二次創作小説(映像)※倉庫ログ

第3話 お嬢様は家出がお好きなようで part4 ( No.98 )
日時: 2012/12/16 23:05
名前: のあ (ID: kEC/cLVA)

 ポルクの衝撃的な一言に、一瞬耳を疑う。
 ゼシカさんが……死ぬつもり?

「どういう…こと!?」
「リーザスの塔って言うのはこの村の南東にある高い塔で…サーベルト兄ちゃんもそこで殺されちまったんだ。きっと…『クラン・スピネル』を狙った賊が犯人なんだ。」
「クランスピネルって何?」
「塔の一番上にある女神像の目にはめ込まれている聖なる宝石だ。『聖なる祭りの日』だけそこに村人全員でお参りするんだけど…その警備をしている最中に兄ちゃんは死んじまった…って今はそんな話をしている場合じゃねえ!!とにかくゼシカねぇちゃんが危ないんだよ!!」
「なんで?村人でお参りできるぐらいならなにも危険はないじゃないか」
「おおありなんだよっ!魔物を寄せ付けない結界は『聖なる祭りの日』…一年に一回しか張られないんだ。普段は魔物がいっぱいで…いくらゼシカねぇちゃんがすごい魔法のつかい手でも、このままじゃあ…」
「ポルク、ストップ。アローザ様に聞かれちゃうよ。あの人にばれたら…ゼシカねぇちゃんだって…」
「マ…マルク…」

 マルクが泣きそうになっていたポルクをたしなめる。アローザさんって確か…この村を治めている人でゼシカさんとサーベルトさんのお母さん?
 そういえばゼシカさんとの関係が今はあまりよくないって聞いたことがある。その辺の事情もあって、勝手にぬけ出したことがばれたらいろいろとまずいのかな…。
 それまでぐずっていたポルクが急に私たちを見てピタリと止まった。まるで何か気がついたように……な、なんか嫌な予感しかしないんだけど!?

「なあ、お前たちって人を訪ねて旅をしてるんだろ?」
「え…うん。まぁそんなとこかな?」
「だったら強いだろ!?お願いだ、ゼシカねぇちゃんを連れ戻してきてくれ!!この通りだっ」
「僕からもお願いします!!お願い、大事な人なんだ!!」

 そういうとがばっと勢いをつけてポルマルは頭を下げた。
 あー…やっぱりこうなるのね…。そんな予感はしていたけど…。
 正直言ってゼシカさんがどんな人か知らないし、たまたま立ち寄っただけのこの村のゴタゴタに巻き込まれる義理はない…けど。あんなに強気だった二人はたった一人のためにこうして必死に頭を下げている。なんとなく…放っておけない気がする。

「エイト、どうするの。」
「兄貴。あっしは兄貴の決断に従うでやんす。」
「僕は……」

 答えは聞かなくてもわかった。
 だってエイトの瞳は

「ポルク、マルク。分かった。
 僕達が絶対にゼシカさんを連れ戻してきてあげるから。」

 誰にも変えることができない、強い意志を宿していたんだもん。

 ぱあっと、二人の顔に笑顔が浮かんだ。へぇ…こんな顔もできるんじゃん。最初は生意気なだけだったのに、可愛いと思ってしまう。
 
「あ…ありがとな!!じゃあ支度ができたらまた話しかけてくれ。案内するから。」
「?案内も何も、場所はもうわかっているから大丈夫だけど。」
「いや、いいからいいから。オレの案内がなけりゃたぶん入れねぇぜ。」
「ふぅん…分かったよ。じゃあお願いね」

 自慢げにニヤリと笑うポルク。なんで案内がないと入れないんだろう…?ま、着いたらわかることか。
 すぐに準備を済ませて、私たちはポルクの案内の元『リーザスの塔』へと向かった。
 ていうかもう夕方なんだけど大丈夫なのかな…?