二次創作小説(映像)※倉庫ログ

: 『ハリー・ポッター』二次小説〜騎士王の末裔〜   第一部 ( No.3 )
日時: 2015/04/18 10:50
名前: ウルワルス (ID: rVkL8ucn)

 車両の中ほどの席では、黒髪の少年と栗色の髪の少女とが、この様子を眺めていた。
「3対1なんてひどすぎる。止めないと・・・」少年、アルバス・ポッターが言った。一方、少女、ローズ・ウィーズリーの反応は冷ややかだった。
「入学もまだだというのに、もう喧嘩だなんて、なんて馬鹿な子達なの。あんな馬鹿な子達、放っておきましょうよ。関わり合いにならない方がいいわ。」
「だけど、このままだと、あのやられてる子は大怪我になっちゃうよ・・」



            *



「喧嘩はやめなさい!」
 突然車両の扉が開き、上級生らしいシルバーブロンドの髪をした美少女が入ってきた。ちょうど3人がかりでスコープを押さえつけ、殴りつけていたサウロス達は、慌ててスコープを放し、荷物を持って逃げ出した。
「あなた、大丈夫?」上級生の少女が声をかけてくれた。
「ばい、だいじょぶでつ。」スコープはなんとか立ち上がった。
「大丈夫じゃないみたいね。鼻と口から随分と出血してるわ。」
 上級生は杖を取り出し、呪文を唱えた。
「エピスキー(癒えよ)」
 たちまち、痛みと出血がおさまった。
「ありがとうございます。あなたは監督生なのですか?」
「まあ、そういうことね。ついでに名乗っておくと、グリフィンドールのビクトワール・ウィーズリー。」
「僕は、スコーピウス・マルフォイといいます。」
 ビクトワールは少し驚いたような顔をしたが、すぐに「よろしくね、スコーピウス。」と言った。
「じゃあ、私はそろそろ次の車両に見回りに行かないと・・・。
 あら、ローズにアル、そこにいたの?」ビクトワールは、車両の中ほどの席に従弟妹の姿を見つけた。
「ちょうどよかった。スコーピウス、あなたはあの子達と一緒の席に座るといいわ。あの子達も新入生だから。」
「マルフォイ君、僕の隣に座るといいよ。」アルバスが言った。
「ありがとう。」スコープは、いいやつだなと思いながら、着席した。
「そうそう、仲よくするのよ。それじゃあ。」ビクトワールは出て行った。

「僕はスコーピウス・マルフォイ。スコープと呼んでくれて構わない。よろしく。」
「僕はアルバス・ポッター。アルと呼んで。」
「ポッターだって!?」
 スコープは思わず大声で言った。
「すると、君はあのハリー・ポッターの息子なのかい?」
「確かに僕の父の名前はハリーだけど、それがどうかした?」アルバスは、スコープがなぜ驚くのか分からないようだった。
「『それがどうかした?』って、ハリー・ポッターといえば、『例のあの人』を倒した英雄じゃないか!」
「『例のあの人』って、ヴォルデモートのことだよね? 確かに父さんはヴォルデモートと闘ったことがあるって言ってたけど、ヴォルデモートが死んだのは、やつが間違えて杖を反対に持ってたせいで、『死の呪文』が自分に当たったからにすぎないって言ってたよ。」
「君の父上は、強いだけじゃなくとても謙虚でもあるんだね。」スコープは感嘆して言った。
「ちょっと。」不意にローズが口をはさんだ。
「あなた達、私の存在をわすれていませんこと?」
「ごめん。・・君の名前は?」
「私はローズ・ウィーズリー。アルとは いとこの関係になるわ。」
「さっき僕を助けてくれた監督生さんもウィーズリーだったけど、親戚なのかい?」
「ええ。私の父とアルのお母さんとビクトワールのお父さんは、兄妹なの。」
「親戚仲がいいんだね。」
「それが普通だろ?」アルバスが言った。
「僕の一族はそうじゃない。さっき僕と喧嘩してたやつらは、いずれも僕の親戚なんだ。親同士仲が悪いし、それでなくともあいつらは鼻持ちならないやつだから。」
「親戚のあり方にもいろいろあるんだね。
 ところで、その箱には何が入ってるんだい?」
 アルバスが、スコープの膝の上に置かれ、黒い覆いがかけられた箱を指し示した。