二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: 『ハリー・ポッター』二次小説〜騎士王の末裔〜   第一部 ( No.8 )
日時: 2013/01/14 14:41
名前: ウルワルス (ID: e22GBZXR)

 大広間はしんとなった。拍手しかけたフランクも、周りの空気を読んでやめた。
 マルフォイ家は何百年もの間スリザリン生を輩出しており、教師も上級生の多くもそのことを知っていた。彼らの多くは、組分け帽子が「老いて耄碌した」のではないかと思わざるをえなかった。

 不意に、グリフィンドール・テーブルから2発の花火が打ち上がり、火花で描かれた"Welcome into Gryffindor!"という文字が空中に現れた。 そして、2人の少年が自分の椅子の上に立った。
「どうしてみんな拍手しないんだ?」そのうちの1人で、ビクトワールに似たところがあるシルバーブロンドの少年が言った。
「グリフィンドールは、『勇気ある者が集う寮』だ。」もう1人の、アルバスによく似た黒髪の少年が言った。「どこの家の出身かなんて、関係ないだろう?」
 不意に、小さな拍手が生じた。
「よく言ってくれたわ。ルイス、ジェームズ。」ビクトワールだった。「グリフィンドールへようこそ。スコーピウス。」
 これを合図に、グリフィンドール・テーブルから盛大な拍手が湧き起こった。
 呆然としていたスコープは、ほっとしてテーブルに向かって歩き出した。『いい雰囲気じゃないか、グリフィンドールって。』
「ミスター・マルフォイ。帽子をかぶったままだよ。」ロングボトム先生の声がとんだ。

 組分けが再開された。
「ノット、マヌイル!」

「スリザリン!」


「パラックス、アーノルド!」

「レイブンクロー!」


「ポッター、アルバス!」
 アルバスがやや青い顔をして進み出た。
「ポッターだって?」
「ハリー・ポッターの息子さん?」
「ジェームズ、君の弟だよな?」
 上級生達はひそひそ話し始めた。
「アル! グリフィンドールに入れなかったらどうなるか、分かってるだろうな!」
 ジェームズと呼ばれた、先程真っ先にスコープを歓迎してくれた黒髪の少年が野次を飛ばした。

 アルバスの心配は結局杞憂に終わった。
「グリフィンドール!」
 帽子は高らかに叫び、盛大な拍手の中をアルバスはテーブルに進んで、スコープの隣に座った。
「やったな、スコープ、フランク! 3人ともグリフィンドールだ!」アルバスは先程までとは打って変わって、喜色満面で言った。

 やがて、まだ組分けがすんでいないのは、ローズと、黒人の少年だけになった。
「ウィーズリー、ローズ!」ローズは待ちきれないようにグイッと帽子をかぶった。
「グリフィンドール!」


 最後に名前を呼ばれた黒人の少年アローズ・ザビニはスリザリンに決まり、組分けは終わった。

「新入生諸君、はじめまして。ホグワーツ校長のフィリウス・フリットウィックです。」上座のテーブルから小さな老人が立ち上がった。
「上級生諸君、お帰り。君達の元気な顔を今学期もこうして見ることができるのは、この上ない喜びであります。
 さて、諸君もご存じの通り、『闇の魔術に対する防衛術』担当のブラウドフット先生は、先学期で引退された。今学期から我がホグワーツは新しい先生をお迎えすることになる。
 ご紹介しよう。アダルベルト・ルーデンベルク先生です!」
 生徒達から見てテーブルの右端で、ブロンドの青年が立ち上がり、頭を下げた。
 ルーデンベルク先生は非常にハンサムな顔立ちをしており、上級生の女子の一部が騒ぎ始めた。だが、スコープは彼を見たとたん、戦慄を覚えた。まるで、蛇を前にした蛙になったような気分だった。なぜそのように感じるのかは、まったく分からなかった。
「ルーデンベルク先生はドイツの出身で、この夏にダームストラング専門学校を首席で卒業されました。」フリットウィック先生が紹介を続けている。「母校ダームストラングを始め、ドイツやロシアの魔法省など、就職先は引く手あまただったのですが、長い歴史と伝統を誇り、アルバス・ダンブルドアやハリー・ポッターなど偉大な魔法使いを輩出したこのホグワーツで教鞭を執ることを、ご決断なさったのです。」
 盛大な拍手が起こった。
 拍手がおさまるのを待って、フリットウィック先生は言った。「では諸君、好きなだけ『かっこみ』なさい!」
 たちまち各テーブルの上の大皿が食べ物でいっぱいになり、歓迎会が始まった。