二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: 『ハリー・ポッター』二次小説〜騎士王の末裔〜   第一部 ( No.6 )
日時: 2012/09/02 13:41
名前: ウルワルス (ID: AzyLAkTK)

「君はそのプラチナブロンドの子と話してたから、声をかけづらかったんだ。」フランクと呼ばれた少年が言った。
「4人ずつボートに乗って!」ハグリッドが言った。4人は、ローズ、アルバス、スコープ、フランクの順に同じボートに乗り込んだ。
「はじめまして。」ボートが進み出すと、フランクがスコープに言った。「僕はフランク・ロングボトム。君は?」
「僕はスコーピウス・マルフォイだ。スコープと呼んでくれて構わないよ。」
「ねえ。その気取ったようなしゃべり方、どうにかならないの?」ローズが言った。スコープはムッとした。ウザい女だ。
「ローズ。頼むから、喧嘩になるようなことは言わないで。」アルバスが言った。

 しばらくするとボート船団は、対岸の崖に空いた入り口へと進み、城の真下と思われる暗いトンネルを通って地下の船着き場に到着した。生徒たちはハグリッドについて岩の路を登り、城下にたどりついた。さらに石段を登り、巨大な樫の木の扉の前に集まった。
 ハグリッドが扉を叩くと、フランクによく似た男性が現れた。
「ネビル、イッチ年生達だ。」
「ご苦労様、ハグリッド。ここから先は私が案内するよ。」それから、男性は生徒達に向かって言った。「こんばんは、1年生の諸君。私はホグワーツの『薬草学』担当教師ネビル・ロングボトムだ。では、ついて来て。」
「僕の父だよ。」フランクがスコープに囁いた。
 ロングボトム先生は、生徒達を玄関ホールの脇にある空き部屋に案内した。先生は、組分けの準備ができたら戻ってくると言って、部屋から出て行った。

「おや、スコーピウス、生きていたのかい?」
 先生が出て行ったとたん、サウロス・マルフォイ、ヴァレンティン・レストレンジ、マヌイル・ノットがスコープに近づいてきた。サウロスが続けて言った。「出血多量で助からないかと思っていたよ。上級生が通りかかってラッキーだったな。」
「その通りだとも。あのままやり続けていたら、君は死んでいただろう。」ヴァレンティンが言った。
「黙れ。このホグワーツで戦闘用の呪文を習得したら、必ずお前達と決闘して倒してやる!」
「フン。弱虫のくせに強がるのはやめるんだな。」ヴァレンティンはせせら笑った。
「君は、よくスコープのことを『弱虫』と呼べるね。」不意にアルバスが言った。「3人がかりで1人を攻撃し、上級生が来たらさっさと逃げ出す君達の方こそ、卑劣な弱虫だ。」
「へえ。初対面の相手に向かってそのような言辞を吐くとは、随分といい度胸をしてるじゃないか。
 君、名はなんていう?」
 ヴァレンティンは威圧するようにアルバスの前に進み出た。ヴァレンティンはアルバスより頭1つ分背が高かったが、アルバスは臆することなく相手を睨み返して言った。
「アルバス・ポッターだ。」
 「ポッター」の名にヴァレンティンは怯み、アルバスから離れた。一連のやりとりを見守っていた周りの生徒達は、ひそひそ話し始めた。
「そもそも」今度は、アルバスの隣にいたローズが言った。「入学もまだというのに喧嘩をすること自体、子供じみてるわ。私に言わせれば、あなた達は『弱虫』である以前に『馬鹿なお子ちゃま』よ。」
 スコープは、この言葉を聞いてヴァレンティンがキレるのではないかと思ったが、何故かヴァレンティンは興味深そうにローズを見やった。
 一方、サウロスは嘲るような笑みを浮かべて言った。
「君は、ウィーズリー家の子だな?」
「それがどうしたというの?」
「やはりな。」サウロスの嘲笑はますます深くなった。「君は、『穢れた血』のハーマイオニー・ウィーズリーの娘だろう? 僕は新聞であの女の写真を見たことがあるけど、君はあの女によく似ている。」

 ハーマイオニー・ウィーズリー。
 スコープはその名に聞き覚えがあった。確か魔法省魔法法執行部に所属する役人で、純血支持法の撲滅に成功したとかで日刊予言者新聞に名前と写真が載っていた。父ドラコによると、彼女とはホグワーツの同級生だったそうで、聡明で成績優秀な女学生だったと言っていた。

 ローズとサウロスの会話は口論に発展していた。
「『穢れた血』ですって!?」
「マグル生まれのことさ。僕らからすれば、マグル生まれの連中など劣等種でしかない。」
「私の母は立派な魔女よ! そういうあんたの親はどんな人達だと言うの!? 私の母と比べてどれだけ優れていると言うの!?」
「ああ、教えてあげるとも。僕の父は魔法界随一の名門マルフォイ家の出身で、母の方も、やはり名門であるレストレンジ家の出身だ。
 ちなみにレストレンジ家といえば、こちらは僕の従兄弟のヴァレンティン・レストレンジだ。」
「よろしく。ミス・ウィーズリー。」
 ヴァレンティンは、ハンサムな顔に笑みを浮かべ片手をローズの方に差し出したが、ローズは彼を睨み付けただけだった。ヴァレンティンは意外そうな顔をした。