二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- 『ハリー・ポッター』二次小説〜騎士王の末裔〜 ( No.11 )
- 日時: 2014/04/01 13:09
- 名前: ウルワルス (ID: BgA0tTDI)
「またローズと喧嘩したのかい?」
4時限目が終わって、魔法史の教室から昼食のため大広間に向かう途中で、アルバスがスコープに言った。
「あいつが僕を見下してお節介を焼くからだよ。」スコープは答えた。
「君は今日の魔法史の授業内容を全部知ってることだって言ってたけど、本当かい?」
「僕は日頃から歴史の本をよく読んでるからね。なんなら、試してみるかい? 魔法史の教科書のいちばん後ろに年表があるから、そこから問題を出してみて。」
アルバスは歩きながら教科書を開き、問題を出した。
「西暦30年に起こった出来事は?」
「イエスの処刑。」スコープは即答した。
「538年に起こった出来事は?」
「カムランの戦い、及びアーサー・ペンドラゴンの死。」
「1429年。」
「ジャンヌ・ダルクの初陣。」
「1689年。」
「国際機密保持法の制定。」
「1945年。」
「アルバス・ダンブルドアとゲラート・グリンデルバルドの決闘。」
「すごいや。」アルバスは感心して言った。「ローズが聞いたら、きっと君のことを見直すよ。」
午後の2時限は、変身術だった。魔法史の授業とは打って変わって、とても難しかった。
まず最初にさんざん複雑なノートをとらされたが、スコープはよく理解できなかった。その後でマッチ棒を針に変える練習が始まった。
どれだけ杖を振って呪文を唱えても、スコープのマッチ棒はまったく変化しなかったが、他の生徒も同じような状態だったので、スコープは少し安心した。
「おお、素晴らしい! グリフィンドールに10点!」
突然、変身術担当のアンソニー・ゴールドスタイン先生が感心したように言った。
「皆さん、この針をご覧なさい。 ミス・ウィーズリーが変身させた物です。」
先生はローズが変身させた針を皆が見ることができるように、皆の机の上を順々に回した。確かに、マッチ棒は完璧に針に変わっていた。針が皆の机の上を回っている間の、ローズの得意げな顔といったらなかった。
練習が再開されたが、相変わらずスコープのマッチ棒には何の変化もなかった。スコープは次第にいらいらしてきた。
「cambire(変われ)!」スコープは乱暴な口調で呪文を唱え、乱暴に杖を振った。
ついにマッチ棒は変身した。ただし針にではなく、何故か10センチほどもある巨大ないも虫に・・。
巨大いも虫はスコープに向かって、いも虫のくせに跳躍した。
「うわあぁぁぁぁぁぁ!!」スコープは悲鳴を上げて床に倒れ込み、必死で後ずさった。いも虫はくねくねと身をよじらせながらおそろしい速さでスコープに接近し、靴にとりつき、さらに脚を伝って這い上がってきた。
「ひいぃぃっ!」スコープは再び悲鳴を上げ、近くにいた誰かの脚にしがみついた。
スコープはいも虫が大の苦手だった。
スコープが4歳の時に、親戚の集まりのためサウロスの父トード・マルフォイの屋敷を家族で訪れたことがあった。その時の食事の席で、息子にせがまれたトード・マルフォイが、スコープのマカロニグラタンに変身術をかけ、マカロニをいも虫に変えたのだった。
ただでさえ純血主義をめぐってトードと対立していた父ドラコは、この件で決定的に気分を害し、親戚の集まりには出席しなくなったが、それ以来スコープは いも虫を見ただけで非常な恐怖に襲われるようになった。
「フィニート!」
ゴールドスタイン先生が呪文を唱え、いも虫はマッチ棒に戻った。
「ちょっと。いつまでしがみついてるつもり!?」
かなり険悪な声がした。なんと、スコープがしがみついていたのは、よりにもよってローズの脚だった・・。
「ご、ごめん・・!」
スコープは慌ててローズから離れ、立ち上がった。
「まったく。馬鹿で、情緒不安定で、本当にどうしようもない『お子ちゃま』だわね? スコーピウス。」ローズが嘲るように言った。
スコープは頭に血が上るのを感じた。サウロスやヴァレンティン以外の人間を、ここまで憎いと思ったことはなかった。
「ローズ。君、感じ悪すぎだよ! スコープに謝れ!」アルバスが咎めた。
「あら、どうして私がこんな子に謝らないといけないの!? それより、アル。こんな子と仲良くするのはやめた方がいいわよ。悪影響を受けてしまうわ。」
「口論はそこまで! 授業中だぞ。」ゴールドスタイン先生が言った。
「ミス・ウィーズリー。先程の君の発言は辛辣すぎる。相手の気持ちも考えたまえ。勉強ができることだけがすべてではないんだよ。」
ローズは、注意されたのはあんたのせいだと言わんばかりに、スコープを睨み付けた。
「気にするなよ、スコープ。」アルバスは、すっかり意気消沈してしまったスコープに言った。
「誰にでも苦手なものはあるし、初めてのことで失敗するのも、誰にでもありうることさ。」
「今の発言は素晴らしいね、ミスター・ポッター。グリフィンドールに1点与えよう。」先生が言った。