二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: 「 僕が、守らなきゃ 」 - カガリビト ( No.6 )
- 日時: 2012/10/13 13:40
- 名前: 蟻 ◆v9jt8.IUtE (ID: yWjGmkI2)
- 参照: 紳士キャラっていいわよね! 少し修正してみたり。
少し驚いた顔をして僕の名前を呼ぶと、彼はこちらに近付いて、僕の隣に座る。
「なんで……アルカがここに居るの」
「なんでって、僕の仕事一段落ついたからだよ。幸せに浸りにきたのさ」
「家よりここが大事なのか」
飲んでいたらしいミルクティの中身をスプーンでかき混ぜながら、目を細めて笑う。僕の横で、呆れたような声を出すイレン。そんな声を聞いてもアルカは笑顔を崩さなかった。むしろ笑顔の輝きが増した。
イレンと同じ気持ちで、僕はアルカを見つめる。彼の笑顔には適わない、全く。僕が溜息をついた瞬間、ごとり、とカウンターの上に何かが乗った。一瞬だけ僕は驚き、そしてカウンターに置かれた物を見る。
大きなびんいっぱいに入った、艶やかで甘そうな蜂蜜。綺麗だなあなんて思いながら見ていると、隣のアルカが僕以上にその蜂蜜に見とれていた。この、甘党め。
「……ミセス、僕にもこの蜂蜜をくださいませんか?」
先ほどまでの醜態とはまた裏腹に、いちいちかっこつけてアルカは注文した。おばさんはまた笑顔をアルカに向ける。アルカの方も笑顔を見せて会釈した。横目でイレンを見ると、つまらなさそうな顔をしていた。
イレンは僕の視線に気付く。
「とんだ甘党だ」
さっき手渡されたコーヒークッキーをかじり、イレンはそう吐き捨てた。
暫くしておばさんは僕らの元に戻ってきた。先ほど僕らが貰ったのよりも小さい、一人分の蜂蜜が入った瓶をアルカに渡す。アルカはその代わりにお金を支払い、その蜂蜜の瓶を開ける。
甘い匂いがふわりと広がる。アルカはその匂いをじっくりと味わってから、指で蜂蜜を掬い取り、舐める。はたから見たら、変人だなあ。
「うん、美味しいなぁ」
満足気な顔をするアルカ。イレンが深い溜息を吐いたのが僕の耳に入る。
アルカはそれだけを終えて瓶の蓋を閉める。そして、立ち上がると張り切って僕らに言った。
「さぁ、家に帰ろうよ」
「……悪いけど、私とトゥールは買い物中なんだよ。誰かと違って」
無表情のままで、イレンはアルカに言い放った。その言葉の意味を理解した時、アルカは「え」と目を見開いた。
「じゃ、じゃあ、僕も着いて行こうかな!」
「アルカ、暇なんだね……」
かっこつけたのが恥ずかしかったのか、アルカはまた変に張り切って、僕らの前を歩いた。
イレンと僕は二人で顔を見合わせて、少しだけ馬鹿なアルカを笑う。