二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- 『ハリー・ポッター』二次小説〜騎士王の末裔〜 ( No.10 )
- 日時: 2014/04/01 13:01
- 名前: ウルワルス (ID: BgA0tTDI)
第3章 魔法史と いも虫
語句紹介
・イエス
紀元前後に生きたユダヤ人魔法使い。
魔法を使って貧しいマグルに救いをもたらしたが、彼らはイエスが意図しなかったにも関わらず彼の周りに集まり、救世主として崇めるようになった。そのためユダヤ教の祭司や立法学者に敵視され、処刑された。
逃げようと思えば魔法を使って逃げることもできたのだが、彼には誰かの上に立って指導者になるつもりはない以上、生き続けても貧民達に無駄な希望を抱かせるだけだと考え、死を受け入れた。
しかしイエスの意図とは裏腹に、マグルはその死後も彼を崇拝し続け、「キリスト教」を旗印に、異教徒に対する虐殺・奴隷化などを行ってきた。
・アーサー・ペンドラゴン
5世紀後半から6世紀初めにかけてブリテンを統治した魔法族の王。
魔法界だけでなくマグル界にも君臨し、両界に平和をもたらした。しかし、マグルは魔法族に隷属すべきだと考える息子モルドレッドと対立し、538年の「カムランの戦い」でモルドレッドと相討ちになり、戦死。彼の死後、ブリテン魔法界に王が立つことは2度となかった。また、それ以後魔法界とマグル界は徐々に疎遠になっていった。
一部の者達は、今でもアーサー王の末裔が生きており、彼によって魔法界とマグル界は再統一されるであろうと、信じている。
・ジャンヌ・ダルク
15世紀前半に生きたフランスの魔女。
「元気が出る呪文」(原作第3巻を参照)の達人で、この呪文を使ってフランス軍の士気を高め、英仏百年戦争をフランスの勝利へと導いた。
歓迎会の翌日から早速授業が始まった。
1・2時限目は、ルーデンベルク先生が担当する「闇の魔術に対する防衛術」だった。スコープは前日のこともあってあまり気が進まなかったが、何事もなく授業は終わった。
3・4時限目は、スコープが楽しみにしていた魔法史だった。しかし、授業はおそろしく退屈だった。
『全部知ってることじゃないか。こんな初歩的な内容だなんて・・・』
周りを見ると、他の生徒は皆眠たそうにぼうっとしていた。授業の内容がこれでは、それも当然だとスコープは思った。
スコープはこれ以上授業を聞く気にならず、参考になるかもしれないと思って教科書と一緒に持ってきていた『魔法族とマグルの交流の歴史』という本を、暇潰しに読み始めた。
「スコーピウス、今は授業中よ。ちゃんと先生の話を聞いて、ノートをとりなさい。」
いくらも読み進まないうちに、隣で放心状態になっているアルバスの横から、ローズが小声で注意してきた。ローズは他の生徒とは違い、ちゃんと先生の話を聞いてノートをとっているようだった。
『ということは、この授業の内容はみんなにとって必ずしも既知のことではないのか?』
もう一度周りをよく見てみると、皆時折はっとしたように放心状態から覚め、急いで黒板に書かれた人名・地名や年号を写し取っていることが分かった。どうやら、授業の内容が初歩的なのではなく、スコープの知識が深すぎるだけのことらしい。スコープは何だかいい気分になった。
「私の言うことが聞こえなかったの? さっさとノートをとりなさいよ。」再びローズが言った。
「その必要はないよ。全部知ってることだから。」スコープは小声で答えた。もっとも、魔法史担当のビンズ先生の様子からすると、小声になる必要もなさそうだった。
「魔法史の授業は今日が初めてなのに、何を言っているの!?」
スコープは、答えるのも面倒になってきた。サウロスに対して杖を突きつけた時は気骨のある子だと思ったが、今となってはやはり、お節介なガミガミ屋としか思えなかった。
「君のそのお節介、どうにかならないのかい?」スコープは辛辣な口調で言った。
「何よ、その言い方! 後でノートを写させてくれと言っても、見せてあげないから!」
ちょうど放心状態から覚めたアルバスが、自分の両隣で口論が発生していることに気づき、困ったように2人の顔を交互に見やった。
「全部知ってるって言っただろう? 仮に知らなかったとしても、君に頼んだりするものか。」
スコープはそう言い放つと、再び読書に戻っていった。