あんまり近寄りたくない感じ……。周りが薄暗くなってきているせいか、ますます不気味だし。…よく一人で来れるな、ゼシカさん。
「で、ポルク。正直、君の案内なんか必要なかったと思うんだけど…?」
エイトがもっともなことをつぶやく。
確かにここに来るまで特別強いモンスターもいなかったし、道も一本道で迷うはずはない。一体何でポルクは『案内が必要』って言ったんだろう…?
「ふっ……まぁ今にオレの言った意味がわかるさ。よーく見てろよ?」
ポルクはにやっと笑うと、閉じていた門の下に手をかけ、思いっきり上に上げた。
ガラガラガラッ!!
「「「………………」」」
しばしの沈黙。
予想もしていなかった開け方に、皆声が出ない。ど、どうしたんだ私のツッコミ力!!今こそ全力でツッコミをするべきではないのか!!
ポルクはそんな私たちの様子を見て、満足げな表情で「な、俺の力が必要だっただろ!?」といった。
その声で我に帰ったのか、エイトが慌ててポルクの方を向く。
「えっと、ありがとうポルク。」
「おう!!…ゼシカねぇちゃんのこと、くれぐれも頼んだからな」
「うん、任せておいて」
ポルクはそれを聞いてうなずくと、一目散に村の方へとかけて行った。
「途中で魔物に会ったりしないかな…?」
「一応せいすい持ってたみたいだし、きっと大丈夫だよ。じゃあ、僕らも行こうか。
王様はここで待っていてください。」
「うむ、気を付けていってくるのじゃぞ」
「行ってきます」
そんな会話をして、私たちはリーザスの塔の中へと入り込んだ。
- 第4話 塔での珍道中 part2 ( No.100 )
- 日時: 2012/12/25 00:28
- 名前: のあ (ID: kEC/cLVA)
「うわ……結構入り組んでるね。塔まで行くのにも一苦労じゃないか。」
「ホント。だれか迷子にならないか心配……ってあれ、ヤンガスは!?」
気がついたら隣にいたはずのヤンガスがいなかった。あいつ存在感薄いからいなくなっても気がつかないんだよね……。
「ヤンガス!おーーい、ヤーンーガースー!!」
「ヤンガスー返事しないと……帽子焼くよ?」
「はいっ!あっしはここにいるでガス!!」
エイトのとんでも発言にヤンガスが一瞬にして現れる。…この二人の関係って、もはや兄貴と子分じゃないよね…。
全力で走ってきたせいかガクガクと震えているヤンガスは、手に何かを持っていた。
「ん?ヤンガス、それ何?」
「はぁっ…あぁ、ちじゅっ…地図……でやんすよ。はぁっ、あ、あっしの特技…で、み、つけたん…でや、んすげふぐぁっ!!」
わ、私は突っ込まないぞ……なんで走ってきただけなのにぐぁっとか言ってることなんか、絶対気にしないっ……。
「よくやった!!…お疲れ様。やすらかに眠っていいよ」
「あ…にきィィ…」
「ストーっプ!!やすらかに眠っちゃダメーーッ!!ヤンガスもノリノリでやるのやめてよ!!」
スポットライトまで浴び始めた二人に、耐えきれずにツッコミを入れる。おっさんと青年のもさい組み合わせなんて、一体誰が見たいのよ!?
のあ「私が見た((殴」
「でもレーナ嬢ちゃん…あ、あっしは兄貴の腕の中で死ねるなんて本望……」
「それでも!!ヤンガスは絶対死んじゃいけないの!!」
「レ、レーナ嬢ちゃん…?」
そう、絶対に死んだりなんかしちゃいけない。
だってヤンガスは…大事な……
「大事な…盾なんだもの!!」
「あっしマジで死にたい!!こんな世界もう嫌でがすぅぅ!!」
「なんてこと言うんだレーナ!!」
「え!?私のせいなの!?」
真実を述べただけなのになんで!?
「うわぁぁぁ!!ヤンガスがこんぼうで頭をかち割ろうとしてるぅ!?」
…そんなごたごたは、ヤンガスが振り回したこんぼうがエイトの頭に当たり、彼がぶち切れるまで続いた。