二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: 「 僕が、守らなきゃ 」 - カガリビト ( No.7 )
- 日時: 2012/10/13 14:12
- 名前: 蟻 ◆v9jt8.IUtE (ID: yWjGmkI2)
- 参照: 会話ばっかでごめんなさい
買い物を終えて、僕らは市場を歩いていた。市場は朝よりも騒がしく、子供達が道中で駆け回っていたり、まだ若い少女が、声をあげて、物を売っている様子も見られる。
「ねぇちょっと……イレン重いよ……」
「もう少しだ、頑張れ」
息を切らしながらアルカは呼びかけるが、イレンは振り向きもせずにそう言い放った。
イレンはアルカが嫌いなのかなあ……と頭の中で呟きながら、野菜や果物、パンなどが沢山入った袋を三袋持っているアルカを見た。
「トゥール、何はにかんでんの! 助けてよ!」
「トゥール、アルカのことは聞いてないフリしていいよ」
必死の形相で叫ぶアルカと、いつもよりご機嫌そうな顔を浮かべるイレン。どっちもあまり見られない表情で、見ているこっちとしては少し面白い。
「ほら、もう着いてるよ」
見上げると、我が家がそこにあった。
丸い形の、木を基調に造られた家。質素だが、それなりに綺麗で大きい、二階建ての僕らの家。
アルカはそれを見ても、安心しては居ないようだ。むしろいつまでも扉の前にに立ち尽くして、中に入らないイレンに少し苛立ち、不快な顔をして言った。
「早く入らないの?」
「そう怒るなよ。紳士だろ?」
イレンがゆったりと家の中に入る。アルカは早歩きで家の中に入り、どさっ、と三袋を手早く床の上に置いて、ソファに飛び込んだ。
「長かったあああ」
手足を伸ばして、存分にくつろぎ始めるアルカ。そんなに重たかったのか。僕は、アルカに声をかける。
「おつかれ、アルカ」
「ホントだよ……うちのお姫様は手厳しい」
「たっだいまあ!」
ドアが思い切り開けられて、高く可愛らしい声が家中に響いた。その声に一瞬だけ驚く。僕らは即座に玄関に目を向ける。
「ティエ!?」
「ありゃ、アルカはまた帰ってきてたのかい」
はきはきとした声で、歯を見せて彼女は笑った。また、という所で少しアルカが苦笑する。
艶めいている赤色の髪は膝の辺りまで伸びて、ウェーブがかかっている。身長の小さい、女の子。
「——久しぶり、ティエ」
僕がそう言ったら、また彼女は笑う。
「ほんとだねえ、何ヶ月? 四ぐらいだった?」
「六ヶ月だよ」
イレンが、買ってきた物を片付けながら言った。
「ああ、そうだったそうだった! イレンもトゥールもアルカも、変わってなくてあたしは嬉しいよ!」
大きな口を開いて、思い切り笑うティエの姿に、僕もイレンもアルカも、安心して微笑みを漏らした。