二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: 『ハリー・ポッター』二次小説〜騎士王の末裔〜 ( No.101 )
- 日時: 2016/03/19 00:19
- 名前: ウルワルス (ID: nLJuTUWz)
2月の第三土曜日がやって来た。寮対抗クィディッチ杯のバロンデュール対ディオールシアン戦のため、ボーバトン城内は殆ど空になった。
アイサム・ムウィレレは、スコープがわざわざホグワーツから取り寄せてくれた「透明マント」を身に着け、人気のない廊下をグローメルの部屋に向かって走っていた。制服のポケットには、スコープの先輩(ブリテン魔法界最高の英雄の1人、ハリー・ポッターの御子息だそうだ)がマントと一緒に送ってくれた「インスタント煙幕・ダークネス」「囮爆弾」「騙し杖」が入っていた。加えて、透明マントの下には「盾のマント」を着用していた。
驚いたことに、グローメルの部屋の前には2つの人影があった。1人はすらりとした長身の人物で、もう1人はとても小さく人間のようには見えない。アイサムは走るのを止め、出来るだけ足音を立てないように歩き始めた。
「・・では、防御網を解除するのだ。」
長身の人物の言葉が聞こえた。ライトブラウンの髪をした男性で、同じ色の短い口髭を生やしていた。
「かしこまりました。」
小さい方がキーキー声で答え、部屋の中に入った。今のが屋敷妖精に違いない。ということは、あの男性がシャルル・ドランペルージか・・
「もう入っても大丈夫でございます。」
屋敷妖精はすぐにそう言い、ドランペルージも部屋に入った。アイサムは部屋の扉へと急いだ。
じきに、ドランペルージは美しいネックレスを持って出て来た。どんな力があるかは分からないが、そのネックレスがグローメルに預けていた「武器」であることは間違いない。わざわざ取りに来たということは、今晩にでもそれを使って魔法省に対するクーデターを起こすつもりなのかもしれない。アイサムは、真実薬を盗むことよりドランペルージを阻止することを優先する気になった。
証拠となる物品と合わせてドランペルージの身柄を押さえ、魔法省に突き出せば、多額の懸賞金が貰えるかもしれない。そうなれば競技用箒を買うことが出来るし、バロンデュール生達は真実薬を使わなくとも自分を見直すだろう。それに、魔法省に勤めるカトリーヌの父親から良い評価が得られるだろうし、カトリーヌ本人も今までとは違う目で自分を見るようになるだろう・・
ちなみに、屋敷妖精に気を付けろというスコープの忠告は、この時のアイサムの頭から欠落していた。アイサムは、このような小さく弱々しい生き物が脅威になるとは思えなかった。