二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: 「 僕が、守らなきゃ 」 - カガリビト ( No.2 )
日時: 2012/08/04 17:43
名前: 蟻 ◆v9jt8.IUtE (ID: hTgX0rwQ)
参照: ※ 名前は 適 当 です

( 一話 ) 


 ——世界に降りて、どのくらい月日は経ったのだろう。


 朝だ。ベッドから上半身を起こし、すぐ横にある窓をぼんやりと見る。
 僕たちは、この世界を修繕しながら、身近に人を見てきた。僕たちは変わらないままなのに、人は皆変わり果て、死を迎えた者も数え切れないぐらいになった。
 老いていく命、生まれ来る命。こうして世代は移り変わり、人は進化をし続ける。それに伴って、世界は崩れ、解れゆく。
 この世界の人々が『神』と崇め、称えられる彼女から創り出された僕たち、十二人のカガリビトは人に紛れて、今にも壊れそうな世界を直していた。

「なあトゥール、人はどうして、今の状態に気付かないと思う?」

背中まである白い髪を靡かせて歩く彼女は、僕の名前を呼んだ。
 彼女は言い終わると僕の隣に座り、ふっと微笑んだ。
 今の状態、とはおそらく、あやふやになり始めている世界の現状のことだろう。
 
「それは彼女にしか分からないよ」
「欠点だらけだよ、人は。どうして彼女は人を創ったのか。私には、到底理解できない」

 それは僕にも、理解しがたい。どうして彼女はこんなにも脆く、弱い人を作ったのだろうか。ずる賢く、薄汚く、強欲な、人を。共に争い合うような、人を。

「……まあ、彼女は素敵なものを創り出したと思うよ。ほら、今日はいい天気だ」
「トゥールは話の変え方が上手いな。そんなに彼女を悪く言うのが嫌なのか?」
「まさか、イレン。君が思ってることは僕も思ってるよ。彼女の悪口は言うつもりないけどね」
「マザコンだな」
「違うよ!」

少し微笑んで、イレンはそう言った。僕が否定の言葉をあげても、聞く耳持たずで、扉の方へと進んでいく。なぜか少し嬉しそうだ。そんなに僕をからかうのは面白いのだろうか。

「まあ、トゥールは末っ子だからそれでいいよ」

扉の前で振り向いて、そう言い放った。そして部屋を出るイレン。

「だから違うって言ってるのに……」