二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: ポケモンメモリアル集 ( No.60 )
- 日時: 2012/09/06 18:11
- 名前: 霜歌 ◆P2rg3ouW6M (ID: 5QvnJaR.)
- 参照: やっとネタがまとまったので更新……ヒトに化けたポケモンさん。
vetus fabula <いにしえのものがたり>
むかしむかし、星という名の小さな町におじいさんが住んでいました。
おじいさんは星の川で、ポケモンたちと釣りをするのが好きでした。
しかし、嵐があった次の日、とんでもないものが流れてきたのです。
それは、傷つき果てた一匹のポケモンでした。
おじいさんはポケモンを看病し、いつくしみました。
ポケモンははじめは怯えたようにおじいさんの手当てをこばみましたが、
やがてすくすくと回復し、おじいさんと親しくなりました。
ある日、おじいさんが釣りへでかけて家へ帰ってくると、
そこには一人の少女がいました。
奇妙なことに、おじいさんをずっと前から知っているというのです。
わたしが誰か見抜いてくれたら、わたしたちは永遠にこの町につくします。
少女のひとみを見ているうちに、おじいさんはひらめきました。
昨日までわたしの家にいた、かわいいポケモンさんじゃないか。
その言葉をきき、みるみるうちに少女の姿がポケモンへと変わりました。
少女は、ポケモンがヒトになった姿だったのです。
わたしはあなたに命をすくわれました。もう帰らねばなりませんが、
あなたがわたしのことを忘れないのなら、わたしは永久にこの町につくします。
花になり、風になり、光になり、星になり、いつもあなたのそばにいます。
そう言うと、ポケモンはしずかに去っていきました。
おじいさんはひと時たりともそのポケモンを忘れたことはありませんでしたが、
ポケモンは二度と町に姿をみせませんでした。
この町につくすと、わたしのそばにいると言ったのに、なぜ。
そうして、おじいさんは悟ったのです。
あのポケモンは死んだのだと。
死んでもなお、いつもわたしのそばにいてくれるという意味だったのだ。
そうつぶやくと、やわらかな風がふきました。
おじいさんは涙をこぼして空を見上げました。